2019年04月08日

ハイデルベルグ・ジャパン㈱(本社・東京都品川区、水野秀也社長)は今年1月、㈱大鹿印刷所(本社・岐阜県揖斐郡、大鹿道徳社長)と㈱ウエマツ(本社・東京都豊島区、福田浩志社長)に、「Push to Stop」をコンセプトとするハイデルベルグ社製印刷機のフラッグシップモデル「スピードマスターXL106」を納入した。

この2社同時納入によって「スピードマスターXL106」の国内納入数が100台(前身機のXL105を含む)に達した。

 

ハイデルベルグ社が「スピードマスターXL106」の前身機である「スピードマスターXL105」を発表したのはdrupa2004でのこと。

ベースフレームをはじめ、印刷機の基本設計をゼロから見直し、圧倒的な生産性と品質を実現した新世代の印刷機として発表され、一般商業印刷/パッケージ印刷/印刷通販など、業種を問わず世界中の印刷会社からの高評価を得てきた。

そしてdrupa2012で、用紙サイズを75×106㌢㍍に拡張した「スピードマスターXL106」を発表。

それからさらに4年後には印刷機の自動運転「Push to Stop」をコンセプトとするdrupa2016バージョンへと進化を遂げている。

 

 

大鹿印刷所が今回導入したのは、コーティングユニット付の6色機「スピードマスターXL106-6LX」で、パッケージ印刷のメーンである厚紙印刷部門での運用が目的。

大鹿印刷所が導入した「スピードマスターXL106-6LX」

大鹿印刷所が導入した「スピードマスターXL106-6LX」

その導入の理由について大鹿社長は「印刷業は労働集約産業と言われ、当社としても機械化、AIの導入など立ち遅れた部分の見直しが急務だった。ちょうど老朽化した既存機の更新時期とも重なって、AIを搭載したXL106-6LXが候補に挙がった。すでに薄紙印刷部門では2年前に導入したXL106の5色機が従来機の2台分以上の働きをしていたので、メーンの厚紙印刷でもオフセット印刷のオンデマンド化が目指せると判断した。もちろん、残業時間の削減など働き方改革にもつながるのではないかと期待している」と述べている。

大鹿印刷所が2年前に導入したXL106では、前準備時間が従来機の30分から15分へと一気に短縮。

プロセス4色の仕事が中心であれば、OEE40%を維持できるという。

その背景にあるのが、全胴を同時・全自動で刷版交換を行うオートプレートXL2、刷版交換と同時にブランケット洗浄を行う全自動洗浄装置、仕事替えのプロセスを最適化するインテリスタート2などの高度な自動化技術の数々にある。

中でもインラインのカラー/見当測定制御システム「プリネクトインプレスコントロール」は、ごくわずかな色変動すら許されないパッケージ印刷の高品質化と安定化に大きく貢献。

つねにΔE<1の基準値印刷を実現できるので、色に対するクレームはまったくないという。

また、今回導入した新しい「スピードマスターXL106」には、ハイカラーマルチドライブ(インキローラー独立駆動)やオートプレートコーティングプロ(ニスコーター全自動樹脂版交換装置)といった最新の自動化技術も搭載されており、厚紙印刷では前準備時間のさらなる短縮が期待されている。

 

 

一方のウエマツが今回導入したのは6色片面機の「スピードマスターXL-106-6」。

すでに5色機と6色機を各1台ずつ導入済みなので、今回の導入によってXL106は3台体制となる。

「スピードマスターXL106」をここ数年で次々と導入している経緯について福田社長は「世界で一番生産性の高い会社を見てみたいと思い、ハイデルベルグ・ジャパンに相談したところ、英国に驚異的な稼働率を記録している会社があると聞き、平成26年に見に行った。訪問した会社では1時間に24台、1台を2分半で印刷するという仕事ぶりで、当社の印刷設備の4倍近い生産効率をあげていた。ここまでできるなら印刷の未来もまだまだ大丈夫だと強く感じ、その会社のエッセンスだけでも採り入れられないかと思い、XL106を導入した」と語る。

ウエマツが導入した「スピードマスターXL106-6」

ウエマツが導入した「スピードマスターXL106-6」

印刷業の平均的なOEEは30%以下で、ウエマツも例外ではなかった。

そこで見学した会社を参考に、OEEを60%台まで高めようという取り組みの中でXL106を導入した。

実際、最新の「スピードマスターXL106」では、前準備時間が驚異的に短縮。版替え、ブラン洗浄、ローラー洗浄が同時に行え、すべてのプロセスが1分半で終了する。

つまり、ジョブが刷り終わって、わずか1分半後には次のジョブの試し刷りが自動的に始まるのだ。

Push to Stopによって異次元の生産を目指す必要性について、福田社長は「印刷業界の規模が縮小し続ける中、当社は売上と利益の向上に一生懸命取り組んでいる。単価×数量で算出される売上は、需給バランスや市場ニーズなど顧客との関係の中で決まるため、自社だけではコントロールできない。しかし、利益は生産効率の向上と資材コストの削減によって生まれる。中でも生産効率の向上は、より多くの利益を上げるために当社が行える唯一の手段となる。この効率を上げるという考え方がPush to Stopなのだと理解し、取り組んでいる。5%の向上ならば現状のやり方を改善することで達成できるが、2倍にする方法は現状の延長線上では見つからない。それこそが異次元であり、Push to Stopの必要性なのだ」と話している。

 

 

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