2019年04月02日

日本アグフア・ゲバルト㈱(本社・東京都品川区、岡本勝弘社長)はIGAS2018で、プリプレス工程の自動化と効率化を実現する理想的な印刷工場「プリプレスのファクトリーオートメーション」を提案した。

そしてこのたび、㈱ニシカワ印刷(本社・埼玉県狭山市、西川誠一社長)がそのファクトリーオートメーション化の第1号ユーザーとなり、本格稼働を開始している。

4月2日、ニシカワ印刷の日高事業所で記者会見を開催し、その詳細と効果について明らかにした。

 

岡本社長(左)と西川社長

岡本社長(左)と西川社長

会の冒頭、あいさつに立った日本アグフア・ゲバルトの岡本社長は「今年は紙やインキの値上げがあり、また慢性的な人手不足についても解消する見込みはない。その中で印刷会社がどのように勝ち残るか、その答えの1つがファクトリーオートメーション化だ。これは、機械やシステムに任せられることは任せて、自動的に処理しようというものだ。これにより、現場の1人当たりの生産性を最大限に高め、多くの利益を残せるような企業体質に変えるサポートをするというコンセプトとなる。当社ではこれまで、PDFワークフローシステムや現像レスプレート、クラウドワークフローなどをすべて業界に先駆けて発表・提供してきた。各製品とも、それぞれの部分における最適化に貢献するものだが、今回のファクトリーオートメーションは、その部分最適を全体最適にする仕組みとなる。印刷会社のプリプレス工程はこうあるべきだという理想形を具現化したものとなっているので、ぜひ多くのみなさんに知ってもらいたい」と述べた。

 

ニシカワ印刷ではすでに、現像レスCTPプレート「アズーラ」の採用による自動現像機および現像液の管理・メンテナンスの排除、ワークフローRIPをクラウド化した「アポジークラウド」の採用でフロント側からプレート出力できることによる刷版専任部門の廃止、自動面付け機能「アポジーインポーズ」による面付け作業の効率化、ファイルサーバーをクラウド化した「アポジードライブ」による外部との入稿・校正のアクセス性向上を果たしている。

そして今回、プリプレスのファクトリーオートメーション化を実現するためにさらに3つの新ソリューションを導入した。

 

パレットのままで1200版ものプレートを一括装填できる「エキスパート・ローダー」

パレットのままで1200版ものプレートを一括装填できる「エキスパート・ローダー」

その3つとは、▽外部から入稿されたファイルのさまざまな情報を読み取り、ルールに合わせて自動振り分けやデータチェックなどを行う「アポジードライブ オートパイロット」、▽1200枚積みのCTPプレートをパレットのままCTPへと直接装填できるシステム「エキスパート・ローダー」、▽CTPから排出されたプレートをインラインで自動版曲げした後、使用する印刷機ごとのスタッカーへ自動振り分けする「プレート・トランスポーテーション・システム」--となる。

これにより、入稿されたデータの手動処理、RIP、面付け、刷版出力、版曲げおよび印刷機ごとの振り分けまでにいたるプリプレス工程の自動化が図れることになった。

 

ニシカワ印刷の日高工場では現在、B縦半裁のオフ輪が2台、A全判両面兼用8色LED-UV印刷機が3台稼働しており、オフ輪も枚葉印刷機もそれぞれで同じ版サイズの機種を揃えている。

4年程前から大手印刷通販会社と協業し、その製造部分を担っている。

そのため枚葉印刷機の運用については、多品種・小ロット化が顕著となっており、直近の年度末の繁忙期では月間で約4万版ものプレートを使用した。

「チラシ市場の縮小化を見据えて、大手印刷通販会社と協業を始めた。これにより、これまではオフ輪専業だった当社が枚葉印刷機を運用するようになり、しかも多品種・小ロットの仕事もすることになった。ロットが比較的大きいオフ輪とは違うためジョブ数が飛躍的に跳ね上がり、しかもこのビジネスは薄利多売になることから、合理化・自動化が必須となる。このように、ビジネススタイルや仕事の内容が大きく変わったからこそファクトリーオートメーション化へと舵を切った。ただ、AIやロボットを使って無人化の方向へと向かっても人材は大事なので、人が行うべき役割を変えて、新しい技術をうまく使った高次元での人と機械の協業を目指す」と、その動機をニシカワ印刷の西川社長は語る。

 

2台のCTPから排出された刷版は真ん中で合流し、インラインで版曲げ処理を行う

2台のCTPから排出された刷版は真ん中で合流し、インラインで版曲げ処理を行う

実際、ニシカワ印刷で本格稼働をしている3つのソリューションの効果として、まず「アポジードライブ オートパイロット」については、協業している大手印刷通販会社と共同で新しい仕組みとワークフローを考え、それに適した自動処理ルールにカスタマイズしたことで、両社のフローが標準化され、人手を介さずスムーズに仕事が流れるようになった。

 

「エキスパート・ローダー」については、プレートの補給回数が減り、時間・労力が劇的に削減した。

ニシカワ印刷の日高工場では2台のCTPが稼働している。枚葉印刷機用途の方が圧倒的に出力枚数が多いため、その判サイズのプレートを1回で大量装填できるよう、そのうちの1台に「エキスパート・ローダー」を接続。

もう1台のCTPではオフ輪用途と枚葉印刷機用途という異なる判サイズの出力をするため、マルチカセットからの供給を採っている。

1日の合計出力版数は1000版以上となるが、プレートの補給回数は、「エキスパート・ローダー」には2日で1回程度、マルチカセットには1日平均で4.5回。

「エキスパート・ローダー」の方は、重たいプレートを持ち上げる必要も梱包材を剥がす必要もないため、補給時間を月間換算すると約20時間の削減効果が生まれた。

 

自動で版曲げされたプレートは余白部のQRコードを読み取ることで、各印刷機ごとのスタッカーへと自動振り分けされる

自動で版曲げされたプレートは余白部のQRコードを読み取ることで、各印刷機ごとのスタッカーへと自動振り分けされる

2台のCTPは向かい合わせに設置され、露光されて排出されたプレートは両側からコンベアで流れ、中央部で1つに合流した後、枚葉印刷機用途のものは自動版曲げが施され、オフ輪用途のプレートはそのまま輪転用のスタッカーへと運ばれる。

この作業を担うのが、「プレート・トランスポーテーション・システム」だ。

刷版の余白部にジョブ情報が入ったQRコードを露光しておき、それをカメラで読み込むことで、版曲げが必要か否か、版曲げが必要ならばどの印刷機に適した処理をするのか、そして版曲げ後にはそのプレートを使用する各印刷機ごとのスタッカーへと自動振り分けして運んでいく。版曲げの際にキズが入ったり、版曲げに失敗するリスクもなくなるという効果もある。

 

 

 

 

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