2018年12月28日

RMGT10 1020V1ST-4

RMGT10 1020V1ST-4

池田印刷㈱(本社・東京都品川区西五反田6の5の34、池田幸寛社長)には、色調に対する品質要求度がとても高い顧客から支持が集まっている。発注する印刷製品のクオリティにもブランドのプライドをかけているような顧客に対し、大量生産による「工業製品」ではなく、そのニーズや要求品質を超えた「工芸品」を納めるという姿勢、それが支持を受ける源となっている。そんな同社では昨年3月、旧型の印刷機3台との入れ替えで、リョービMHIグラフィックテクノロジー㈱製の菊全判4色油性印刷機「RMGT10 1020V1ST-4」と菊半裁4色油性印刷機「RMGT6 690ST-4」の2台を導入した。同社が顧客から求められているもの、そして同社が顧客に供給したいもの、それを再現できるのがこれらの印刷機だ。

 

 

同社は昭和28年創業の総合印刷会社で、とくに美術系印刷・高級印刷を得意としている。コストダウンを求めて大量生産をするという方向ではなく、顧客それぞれのニーズをしっかりと受け止めながら丁寧に小ロット製作することに特化した営業展開をしてきたことで、強い事業基盤を築いてきた。

 

RMGT6 690ST-4

RMGT6 690ST-4

そのような同社では、今回の2台の印刷機を導入するまでは、四六半裁4色機、菊半裁4色機、菊全判2色機、菊全判5色機(すべて三菱重工製)の4台が稼働していた。そのうち、菊全判5色機以外の3台を廃棄し、2台の新台油性印刷機を導入している。「今回の印刷機を選んだもっとも大きな要因となったのは、これまで使用してきた三菱重工製の印刷機および営業・サービスへの信頼から。廃棄した3台は40年以上使い続けたもので、しっかりとメンテナンスをしてきたとはいえ、これほど長期間にわたって高いパフォーマンスを示した機械なのでとても信頼をしている。また、その間のメーカーのフォローも良かった。社名や体制は変わったが、その企業文化や姿勢、印刷機の頑健さは脈々と継がれていると感じられたので、迷いなく選んだ」と、同社京浜島工場の工場長を務める岩佐育美取締役は、印刷機選定の背景を語る。また続けて「部品製造について、海外生産だったり国内生産でも外注だと、大きな災害などがあった時、迅速に調達ができないことも考えられる。日本は災害が多いので、そこも選定のポイントだった。リョービMHIグラフィックテクノロジーの場合、主だった部品は広島県の自社工場内で製造されているので、すみやかに対応してもらえるという安心感も魅力となった」と語っている。

 

 

岩佐取締役

岩佐取締役

色や品質にこだわる顧客に応えるために同社では、ターゲットとの濃度差は各色0.05以内、印刷オペレーターによる全紙の目視検品、そして全ジョブについて本機校正を行っている。もちろん、その労力や負担は大きい。そこで、納品する印刷物のクオリティを保つための労力や負担の一部について、新規導入した印刷機の自動化機能を活用している。両機ともインライン印刷品質管理装置を搭載しており、▽全紙の欠陥検出、▽印刷時に色調のブレがあれば印刷機のインキキーを自動制御--が行われるので、全紙目視検品の手間や濃度誤差の発生、本刷り開始までの時間が抑えられている。また、印刷機各部の状況をオペレーションスタンドのモニターで一括監視ができるディスプレイを活用し、ワンマンオペレーション化も果たした。「これまでの印刷機がとても古いものだったので、それと比較すると生産性が圧倒的に増大した。印刷機の台数自体は1台減っているが、ジョブ替え時間の短縮、検品作業の軽減をはじめとした効果で、生産効率は2倍どころではない。また、ワンマンオペレーション化したこともあり、印刷課の人員数は維持しながら、これまでは1直8時間体制だったものを2直12時間体制とした。全員が毎日4時間残業したのと同じ実働時間になるので、これまでならば深夜まで残業するような仕事量でも今は定時内で余裕をもってできる。印刷課の残業時間がほぼなくなり、ワークライフバランスの面でも効果がもたらされている」(岩佐取締役)

 

藤森リーダー

藤森リーダー

両機の導入は同社の営業面にも効果が出ている。同社では前述の通り、全ジョブについて本機校正をしているが、2紙/3紙校正にも気軽に対応できるようになった。「単純にまったく同じ条件で2種類・3種類の紙に印刷するのではなく、それぞれの紙の特性に合わせた濃度で印刷をして、その各データを印刷機に保存した上で、校正を出している。新台の両機を導入したことにより、データが保存できるので本刷り時にはすぐに色が合う。また、顧客の期待を超える細やかなサービスができるようにもなった」(同社印刷課・藤森茂リーダー)

 

同社では、色や品質に強いこだわりを持つ顧客に対し、小ロットに対応しつつ安定した品質が実現でき、オペレーターの労力も軽減でき、かつ油性印刷であることを条件として新台の選定をしたのだが、実はさらにもう1つの狙いもあった。それは、スマートファクトリー化に対応する印刷機であることだ。

そこでまず今年度中にMISの更新を予定し、そのMISと各生産機器を連動させていき、スマートファクトリーを構築するという将来ビジョンを立てている。「ネットワーク化・IoT化に対応するこの両機は、当工場がスマートファクトリーに進化するための核となる。そして、顧客の期待を超えるような工芸品を納めるために蓄積してきた技術、ノウハウをデータとしてきちんと残し、誰もがそのデータを引き出せば適切に作業していけるようにすることも並行して進めていかなければならない。スマートファクトリー化と技術をデータ化した継承こそが、人口が減少していくこれからの社会においても“工芸品”を作り続けるという、当社の魂を存続させる要になるだろう」と岩佐取締役は今後のビジョンを明かしている。

 

日本印刷新聞 2018年11月26日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

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