2018年11月14日

毎年3月に近隣住民を対象に工場見学会を開催して情報公開している

毎年3月に近隣住民を対象に工場見学会を開催して情報公開している

来年で創業70周年を迎える、鈴木製本㈲(本社・東京都葛飾区、鈴木謙一社長)の草加工場(埼玉県草加市新里町1533の1)は、従業員数10人の小規模ながら手加工の伴う特殊製本に特化して、企画から一貫して顧客のニーズに応える製本会社である。昨年3月に就任した鈴木社長の方針で環境経営に本格的に取り組み、同8月にグリーンプリンティング(GP)工場の認定を受けるとともに、今年の第17回印刷産業環境優良工場表彰で日印産連奨励賞を受賞するなど、着実にその成果が上がっている。
 

同社は昭和24年3月に製本会社に勤めていた祖父・鈴木武雄氏が独立開業。創業当時は、伝票・中綴じ・並製本など一般的な製本を手がけていたが、顧客から手加工が必要な見本帳の依頼を受けたのを機に特殊製本分野に特化すると同時に、社長自ら企業に営業して直接受注することで下請け体質からの脱却を図った。
 

主力製品の見本帳では、カードサイズの紙見本帳をはじめ、襖紙や生地見本帳などの大きなサイズや、靴下の見本帳も製作するなど、綴じる素材を提供すれば、仕様や加工の相談から製作まで請け負う。

オリジナル製品の「ななめリングノート」

オリジナル製品の「ななめリングノート」

リング製本では、リングノート、カレンダー、スケッチブックをはじめ、変形のものもリング製本が可能。同社の代名詞「ななめリング」は平成25年に実用新案登録した特殊製本で、同社を含む紙・印刷加工に携わる6社で紙文具ブランド「印刷加工連」を立ち上げ、ななめリングノートなどのオリジナル製品を国内外で販売している。
 

平成19年10月には製本産業個人情報保護体制認定(SAPPS)を取得。パーソナライズの仕事にも対応できる生産体制を構築している。
 

鈴木謙一

鈴木謙一社長

鈴木社長は、環境経営に取り組んだ理由についてこう説明する。
 

「製本業は比較的環境負荷は少ないものの、やはり環境に配慮した製品づくりが求められている。人材確保のため、働き方改革にも対応しなければならない。社長就任を機に、GP認定基準に合わせて一度社内業務を見直して作業効率の向上を図りたかった。さらにPDCAサイクルを利用して社員教育システムを構築したかった」
 

全社員に意識づけするため、「心がけよう鈴木製本の5S!」と題するオリジナルの啓蒙ポスターを工場内に貼り出し5S活動をスタート。
 

ごみの分別は以前から行っていたが、GP認定基準のチェックシートを作成して徹底管理を行った。その結果、廃棄物が減り、資源ごみの買取りで利益が出るようになった。工具・備品には色テープを貼って、使用後は同じ色テープの貼ってある箱に戻すことにより、紛失による無駄な出費がなくなり、作業効率も向上した。
 

省エネ対策では、昼休み時間の消灯のほか、照明スイッチをエリアごとに付けた。以前はスイッチが1つだったので残業時には使用しないエリアの照明も付けていたが、交換後は、無駄な点灯がなくなり電力使用量も削減した。さらに来年1月には工場内のすべての照明をLED化する計画。
 

騒音対策では、フォークリフトをガソリン車から、電動車に入れ替えた。また、配送トラックやフォークリフトのアイドリングストップを励行した。
 

このほか、工場敷地内の緑化面積も拡大した。
 

一方、地域住民とのコミュニケーションを図るため、週1回、工場周辺の清掃を行っている。また、毎年3月に近隣住民を対象に工場見学会を行うなど、製本業への理解を深めてもらう活動も積極的に行っている。
 

さらに、埼玉県から埼玉県シニア活躍推進宣言企業(生涯現役実践企業)に認定されており、短時間勤務を希望するシニアの人たちを積極的に受け入れるなど、行政の施策にも率先して協力するなど、同社の取り組みは環境活動に止まらず、CSR活動へと広がっている。
 

働き方改革の一環で、勤務時間を午前8時から午後5時まで、繁忙期以外の残業は原則午後7時までの2時間以内と定めている。「いかに作業効率を高めていくか皆で取り組んでいる。残業代は減るが、その分、業務改善で生まれた利益は賞与で還元しており、従業員の収入は依然と変わらない」(鈴木社長)と5S効果を強調する。
 

若い人たちが集まる会社へ

 

今後の事業展開について、鈴木社長はこう抱負を語る。
 

「これからは何をやるのにも人の力が大事。とくに当社は機械でできないものを手作業でしたり、人のアイデアを形にするので、若い人たちが働きたいと思う製本会社をめざしたい。もう一つは営業力の強化である。同業者から製本業が営業を採用しても採算が合わないといわれるが、営業をとおして情報収集したり、お客様が求めるものは何か、当社に対する評価など、いろいろわかる。ぜひ来年は未経験者を採用して営業活動に力を入れたい」
 

鈴木博

鈴木博会長

鈴木会長も「長年培ってきた特殊製本技術の“ひきだし”をたくさん持っているのが当社の強みである。時代は常に変化しているが、現在の得意分野を奥深く取り組むとともに製本屋としてのプライドを持ってやっていきたい」とさらなる発展に向けて意欲を見せる。
 
 
 
 
 
 

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