2018年11月14日

池田幸寛

池田幸寛社長

ことしで創業65周年を迎えた池田印刷㈱京浜島工場(東京都大田区、池田幸寛社長)は、日本印刷産業連合会(金子眞吾会長、日印産連)が主催する「平成30年度・第17回印刷産業環境優良工場表彰」で、最高賞の経済産業大臣賞に選ばれた。小規模事業所部門に応募した企業が経済産業大臣賞を受賞したのは初めて。さらに環境優良工場表彰の奨励賞、特別賞、日印産連会長賞、経済産業省商務情報政策局長賞、経済産業大臣賞とすべての授与賞を受賞する快挙も達成した。中小・中堅印刷企業におけるCSRのリーディング・カンパニーとして、今後の事業活動にSDGsを取り入れてさらなる高みを目指す。
 

池田印刷は1953年11月に池田幸寛社長の父・池田寛氏が創業した総合印刷会社。正規従業員数は32人。東京都品川区西五反田にある本社ビルでは、営業部門と、企画デザイン部門の関連会社ザ・デジタルソリューションズが業務を行っている。
 

同社は創業時から環境問題に対する意識が高く、1998年に紙ゴミゼロを宣言し各事業所で発生する廃棄紙をすべてリサイクルする取り組みを開始。さらに米国政府刊行印刷物に指定されている大豆インキを積極的に採用した。2003年に加盟している東京都印刷工業組合が実施したISO14001認証の合同取得事業に参加してISO14001認証を取得。社内にPDCAサイクルが定着すると、2004年3月にはISO9001認証(品質マネジメントシステム)を取得すると同時に業界で初めて統合マネジメントシステムの認証を取得。さらに2006年5月にプライバシーマーク(JISQ15001)認証も取得するなど、主要な認証をすべて取得している。
 

京浜島工場は、1983年5月に操業開始した東京都大田区京浜島(工業専用地域)にある、高級カタログ・パンフレット・ダイレクトメールなどの刷版~印刷~製本加工を行っている同社の主力工場である。正規従業員32人のうち15人が勤務している。
 

今回の経済産業大臣賞受賞について、岩佐育美取締役製造部部長・京浜島工場長はこう述べて喜びとともに気を引き締める。
 

岩佐育美

岩佐育美工場長

「全員が一つの目標を持って取り組んだ成果だと思います。これは1人、2人の社員だけの努力でできるものではない。全員で取り組まないとできないので、コツコツやっていくことが大切です。私たちは常に夢や志を共有し、その実現に向けて全社員がチームワークを持って邁進できるのが強みであり、会社発展の推進力にもなっています。今後は、この風土を継承・発展させ、変化を敏感に先取りした自己変革を重ねながら事業活動を展開し、持続的な成長を遂げていきたい。同時に長期的に企業として人々や地域社会から信頼される存在になるために、あらゆるステークホルダーとの良好な関係を構築していきたい」
 

木目調で仕上げたミーティングルーム

木目調で仕上げたミーティングルーム

京浜島工場は完成してから30年以上経過して老朽化が進んでいたため、2017年3月に大幅な改装に着手。「社員のために健康で安全な労働環境を確保することが重要」(池田社長)との考えから、社員の利用度が高い食堂、ミーティングルーム、トイレを優先して改装した。部屋全体を癒し効果のある木目調で仕上げており、社員からも好評だという。
 

同時に製造業として肝心の設備面でもオフセット印刷機2台およびPOD機を最新機種にリニューアルし、印刷品質と生産性の向上を図った。
 

また、助成金を活用して2017年12月に京浜島工場のすべての照明をLED化の省エネタイプに変更。屋上にはソーラーパネルを設置した。これによって約10㌔㍗の発電が行われ、自己消費として使用している。非常時には蓄電池への蓄電にも切り替わるので、BCP対策としても有効だ。また加湿器設備をフロン不要の省エネタイプに変更した。
 

これらの取り組みによって、2018年度のCO2削減効果は対前年比79・7t―CO2、CO2削減率は同52・1%の大幅な削減が見込まれている。

屋上緑地庭園化。毎年緑地面積を増やしていく予定

屋上緑地庭園化。毎年緑地面積を増やしていく予定


 

さらに京浜島工場の屋上緑地庭園化を図った。屋上の防水加工を強化し、生物多様性を意識し緑地化することによって、付近の野鳥や社員の憩いの場となるように、毎年、緑地面積を増やしていく予定である。
 

同社は、これまでに環境活動の一環として、2013年2月に富士フイルムグループ会社のFFGSグラフィックサプライ㈱が運営窓口の「CTP版/PS版クローズドループリサイクルシステム」を導入。使用済みプレートのアルミニウムを再利用することにより、大幅なCO2削減・省資源化を実現している。平成29年4月から平成30年3月までの1年間のCO2削減量は69㌧、電気代に換算すると年間397万円の削減を達成した。
 

同社は、経済産業大臣賞の受賞以降も、さらに環境保全活動を深化させている。
 

1つめはプリプレス部門において、約1カ月のテスト期間を経て9月から富士フイルム製完全無処理サーマルCTPプレートに全面的に切り替えた。
同製品はアルカリ現像やガム処理などの処理工程が一切不要という正真正銘の“完全無処理”を実現。現像工程がなくなることで、それに関わる資材やエネルギーも不要になり、機器メンテナンスの工数も削減され、現像廃液や水の使用量もゼロになるなど、省資源に大きく寄与する“オフセット用CTPの究極形”といわれており、採用から1カ月余で省資源と生産性向上を実感している。
 

2つめは印刷機のシリンダーに残る余分なインキをとるドクターブレード専用の洗い場を新設し、廃液の徹底管理と作業環境の改善を図った。
 

3つめは、工場内で唯一、整頓されていなかった資材倉庫を銘柄や在庫数がひと目でわかるように改装した。
さらに、今年3月に京浜島工場の屋上緑地庭園化の第1期工事が完了していたが、9月に緑地化面積をさらに2%増やした。
 

五反田本社でも環境活動

 

同社のCSR活動は京浜島工場だけでなく、五反田本社でも創業以来、「朝当番制活動」と銘打って、本社社員が1週間の交代制で毎朝午前8時前から30分程度、五反田本社周辺の清掃活動を行っている。「場を清める」精神の実践と、学校児童の見守りなど地域への貢献を目的として実施している。清掃ボランティア「朝当番制活動」は、創業から半世紀以上にわたり、平成25年には東京都品川区から「しながわ環境大賞 環境賞」を受賞した。
 

「小学生から大人まで、近隣地域の皆さんと『おはようございます』とあいさつして活動することはとても清々しく、環境美化への意識がさらに高まる機会となっている。清掃ボランティア活動によって、環境美化への関心、人々との交流をとおして得るものは物質的利益とは比べものにならないほど価値がある」と池田社長は、その意義を強調する。
 

このほかにも、持続可能な社会の実現をめざして、2014年3月には全営業車両をハイブリッドカーに切り替え、2017年9月には電動フォークリフトを採用するなどCO2の削減に努めている。
 

SDGsをテーマに次のステージへ

 
同社は、ステークホルダーとより健全な調和のとれた事業活動をめざし、14年前からCSR経営に取り組んできたが、創業65年の節目を迎えた今年度からCSR経営に加えてSDGs(持続可能な開発目標)を新たなテーマとして掲げ、活動を次のステージに進めるべく準備を進めている。14年間発行してきた『CSRレポート』を今回から『CSRレポート&SDGsレポート』に刷新し、紙面を通じて改めて持続可能な社会に向けて自社が取り組んできたことだけでなく、今後はこれから取り組むべき目標などもしっかりと伝えていく方針である。
 

同社は、少しでもステークホルダーに貢献できるよう社内および関連会社において地域活性プロジェクトを発足し、品川区が行っているしながわCSR推進協議会やNPOまちづくり大井に参画し、しながわマーチング委員会を主催し、地域の活性化にも取り組んでいる。
 

池田社長は「CSRというと社会貢献活動の質や数を見ることが多いが、日々のすべての事業活動において、さまざまな活動が進んでいく仕組みづくりこそが重要だと考えている。SDGsを取り入れていくのにあたって、まずは現状認識からスタートし、全社員と積極的なコミュニケーションを重ねながら、数々のステークホルダーによって構成される社会との関係において、池田印刷らしさ、強みをより強くし、弱みを克服していく、経営としての取り組みを加速して、自社の競争力を高めていきたい」と意気込みをみせる。
 

屋上にはソーラーパネルを設置。約10㌔㍗の発電が行われ、自己消費として使用している

屋上にはソーラーパネルを設置。約10㌔㍗の発電が行われ、自己消費として使用している

今後の事業展開について、池田社長はこう抱負をかたる。
 
「長年目標としていた経済産業大臣賞を受賞することができて非常にうれしく思う反面、まだまだやり残したことがたくさんあるというのが本音である。実は今回の受賞を社員に伝えた時に社員もまったく同じ思いだったので、環境への取り組みが全社員に浸透していることにうれしく思う。当社は『最善』を経営理念に掲げており、“お客様にとってより良い品質の製品を、必要な時に、適正価格でご提供すること”を軸として具体的な品質管理の取り組みへとさらに強化し進めている。同時に環境の時代を迎え、事業活動のみならず社会システムや人々の価値観をも含む大きな変革に向けて、私たちの活動が環境に与える負荷を技術的・経済的に可能な範囲においてできる限り軽減し、『環境との調和』をスローガンとして地球規模の環境保全と情報の担い手としてのさらなる社会貢献をめざして全社員一丸となって活動していきたい」
 
 

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