2018年08月15日

大東印刷工業㈱(本社・東京都墨田区向島3の35の9、佐竹一郎社長)は平成28年2月、既設の菊半裁5色機に東京印刷機材トレーディング㈱(本社・東京都荒川区、仲尾康弘社長)が提供するLED-UV乾燥装置「Dry-G」を後付け搭載し、厚紙印刷における板取り作業、スプレーパウダーによる問題などを解消したほか、表面加工適性も向上させた。その効果の大きさから同社では、平成29年2月に厚紙印刷用途の菊全判5色機に、さらに12月には薄紙印刷用途のダブルデッカータイプの菊全判10色機に3台目となる「Dry-G」を後付けで搭載。あらゆるジャンルのアプリケーション製作においてLED-UVによる即乾効果を活かし、印刷品質と作業性を向上させるとともに、製造スケジュールの柔軟性も高めた。

 

 

同社は昭和25年創業の総合印刷会社で、セールスプロモーションツール系の印刷物製作と小ロットのカラーページ物印刷を主とした営業展開をしている。菊全判からA3判まで9台42胴の枚葉オフセット印刷機ほか、プリプレス、POD機、折り・綴じ・断裁・抜き・箔押しといった各種加工機までをラインナップし、社内一貫生産ができるシステムを整えている。また、これらすべての生産機器の稼働スケジュール、実績、各ジョブごとの採算性・利益額をはじめとした各種データの見える化を図っており、それをベースにした改善と最適化策を積み重ねてきたことにより、業界平均値をはるかに上回る経常利益率を上げている。

 

佐竹社長

佐竹社長

そんな同社がLED-UV乾燥装置「Dry-G」の後付け搭載を初めて行ったのは、厚紙印刷時の板取り作業や裏付きを排し、かつパウダーレス化によってPP貼りなどの表面加工をする際の品質を高めることを目指したからだった。その狙いはピタリとはまり、想定以上の効果をあげた。そこで、厚紙印刷を主用途とするもう1台の印刷機にも「Dry-G」を後付け搭載することにした。「LED-UV印刷化の効果が想定以上だったので、サイズが大きい菊全機にも搭載することにした。やはり厚紙印刷を油性インキでやると、どうしても板取り作業が必要となる。これまでは印刷後にインキ乾燥のために1晩置いておき、オペレーターは翌朝の印刷作業に入る前、板取りをしてあった印刷物を積み替えるという作業を毎日行っていたが、それもなくなった」(同社・佐竹社長)

 

とは言うものの、LED-UV印刷化したからといって顧客は高い印刷料金を支払ってくれるわけではない上、資材価格は油性印刷に比べると高くなる。その一方で、毎朝に行っていた積み替え作業がなくなったこともあり、オペレーターの超過勤務時間も減っているという。その辺りの評価について佐竹社長は「オペレーターが毎朝やっていた積み替え作業がなくなり、その時間を実生産作業に充てられるようになった。昨年7月の決算では1台目のLED-UV機は丸1年、2台目のLED-UV機は約半年稼働し、売上額は大きく変わらなかったものの、経常利益率が約13%というとても良い結果となった。この好業績の裏にはLED-UV印刷化も少なからず寄与している。ただ、超過勤務時間が減るとオペレーターにとっては収入減になる。その前の期に比べてオペレーターの超過勤務時間は減ったが、業績を反映した決算賞与で成果を分配し、結果としてオペレーターの年収も増えた。会社にとっても従業員にとっても良い結果となった」と分析している。

 

LED-UV印刷化したことによるもう1つのメリットとしては、社内でのスケジュール組みに柔軟性が出たことだ。前述のとおり、同社ではMISによって各ジョブごとの利益率管理・見える化が図られており、それを算定する中で各ジョブや生産機のスケジュール管理は重要な要素となる。基本的に同社では、印刷の翌日に加工を行っている。しかしながら、たとえばデータ入稿が予定よりも1日遅れた場合、顧客の想いとしては入稿が遅れた1日分だけ納品日がずれ込むと考える。しかし実際には、印刷作業は1日分後ろ倒しにできるものの、その翌日の加工スケジュールは埋まってしまっていて納品が翌々日以降になるということもある。「油性印刷と同じ価格でやっているので印刷と加工を同日に行うことを推奨はしていないが、LED-UV印刷化したことでその日のうちに加工まで行うこともできるようになり、社内でのスケジュール組みに柔軟性が生まれた。たとえば、印刷を木曜日、加工を金曜日にする予定だったものが1日ずれこんだ場合、本来は休みである土曜日にオペレーターに出社してもらうケースもあったが、金曜日に印刷から加工まですることもできる」(佐竹社長)

 

ダブルデッカー機の下ユニットに搭載したLED-UVとカメラ

ダブルデッカー機の下ユニットに搭載したLED-UVとカメラ

そして同年12月、今度は薄紙印刷用途のダブルデッカータイプの菊全判10色機に「Dry-G」を後付け搭載した。「この印刷機は導入から15年程経っており、オーバーホールが必要な時期だったので、その際にLED-UVを後付け搭載した。両面機なのでパウダー量が多いこと、そのパウダーが折り・断裁加工時に舞ってしまうこと、そしてなにより両面機の宿命とも言える吸引車によるキズ入りという問題があったからだ」と佐竹社長は3台目のLED-UV乾燥装置を導入した経緯を語る。

 

そしてこの印刷機には、LED-UV乾燥装置とともに、これも東京印刷機材トレーディングのインライン紙面検査装置「BOTHΣSENSOR」も後付け搭載した。オペレーターは短時間で両面の紙面をチェックするので、ヒューマンエラーが起こる確率が高くなる。またUV印刷化したので、カメラで検査した後にパウダーなどで起こるトラブルがないので効果が高いことから「BOTHΣSENSOR」の搭載を決めた。さらに今後は、「BOTHΣSENSOR」が印刷物の欠陥検査だけでなく全品の濃度測定もでき、かつその測定結果に応じて印刷機のインキキー開度に反映させる機能も有していることから、それを活用して印刷物全品の色調自動コントロールをしていくことも同社では予定し、さらなる作業性と品質の向上を目指している。

 

 

日本印刷新聞 2018年4月2日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

先進企業事例紹介-関連の記事

PAGE TOP