2018年07月31日

図書印刷は7月24日午前10時半から印刷業界紙記者懇談会を開き、川田和照社長が2018年3月期の事業報告、中期経営計画進捗状況の報告を行った。中朝長期的には「情報をデザインする会社」をめざす。懇談会には髙坂範之取締役副社長、矢野誠之専務取締役、藤野俊二常務取締役、服部武郎常務執行役員(技術開発本部長)らも出席し質疑に応えた。新商材「BIZSTEP」(モバイルラーニングサービス)、3月に導入したコンビネーション印刷機も紹介した。
 

川田和照社長

川田和照社長


 

川田社長は要旨次のとおり述べた。
 

図書印刷は、市場環境の変化に対応するため、これまで出版、商業、新聞で構成していた「印刷事業」のセグメントを「情報デザイン事業」に、学校図書が担ってきた「教科書出版事業」を「教育ソリューション事業」に名称変更した。
 
情報デザイン事業は、出版印刷分野、マーケティング分野、新聞印刷分野の3つに分け、それぞれを市場環境変化に対応しやすくし、より付加価値の高いサービスを顧客に提供していく。
 
教育ソリューション事業では新たに設立した「KGエデュケーションHD」を中心に桐原書店、学校図書を傘下とし、幅広い世代への教育ソリューションの提供と各社の強みである英語を軸とした教育ビジネスの展開・拡大に取り組んでいく。
 
18年3月期の売上高は536億円(前期比0・3%減)、営業利益は5500万円(同80・5%減)だった。
 
情報デザイン事業のうち出版印刷分野は市場縮小の影響を受け、売上高前期比5・3%減となった。出版物の受注が雑誌、書籍とも減少した。とくにコミックスの受注が同10%弱減と大幅に減少した。学習参考書は堅調で同10%強の伸びだった。
マーケティング分野は、販促手法のデジタル化対応の遅れから同3・9%減となった。
 
教育ソリューション事業では、17年11月から実施した桐原書店の連結子会社化の効果もあり、営業利益が1億8100万円となった。
市場環境の変化としてデジタル化の影響による紙の印刷需要の急激な減少があげられる。
 
17年の出版市場は対前年比6・9%減少した。広告市場のプロモーションメディア費は同1・5%減だった。紙メディアが減少している。想定以上の速度で進行しており、収益改善を早期に進めていく。
 
そのため、販促部門のソリューション指向への転換。成長・未開拓部門への最適なリソースの配置転換。工場の省力化・省人化をさらに加速化していく。
 
18年3月期現在、売上の9割以上を情報デザイン事業、残りが教育ソリューション事業である。今後は情報デザイン事業の売上構成を印刷だけではなく印刷周辺サービスを加えた構成とし、マーケティング分野の売上拡大により着実な事業構造転換を実現させていく。
 
教育ソリューション事業においても、出版物と教育関連サービス提供の両輪によりさらなる事業拡大を図っていく。
そのための投資として、印刷事業の収益改善、印刷周辺サービス領域への進出、教育ソリューション事業の拡大に対して引き続き投資していく。
 

「情報をデザインする会社」に変える

 

2019年3月期は、同社中期経営計画(17~19年度)の2年目に当たる。事業環境変化の想定以上の進行を踏まえ、既存事業の収益改善を着実に実施していく。教育ソリューション事業は、KGエデュケーションHDを中心として英語教育を軸に事業拡大を図り、増収を見込む。
 
中長期ビジョンとしては、これからの図書印刷を「情報をデザインする会社」に変えていく。
 
デジタル化、ネットワーク化といった社会の構造的変化も踏まえ、出版印刷では出版製造物に加え、企業や個人を含むコンテンツホルダーの情報発信をプロデュースしていく。
商業印刷では、マーケティング活動全般を支援するため、既存事業だけでなく、印刷周辺サービス領域へのさらなる拡張など活動のフィールドを広げていく。
 
情報デザイン事業では、出版印刷分野においては、出版社をはじめとするコンテンツホルダーのパートナーとしてコンテンツビジネスを強力に支えていく。そのため出版ビジネスモデル変化への対応を強化する。
多様化する出版ニーズに対応した特徴ある設備の導入や、デジタル印刷をはじめとした小ロット短納期高付加価値製品の製造などフレキシブルな生産体制による事業体制の構築を図っていく。同時に物流支援なども進めていく。デジタルコンテンツの制作能力の向上、デジタルファーストへの対応強化などによる電子書店や出版サイトとの販売連携や販路拡大の支援も行っていく。
作家・クリエイターへのアプローチによる図書印刷のファンの育成や、クラウドファンディングの活用など個人コンテンツホルダーに向けた新たなビジネスの創出も進めている。
 
マーケティング分野では、顧客と消費者のコミュニケーション支援を適切なメディアで発信する総合的なマーケティング支援に取り組んでいく。
マーケティング機能強化としては、販促会社との人材交流や経験者採用による企画提案力の強化、プロデューサー・プランナーの育成・確保を行っていく。
ビッグデータの解析をはじめとしたデジタルマーケティング分野への進出や、テスト・検定事務局などの高セキュアBPOサービスや、CRM、マーケティングオートメーションなどITサービスの開発も行う。
他社とのアライアンスやM&Aも検討していく。
 
 

モバイルラーニングの新サービス「BIZSTEP」を展開

 
なお懇談会で紹介された「BIZSTEP(ビズステップ)」は、図書印刷がイー・コミュニケーションズと共同開発したモバイルラーニングの新サービス。2月にリリースした。
 
BIZSTEPは、成長意欲の高いビジネスパーソンの自発的な学習サービスのための新しいモバイルラーニングサービスで、ビジネスパーソンに必要な営業、コミュニケーション、法務などの全30ジャンル以上の知識を横断的に測定し、業界、職種、職位、年収ごとに必要なビジネス知識を見える化することができる。これにより、学習者は自分の現在地、将来ビジョンとの差分を明確に把握することができる。またその差分を埋めるために必要なドリルなどの学習教材、関連するビジネス書籍情報なども提供する。
 
今後は、イーコミュニケーションズが創業以来培ったテスト・エデュケーションおよびビッグデータ解析の技術と、図書印刷がもつ教育分野での企画制作・課題解決力を応用し、ユーザーの学習状況に合わせた最適なテスト問題、教育プランを提供していく。
 
 

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