2018年07月30日

共同印刷㈱(藤森康彰社長)は7月19日、東京・小石川の本社で2018年度業界紙記者懇談会を開き、第138期(2017年4月1日~2018年3月31日)の業績状況はじめ、経営課題と展望、主な新製品・新サービス、CSRの取り組みなどについて説明した。第138期は、連結売上高950億7600万円(前期比0・6%増)、営業利益17億2600万円(同48・4%減)、経常利益26億4400万円(同35・4%減)、当期純利益20億3700万円(同21・3%減)と増収減益となった。2018年度から3カ年の中期経営計画を策定し、3年後の連結売上1080億円を目標に掲げ、藤森社長は「印刷に留まらない事業領域の拡大に努め、信頼される企業グループをめざし、社員一人ひとりが自らのなりたい姿と志を胸に豊かな未来を目指して挑戦し続けたい」と述べた。
 

藤森康彰

藤森康彰社長

 

4月から「TOMOWEL」が本格的に歩み出す

 
はじめに、第138期の事業報告を説明したのち、藤森社長が経営の課題と展望について次のように説明した。
 
共同印刷グループは昨年6月に創業120周年を迎えたことを機に新たなコーポレートブランド「TOMOWEL(トモウェル)」を導入し、今年4月から本格的に歩み出した。また、2018年度は経営ビジョンを新しく策定した。新経営ビジョンは「私たちは、誠実なコミュニケーションと市場をリードする技術力でお客さまの想いをカタチにし、新たな価値を創出し続ける企業グループをめざします。」とした。当グループが10年後にありたい姿を示したもので、中期経営計画の着実な実行によって達成をめざしていく。
 
次に昨年度の取り組みを交えながら事業分野別の取り組みについて説明したい。
 
情報系事業では、お客さまの課題解決に向けた販促支援サービス、業務支援サービスの提案を強力に推進している。出版印刷ではデジタル印刷機を活用した小ロット印刷の提案により教育分野の受注拡大に取り組むとともに、マンガを中心としたコンテンツをデジタル展開するデジタルソリューションを推進している。6月には、より高品質なマンガ電子書籍を作成するため、新たな画像処理システム「eComicScreen+(イーコミックスクリーンプラス)」を開発した。これはモアレを抑制して高品質な電子書籍用のまんが画像を生成する「eComicScreen(イーコミックスクリーン)」の機能を、AI技術を活用して向上させたもので、出版社などへの提案を開始している。
また、生産効率の向上をめざして、五霞工場への生産機能の集約を進めた。枚葉機の五霞工場への移設といった設備配置だけでなく、事前設計や進行管理といった業務面も見直し、利益確保に努めている。
 
一般商業印刷では、お客さまの課題解決につながるトータルソリューションに引き続き取り組んだ。とくにプロモーション分野においては、販促施策と効果の見える化を提供する顧客分析サービスやデジタルサイネージを活用した販促ソリューションの提案、地方のブランディング事業受託の取り組みに努めた。地方のブランディング支援では新潟県糸魚川市や鳥取県西部地域などで具体的な取り組みが進んでいる。ビジネスメディアでは、マイナンバー制度や金融関連、医療や介護分野におけるBPO需要の取り込みをめざし、営業の提案力および業務設計力の向上を図っている。川島ソリューションセンターでは昨年4月の新棟完成によって拡張した生産スペースを活かし、設備の増強や再配置を行った。
 
本年3月にはセンター内にクレジットカード業界のセキュリティ基準に準拠した環境を構築し、クレジットカード加盟店におけるカード情報の非保持化を支援するBPOサービスの受注を開始するなど、BPOサービスの受託体制をよりいっそう強化した。ICカードや抽選券、乗車券などの証券類についても省力化設備の導入などで生産体制の効率化を図った。昨年8月にはBCMS(事業継続マネジメントシステム)の認証範囲を川島工場に加えて、カード製造の拠点である鶴ヶ島工場に拡大した。BCMSは自然災害や人的災害などの突発的な事態で主要需要が中断した際に事業を再開・復旧するための行動計画を教育訓練、内部監査、改善などのPDCAマネジメントシステムを通じて効果的に運用管理する仕組みである。マネジメントシステムの実効性向上に努め、お客さまと社会からよりいっそう信頼される体制づくりを進めていく。
 
一方、生活・産業資材系事業では、軟包装の生産拠点である守谷工場の再編作業を進めるとともに、強みを持つ製品の受注拡大に注力。紙器は、昨年1月に設立した共同NPIパッケージ㈱が本格稼働し、ティシューカートンの受注拡大により順調に売り上げを伸ばしており、収益の確保に取り組んでいきたい。
 
軟包装事業では、湯切りフタ材「パーシャルオープン」、液体・粘体用ミニ容器「Tパウチ・ショット」、中容量フレキシブルコンテナー「ハンディキューブ」などの提案を強化した。ハンディキューブは、業務用の調味料や油などの容器以外に、非常時の飲料水容器としても高い評価をいただいており、防災用品として千葉県柏市など自治体での採用例も出てきている。4月には守谷第一工場の軟包装専用棟が竣工した。食品安全マネジメントシステムの一つであるFSSC22000の認証取得を視野に入れた国内最新鋭の生産環境を構築し、お客さまに安心・安全な包装材料をお届けする体制を強化している。また、新棟では既存設備の移設と、新規設備の導入を進めており6月から順次、本生産を開始している。チューブ事業では、国内トップシェアを誇る歯磨き向けチューブの生産体制の増強を図るとともに、化粧品向けチューブの受注拡大をめざし、フルプリント仕様のチューブ提案を強化した。また、共同印刷ベトナムおよび昨年6月に子会社化したインドネシアのアリス社の生産設備と人員体制の強化に取り組み、東南アジアでの受注拡大をめざしている。
 
産業資材では、「モイストキャッチ」をはじめとする高機能製品について、医薬品・包材向けを中心とした新規得意先や新規市場の開拓に取り組み、受注拡大を図った。昨年6月には内容物を長期にわたり乾燥状態に保存でき、ポケット成形性を高めた「モイストキャッチアルミPPPC」と、香りや薬効を漏らさない「ノンキャッチ チャック袋」を発表した。引き続き、医薬品業界や電子部品業界への提案を進め受注拡大に努めたい。
 
当グループはこのたび、2018年度から3カ年の中期経営計画を策定した。印刷業界を取り巻く状況は決して楽観できるものではないが、経営ビジョンの実現をめざし、グループ一丸となって本計画の達成に取り組んでいく。中期経営計画では、中期経営方針を「強みの育成・拡大と、事業基盤の改革に挑戦し、成長を続ける。」としている。最終年度となる2020年度に達成すべき経営目標数値として、連結売上高1080億円、連結営業利益40億円、連結経常利益47億円、ROE5・0%、EBITDA100億円をめざす。
 
経営目標数値を達成するための取り組みとして、情報系事業ではお客様の販促支援や業務支援に向けデジタル領域を中心に多様なソリューション提案を推進していく。出版分野ではマンガをはじめとしたデジタルコンテンツ関連の受注拡大とともに、デジタルコミック書店「ソク読み」の販売力強化と、マンガを中心とした海外への版権販売事業拡大を通じて、電子書籍事業の拡大をめざす。プロモーション分野では、Webを活用したプロモーション施策をはじめトータル受注の拡大をめざす。
 
さらに業務の最適化及び効率化の実現に向けた細やかな提案活動と、業界トップクラスのセキュリティ環境を構築した川島ソリューションセンターの受託体制により、金融機関や官公庁・地方自治体からのBPOの受注拡大に取り組むとともに、新たに医療や介護の分野でのBPOの受注拡大をめざす。
生活・産業資材系事業では、新たに竣工した守谷工場軟包装専用棟の機能を活かし、軟包装事業を拡大していく。

 
 

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