2018年07月03日

松本佐恵美 ピエール ドゥ ロンサール(910×652mm)

ピエール ドゥ ロンサール(910×652mm)

 

先月、19年余り勤めた印刷図書館を退職し、洋画家として歩み出した松本佐恵美さんの個展「松本佐恵美展」が、7月22日から28日まで東京・日本橋の「ギャラリー白百合」で開かれる。松本さんが個展を開くのは6年ぶり。今回は大好きな花や風景をモチーフにした新作をはじめ、公募展受賞作など約30点の作品を発表する。

 

松本さんは1963年佐賀県唐津市生まれ。現在、日本美術家連盟会員。

 

松本さんは絵を描くようになったきっかけについて次のように話してくれた。

 

松本佐恵美

松本佐恵美さん

 

昭和40年代、生まれ育った佐賀県唐津の山里では、結婚式を公民館で開いていた。煌びやかな花嫁さんを描きたくて、小学校に上がる前の松本さんは誰よりも早く見やすい場所を陣取り、鉛筆を走らせたという。18歳の春、大志を抱き、東京藝術大学日本画科を2度受験するも不合格。その後、相次ぐ家族の不幸が続き、帰る場所も自分の居場所も失いかけた20代半ばのある日、松本さんを「絵の道」ヘ歩かせる出来事が起きた。

 

当時働いていた東京の有名百貨店で、上司から「薔薇の絵を描いて、ディスプレイに飾ってほしい」と頼まれ、勇気を出して描いた。ある日の午後、足早に歩いていた中年の女性がふと立ち止まり、薔薇の絵をずっと見ている。しばらくすると小さな声で「この絵を見ていると気持ちが癒されるわ。私ね、親の介護にずっと追われて、今日も急いで帰ろうと思ったけれど、何となく引き寄せられたの。気持ちが優しくなれるわぁ、来てよかった、ありがとう」といって立ち去ったという。見ず知らずの人が、自分の描いた小さな絵に心をとめてくれたことは松本さんにとってこれまで味わったことのない感動だった。その時、松本さんは「時間はかかるかもしれないけど、私なりの歩き方で描き続けていこう」と決心をした。

 

以来、勤めのかたわら創作活動を続け、1993年にギャラリーモテキ(銀座)で初の個展を開いたのをきっかけに94・99年ギャラリーオガタ(銀座)、95・96年ギャラリーエコー(唐津)、98年スペース会(築地)、2001年藤屋画廊(銀座)とほぼ毎年開催して、数多くの作品を発表。2005年からは公募展にも出品し始めると、その年の第58回示現会展で初入選する快挙を達成。その後も第60回(07年)で会友推挙、第61回(08年)で佳作賞、第63回(10年)で準会員推挙、第64回(11年)で北村賞、第67回(14年)会員推挙を受賞するなど、入賞の常連としてファンも多い。しかし、勤めと絵を両立するのは想像以上に激務のため、個展は2012年ギャラリー白百合で開催したのを最後に遠ざかっていたが、お世話になった人たちへの恩返しに6年ぶりに開催することを決めた。

 

松本佐恵美 睡蓮(727×500mm)

睡蓮(727×500mm)


 

松本さんは、今後は長年住み慣れた東京を離れ、夫が暮らす京都に転居する。そして、30年ほどライフワークとして描き続けてきた絵画の道に専念するそうで、すでに京都にアトリエも借りた。

 

最後に松本さんは「美術を通して、少しでも世の中のお役に立てればと思っています。東京を離れる前に、個展を開催する運びになりました。まだまだ未熟ですが、ぜひお立ち寄りください」と絵画を通じて感謝の気持ちを伝えるため、現在も出品作品の制作にあたっている。

会期中、松本さんは終日在廊している。

 

松本佐恵美 牡丹(410×318mm)

牡丹(410×318mm)

 

【松本佐恵美展】

 

会期 2018年7月22日(日)~28日(土)午前11時~午後6時30分(最終日は午後4時まで)
会場 ギャラリー白百合(東京都中央区日本橋3の2の6岩上ビル1階、電話03・3271・3600)※JR「東京駅」八重洲北口から徒歩5分、東京メトロ銀座線・東西線「日本橋駅」B3出口から徒歩1分
 
 

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