リョービMHIグラフィックテクノロジー㈱がIGAS2018の出展概要を発表した。
東6ホール6-1にブースを構える今回は、「Assist Your Potential(技術力と創造力で、あなたの可能性を支援する)」というテーマを掲げ、印刷業界の未来像を提案する。
同社が今回の出展にあたり掲げたテーマは「Assist Your Potential(技術力と創造力で、あなたの可能性を支援する)」。
同社が考える未来のスマートファクトリーは、ますます早く変化する市場動向に対して、人と機械やシステムが協力・協働して問題を解決し、需給変動に応じた最適生産が行われるというもの。
印刷機は自動化・省力化、印刷品質向上、短納期化が進み、IoTやクラウドなどの技術を活用して、印刷機の稼働状況がリアルタイムで見える化され、離れた場所から機械トラブルの状況を特定していち早く機械が復旧される。工場内物流においては用紙や印刷物などの次工程への運搬、荷物の積み降ろしなどの繰り返し作業をロボットが担っていく。
このように同社が提案する自動化・省力化技術は、人を援け、時間と労力を費やす作業を代行する。
それによって生まれる余力で各印刷会社が持つ強みやノウハウを発揮できるようにアシストし、そして人が中心になって機械や技術を使いこなす世界を目指す。
未来のスマートファクトリー構想
ロボットによる自動化
同社が属するリョービグループは自動車用ダイカスト部品を手掛けており、ダイカスト鋳造や検査工程などで数百台規模のロボットを運用している。
そこで同社ではグループの強みを活かし、複数の世界的ロボットメーカーと連携して、用紙や資材、仕掛品、完成品の工場内の運搬というマテリアルハンドリングの分野に、自動搬送ロボットや協働ロボットなど各種ロボットを活用して、現場の人手不足を解決する提案を行う。
①人を援けるロボットが担う作業
少子高齢化が進み、生産現場で人手不足が顕在化する中、同社が考えるスマートファクトリーでは「人が介さずロボットからロボットへ」「人と協働してロボットからロボットへ」という、人とロボットの新しい関係を提案する。
実演に加えて、従来は人が担っていた繊細な熟練作業もロボットが実演し、未来の工場のあり方を考えるヒントを提示する。
そのロボットの実演内容は次のとおり。
▽用紙や印刷物など重量物の次工程への運搬
▽荷物の積み降ろしなど、体力を使う繰り返し作業
▽助手のように人に追従して荷物の運搬
②自動搬送ロボットS-CARTシリーズ【コンセプト展示】
自動搬送ロボットをいち早く世に出した日本電産シンポ㈱の協力を得て、人間が運転操作をしなくても自動で走行できる自動搬送ロボットが、用紙や印刷物を次工程に運搬する。
走行エリアの地図を覚えさせるマッピング作業と、ルートを覚えさせるティーチング作業を行えば、あとはロボットがセンサーで周囲の景色を確認しながら自走するので、従来のコンベア方式と違って工場レイアウトや生産工程変更にも柔軟に対応できる。
また、人や物を検知しながら運搬するので、安全に人と一緒に作業を行える。
③協働ロボットFANUC Robot CR-35iA【コンセプト展示】
世界首位の産業用ロボットメーカーであるファナック㈱の協力を得て、人と一緒に働く協働ロボットを出展する。
数える、詰める、運ぶなど、人が密集する印刷後工程で、安全柵がなくても安全に人と一緒に協働作業を行う。
体力を使う繰り返し作業、腰などを痛めやすい荷物の積み降ろし作業などの役割をロボットが担う、「人とロボットが印刷業で共存できる世界」を実演で紹介する。
未来のスマートファクトリー構想
IoT・クラウドによる見える化・生産性向上
印刷現場の生産性改善には生産状況や機械状態の見える化が起点となる。
IoTやクラウドなどの技術を活用して、印刷機の稼働状況や生産性指標をリアルタイムに遠隔地からでも閲覧できるRMGTプレスインフォメーションクラウド、遠隔支援によって印刷機トラブルによる機械停止時間を最短化するRMGTリモートメンテナンスサービスなど、未来のスマートファクトリーを構成する機器やサービスを提案する。
①RMGTプレスインフォメーションクラウド(新製品)
工場内に複数台ある印刷機の稼働状況を見える化できるもの。
印刷速度や枚数、機械停止などの状況をリアルタイムに離れた場所から監視でき、各種指標をすぐに得られるので生産性向上の対策を迅速に打つことができる。
②RMGT遠隔支援システム(新製品)
IoT機器を通じ、印刷機のトラブル箇所をRMGTコントロールセンターから目視して問題・原因を早期特定し、対策を早期実施する方法を確立することで、出張修理をせずに機械のダウンタイムを最短化する。
機械停止時間の最短化を通じた納期遵守、トラブルに直面する印刷オペレーターの不安払拭につながる。
③印刷品質管理システムPQSシリーズの新バリエーション(新製品)
PQS-D(I)品質検査機能、PQS-D(C)濃度追従機能に続いて、2つの新機能・新商品を紹介する。
PQS-D(R)自動見当調整機能は、4色の見当状態を画面表示し、オペレーターの簡単操作で自動的に見当を調整できる。
また、PQS-PDF(PDF比較装置)は、オフラインでPDFなどの各種刷版データと印刷物を比較検査できる装置で、より信頼性の高い検査体制を構築できる。
そのほか、同社の主な出展機器は次のとおり。
【オフセット印刷機】
パッケージ・商業印刷の各分野で、自動化・省力化、印刷品質向上、短納期化に寄与する新技術を紹介する。
印刷準備工程の並行処理や印刷中にニス準備作業が行える昇降式コーティングユニットなどの新機能を搭載した菊全判6色オフセット印刷機、両面即乾印刷に加えて印刷準備時間をさらに短縮したA全判8色片面/両面兼用オフセット印刷機、A3判縦通し封筒印刷システムを出展する。
これらにはすべてLED-UV印刷システムを搭載する。
①多品種小ロットパッケージ印刷の自動化提案
菊全判6色オフセット印刷機(薄厚兼用印刷機)「RMGT1050V1LX-6+CC+LED-UV+2LD」
印刷準備の同時並行処理(新製品)、印刷品質管理システムPQS-D(I+C+R)(新製品)、印刷中にニス準備作業が行える昇降式コーティングユニット(半自動刷版交換装置付)(新製品)、LED-UVによるエンボス調印刷、新GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)
②商業印刷における両面即乾印刷の短納期提案
A全判8色片面・両面兼用オフセット印刷機「RMGT920PF-8+LED-UV」
印刷準備の同時並行処理(新製品)、印刷品質管理システムPQS-D(I+C+R)(新製品)、給紙エアープリセット(新製品)
③封筒印刷の短納期提案
A3判縦通し4色機LED-UV封筒印刷システム「RMGT340HA-4+LED-UV」
【インクジェットデジタル印刷機】
B2判インクジェットデジタル印刷機「RMGT JP750」(新製品)
同社は、オフセット印刷機と同じ用紙搬送機構を採用した富士フイルム製インクジェットデジタル印刷機「JetPress」シリーズの一部となる搬送部の製造を行っている。
そして今回、富士フイルム㈱との協業で、「JetPress」を同社の販路で販売開始をするにあたり、OEMブランドの商品名を「RMGT JP750」とし、出展と印刷実演を行う。
PODでもオフセット印刷機でもない第三の印刷機として、「RMGT JP750」とオフセット印刷機「RMGT920PF-8+LED-UV」とを連携した使い方を実演。既設オフセット印刷機の生産性も高めつつ、工場全体の最適生産を提案する。
【ともに、世界へ彩りを。コーナー】
①インキ・刷版メーカーとのコラボレーション
印刷機実演に協賛しているインキ・刷版メーカーとのコラボレーション展示コーナー。
同社のコーポレートメッセージ「ともに、世界へ彩りを。」を体現し、各社技術の競演を通じて印刷資材の最新動向が紹介。
また、インキ、刷版、印刷機を同じ場所に展示し、それぞれのメーカースタッフが協力して、ユーザーの困りごとや疑問をワンストップで解決する。
②協賛展示ゾーン
同社がスクリーン印刷の機能性、多様性を水なしLED-UVオフセット印刷で実現して成型用加飾フィルムに展開する「SAT SYSTEM」。
そのほかにも、多くの協賛メーカー・会社の協力を得て、印刷機のみならず印刷業界の役に立つ展示と情報発信を行う。