2018年06月11日

 一般社団法人日本WPA(=日本水なし印刷協会:田畠久義会長)は6月8日、定期総会を開催するとともに、先進的な水なし印刷ユーザー2社の工場見学会を開催した。

 

今回訪問したのは、水なしLED-UV印刷の手法を確立したキング印刷㈱(本社・福島県福島市下鳥渡字新町西6の1、伊東邦彦社長)と、3W印刷のテストユーザーの精英堂印刷㈱(本社・山形県米沢市八幡原1の1の16、井上吉昭社長)の2社。

 

そのうちの1社の精英堂印刷は、世界初となる水溶性インキを用いることによってVOCフリー化を実現する、水なしUV印刷システムのテストユーザー。

このシステムは、▽湿し水を用いない水なし印刷、▽VOCを含まないUVインキ、▽水系洗浄剤での洗浄が可能なる水溶性インキ原料を使ったUVインキ--という要素により、オフセット印刷工程においてVOCフリー化が実現できるもの。

刷版には通常の水なし平版を使用。水溶性インキを使用するので、水あり印刷では湿し水とインキが混ざってしまうことから、水なし印刷固有の技術なる。

 

VOCフリーを実現する3W印刷技術の現状を披露した(精英堂印刷)

VOCフリーを実現する3W印刷技術の現状を披露した(精英堂印刷)

インキは、このシステムのために開発された㈱T&K TOKA製の「UV171TR」を使用。

水溶性インキといっても水性インキではないので、水なし平版の画線部(親油性)にもインキが乗るので、印刷品質に変わりはない。

このインキは、洗浄性も従来品と同等で、薄紙や厚紙のほか、蒸着紙でも密着することが確認されている。

乾燥性についても従来UVインキと同等以上で、省電力UVシステムにも対応。

現状はプロセス4色のみのラインナップながら、順次中間色も追加していくことが予定されている。

また、VOCフリー洗浄液については東レ㈱で開発・販売し、8月からの発売が予定されている。

 

デモンストレーションではハイデルベルグ製の菊全判印刷機「スピードマスターXL105-6+LX」を使い、白板紙への4色印刷と、白板紙の全面に銀インキを事前印刷したものへの4色印刷の2ジョブを行い、印刷品質、乾燥性、色合わせ損紙などは、通常のUV印刷とまったく変わらないことを紹介。

そしてジョブ替えでのインキ洗浄時にVOC測定器で計測したところ、約40ppm(元々工場内に残留している分)のまま数値は動かず、比較のために通常のUVインキ用の洗浄液を使って自動洗浄をすると1000ppmを超える数値に跳ね上がり、3W印刷をすることによってVOCが放散されないことが明らかにされた。

 

この3W印刷は、IGAS2018の日本WPA/東レブースでも紹介される。

 

 

水なしLED-UV印刷での仕事ぶりを公開した(キング印刷)

水なしLED-UV印刷での仕事ぶりを公開した(キング印刷)

もう1社の訪問先のキング印刷では、稼働する5台19胴すべての印刷機でLED-UV印刷を行っており、㈱小森コーポレーション製の菊半裁4色機「リスロンG26-4」を水なしLED-UV印刷専用機に、ハイデルベルグ製の菊全判4色機「スピードマスターCX102-4」とリョービMHIグラフィックテクノロジー㈱製のA3判縦通し2色機「340HA-2」を水なし/水あり兼用LED-UV印刷機として運用している。

同社は平成23年に発生した東日本大震災および原発事故によって壊滅的な打撃を受け、現在もその立て直しを図っている最中。

それ以前は軽オフ機を中心に16台の印刷機を有していたが、それを5台に集約。

印刷オペレーター歴が数年という若い力、そして最新鋭の印刷機と技術をもって活路を見出すべく、すべてをLED-UV印刷化。

その後に水なし印刷に取り組み始めたことから、必然的に水なしLED-UV印刷を手掛けることとなった。

今後もキング印刷では水なし印刷についての営業を強化し、積極的に増やしていく方針を掲げるとともに、主力品目である商業印刷のほかにパッケージ印刷分野にも踏み出している。

 

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