2018年05月02日

富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ㈱(辻重紀社長)は、4月1日から同社が販売する「FUJIFILM SUPERIA」の完全無処理サーマルCTPプレートにおいて、CO2排出量を全量オフセットした「カーボンゼロ・プレート」を提供する「Green Graphic Project」を開始した。同プロジェクトは、同社の完全無処理プレートを購入すると、CO2排出量の削減やCSR活動の一つとして対外的にアピールが可能となるもの。同プロジェクトなどについて、同社技術一部部長の西川博史氏に話を聞いた。

 

日本印刷新聞2018.4.30付掲載

 

西川博史部長

西川博史部長

 

薬品が一切不要 省材料・省工数・省エネ・省ウォーターを実現する 「SUPERIA」  最新の「ZD」はUV・ロングラン対応

 

――「SUPERIA」の完全無処理プレートの優れた点を話してほしい。
西川 私どもの完全無処理プレートは、薬品が一切不要である。従来は露光後に自現機で現像・ガム処理を行い印刷機に掛けていたものを、自現機による現像処理の工程がなくなり、露光後そのまま印刷機に持っていけるので、それまで必要としていた現像液やガム液、それに伴う水や廃液回収が不要になる。加えて、自現機の電気代、メンテナンスに係る工数や資材、自現機や薬品在庫のスペースも不要になる。まさに「SUPERIA」で掲げている5つの省資源(省材料・省工数・省エネルギー・省排出・省ウォーター)を実現できる究極のプレートであると考えている。

 

――現在「SUPERIA」における完全無処理プレートのラインアップは「ZP」「ZN」「ZD」の3製品が上市され、「ZD」が最新だがこの特徴は。
西川 特徴としては、UV印刷への適性とロングラン印刷に対応できるようになっていることである。当社の商印向け完全無処理プレートは、スタンダードタイプの「ZP」に、市場からの要望が多かったUV・高耐刷対応の「ZD」を加えたラインアップとなっている。おかげさまで発売以来、順調に導入が進んでおり、お使いいただいているお客様からご好評をいただいている。

 

――顧客の選択肢を増やしたと。どちらも機上現像だが、本刷りまでにはどのくらいの通しが必要なのか。
西川 印刷条件などで左右されるが大体、10枚程度で本刷りに入れるようになっている。

 

――「SUPERIA」の完全無処理プレートには、新聞輪転機用の「ZN」もある。
西川 時系列でいうと、まず商印向けにスタンダードタイプの「ZP」を発売し、続いて新聞輪転機用の「ZN」、UV・高耐刷対応の「ZD」となる。「ZP」の技術をベースに感光層と砂目を改良した「ZN」を出し、この「ZN」で確立した技術を今度はUV印刷に耐えられるような感光層にしたのが「ZD」といった形で開発の階段を登ってきた感じである。大きかったのは、新聞輪転機用の無処理プレート「ZN」が当社の計画通りに市場へ導入ができ、問題なく毎日の新聞印刷で使われているということである。それが、「ZD」開発に繋がった。

 

――完全無処理でありながら、スタンダードタイプの「ZP」を始め、UVやロングランなどに対応できる「ZD」がラインアップに揃ったということで、印刷会社への導入も進んでいる。
西川 現在いろいろなところでお声がけを頂いており、無処理プレートへの関心は高いと感じている。「SUPERIA」の完全無処理プレートは有処理プレート同等の印刷性能があり、砂目などに傷がつきにくく扱いやすいと思う。当社としてはお客様に自信をもってお勧めできる製品であると思っている。

 

 

Green Graphic Project、完全無処理版を「カーボンゼロ・プレート」として提供

 

――環境保全に貢献する「Green Graphic Project」を4月1日から始められているが、これはどのようなプロジェクトなのか。
西川 これは、富士フイルムが持っているCO2の排出権を使用して、当社の完全無処理プレートをCO2排出量を全量オフセットした「カーボンゼロ・プレート」として提供することで、当社の無処理プレートを使用していただいたすべてのお客様とともに環境負荷低減や開発途上国支援に貢献するプロジェクトである。使用するCO2排出権は、富士フイルムがこれまで開発途上国へ水力発電などの支援で得た排出権のため、お客様はこれまで通り当社の無処理プレートを使用していただくだけで、CO2排出削減のほか、開発途上国の支援にも繋がるなど、無理なく社会貢献に参加できる仕組みとなっている。また、カーボンゼロの無処理プレートを使っていただくことで印刷物のCO2排出量を削減でき、ローカーボン印刷物という付加価値をクライアントに提供できるということにも繋がる。

 

――削減したCO2排出量を印刷業者に知らせ、それを印刷業者のクライアントにアピールできるということか。
西川 このプロジェクトに賛同いただき参加を申し込んでいただいたお客様には、ご使用いただいた無処理プレートの版数を当社に申告いただくことで、削減したCO2量を証明する「カーボン・オフセット証書」という証明書を発行させていただくほか、当社のホームページ上でも「Green Graphic Project」の専用ページに賛同企業様として社名を掲載させていただく。賛同企業には当プロジェクトのロゴマークや、自社のホームページに専用ページへのリンクを張るなど、企業のCSR活動のアピールへ積極的に活用いただきたい。

 

――このプロジェクトは富士フイルムが持っている排出権を無処理プレートを使用している印刷業者が使うという考え方で良いのか。
西川 使用する排出権は、京都議定書で規定された開発途上国支援のプロジェクトに基づき、国連で認証された排出権を使用する。また富士フイルムは刷版材料では業界ではじめて「カーボンフットプリント」の認定を受けており、今回の取り組みは、経済産業省から「『カーボンフットプリント』の認定を受けたプレートを、国連で認証された排出権でオフセットした」という認証を受けている。お客様へは排出権そのものではなく、上記認証を受けた「カーボンゼロ・プレート」を提供させていただく。

 

――印刷会社が業務によって排出されるCO2を、すでにカーボンオフセットされたプレートを使用することで、CTP工程に関しては削減していることになる。
西川 カーボンゼロ・プレートにより刷版に係るCO2の排出を減らし、印刷物を作成する際のCO2を削減することで社会的な課題に貢献するという取り組みである。当社としては、環境への対応も品質だと考えており、ぜびこの活動に多くのお客様が賛同していただきたいと思っている。

 

 

FFGSカーボン・オフセットの仕組み

FFGSカーボン・オフセットの仕組み ※ カーボンフットプリントとは、商品やサービスのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの量をCO2に換算し、わかりやすく表示する仕組み

 

 

――完全無処理版プレートを開発し、さらには環境に貢献するための「Green Graphic Project」を4月1日から開始されているが、今後、さらにどのような無処理プレートを開発されようとしているのか。
西川 無処理プレートで直してほしいといわれるのは視認性で、露光した部分とされていない部分の判別がなかなか付きにくいというところがある。そこが一番の要求で、そこを改良することが一つ、印刷の資材が環境によって変わるので、とくに現在は油性印刷の中にUV印刷が増えている状況で、UVを油性に近づけるという環境になっていくと考えられ、それに耐えうるプレートに改良すること、つまりUV印刷環境に対するラチチュードを広げることに取り組んでいる。

 

――品質とロングランという面があると思うが、どちらに比重を置いて開発されて行こうと考えているのか。
西川 品質に重点をあて、より皆様に使いやすいプレートにするというところに傾注したい。

 

 

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