2018年04月25日

新村重晴氏が天国へ旅立った--。新村印刷㈱(本社・東京都千代田区、新村明義社長)は4月24日、重晴相談役が胃癌のため11日午前6時1分に入院先の慶應義塾大学病院で死去したと発表した。94歳だった。15日に通夜、16日に葬儀・告別式が浅草寺普門会館において親族のみで執り行われた。喪主は新村明義社長。新村印刷主催の「お別れの会」が6月13日午前11時30分から東京・千代田区紀尾井町のホテルニューオータニ「芙蓉の間」で行われる。

 

新村重晴氏

新村重晴氏

 

24日、新村印刷本社で新村明義社長が記者会見し、重晴氏が亡くなるまでの経緯をつぎのように説明した。
 

「父新村重晴は4年前に末期の胃がんが発見された。ただし、手術できず、抗がん剤による治療と放射線による治療が施された。余命1年と言われたものの、本人はいたって体力があり4年がんばった。今年の1月末に具合いが悪いということで慶應病院で検査したところ、ショック性肺血症と診断された。強力な抗生物質を静脈内に常時注入して細菌の数は減ったものの、そこから急激に体力が落ち、食事もとれず、みるみるうちに痩せ細り、4月11日、ほぼ2カ月の入院で他界した。

 

94歳なので寿命と言えばそれまでだが、やはり家族としては喪失感というのは拭いきれない。本人は11日午前4時に心肺停止し、私はすぐに病室に駆けつけたが間に合わなかった。母(照子夫人)は91歳の高齢のために時間を要し、医者立ち会いによる死亡確認時間が午前6時1分となった。

 

普段、私が見舞いに行くと『来てくれてありがとう』といい、仕事があるので『じゃあ行くね』というと『じゃあまたね』という感じだったが、亡くなる前日に見舞いに行った時には帰り際に3回くらい呼び止められた。嫌な予感がしたが、なんとなく本人にも虫の知らせがあったのかなと思う。入院してから最後まで意識はしっかりしていた。

 

父の頑健さにはかなわないと思った。学生時代にラグビーで精神も体も鍛えられたのと同時に、戦争を経験して死線を越えてきた人間の強さを感じた。会社を経営していると良い時あれば大変な時もあるが、父は『これで命がなくなるわけではない』とよくいっていた。

 

葬儀は本人の強い希望により、生前非常に縁が深かった浅草寺普門会館で4月15日に通夜、16日に告別式を家族葬として執り行い、私が喪主を務めた。本来ならきちんとした形で葬儀を執り行い、皆さんにおいでいただくことも考えたが、母が91歳と高齢で非常にメンタル的に落ち込んでおり、参列される皆さんにきちんとごあいさつできないし、体力が持たないと思い、勝手ながら家族葬とさせていただいた。

 

新村印刷による『お別れの会』を6月13日午前11時30分からホテルニューオータニ「芙蓉の間」で執り行い、会社として皆さんにお礼を申し上げたい」

 
 

新村重晴氏

 

新村氏は大正12年7月4日、父鈴木東海男氏、母汐さんのもと8人兄弟の三男として生まれる。10歳の時、父の仕事の都合で満州国・奉天へ行き、2年と1学期を過ごす。ここで大陸の風土とおおらかな教育に大きな影響を受けた。

 

内地に戻ると神戸三中へ進学。昭和16年、東京の成城学園高等科へ進む。自由闊達な校風のもとラグビー部で汗を流し、体力気力を培った。

 

東北帝国大学へ進むも直後に応召。フィリピン・セブ島へ出征、見習士官として上海で終戦を迎える。帰還後、京都帝国大学経済学部へ進み、学生ラグビーで全国制覇を果たした。

 

卒業すると、25歳で新村長次郎氏の次女照子さんと結婚し、新村姓に。以後、新村印刷の後継者として新規開拓の営業に精励する。銀行やビール会社、教科書会社へ日参し、温厚篤実な人柄と、4、5年掛かりの粘り強い営業で信頼関係を築き、業容を拡大させた。

 

一方、印刷製版の技術開発に注力し、最先端の技術を昭和43年完成の狭山工場(埼玉県)に導入した。
 

「新村印刷の本は自分がつくったが、葉を茂らせ大きくしたのは重晴だ」とは創業者・長次郎氏の言葉である。

 

昭和48年、取締役社長に就任。一方、印刷業界では社団法人日本印刷産業連合会副会長、印刷工業会副会長、全日本印刷工業組合連合会会長、東京都印刷工業組合理事長、全国印刷工業健康保険組合理事長などの要職を歴任した。永年の功績を認められ、平成9年秋の叙勲で勲四等旭日小綬章を受ける。
平成12年に新村印刷㈱取締役会長、同21年から相談役となった。

 

新村氏は、岳父新村長次郎氏から浅草観音にいむら育英会を受け継ぎ、青少年学生に奨学事業を行った。また浅草寺の「仏教文化講座」講演録を無償で印刷発行している。現在、61集にまで及び、浅草寺の教化・福祉事業に多大に貢献した。

 

 
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