2015年05月02日

電子書籍市場の拡大、スマホ、タブレットなどさまざまな読書デバイスの浸透に伴い、消費者の読書行動が大きく変化している。トレンド総研(東京都渋谷区)が4月23日に発表した「書籍・電子書籍」に関する意識・実態調査のレポートから最近の消費者の「本」への意識の変化を見よう。レポートは、変化つかむカギは「本」と消費者との“情報接点”の拡大にあり、3人に1人が「キュレーションサービス」を活用しているとして、こう調査結果を示している。調査対象は1年間に1冊以上本を読む20~40代の男女500人。

 

■紙、電子問わず「本」の市場全体を後押しするサービスが増加

 

年々拡大する国内の電子書籍市場は、書籍のジャンルにかかわらず、さまざまなサービスが続々と登場しており、2014年に1000億規模を超え、さらなる成長が見込まれている。一方で、低迷している出版業界においても、特に昨年からはネットサービスとの融合が大きく進み、電子書籍(電子出版)を含めた出版市場に新しい動きが見られる。また、書店の実店舗においても、書店と異業種とのコラボレーション型店舗などの取り組みが、今再び注目をあびており、「電子書籍」をきっかけとして、「紙の書籍」「電子書籍」に関わらず、「本」の市場全体を後押しするサービスや取り組みが増えていると考えられる。

 

■普段の読書は「紙」優勢の一方「電子書籍」とのダブル使い派も

 

普段の“読書形態”について、「紙の書籍」、「電子書籍」のどちらで読書をしているかを調査した(小説・漫画・実用書・雑誌などジャンルは問わず)。
その結果、「紙の書籍だけを読む」と回答した人が圧倒的に多く77%。「電子書籍だけを読む」と回答したのはわずか7%にとどまったものの、「紙・電子書籍のどちらでも読む」人は16%いる。
「電子書籍」が閲覧可能なデジタルデバイスの保有率と、そのデバイスでの「電子書籍」の利用経験(過去1年以内を目安とした利用経験)を聞いたところ、利用経験がもっとも多かったのは「スマートフォン」(27%)で、保有率と比例した結果であるといえる。スマートフォンの保有率は66%、タブレット端末は31%と、全体で94%の人が「電子書籍」が閲覧できるデバイスを持っている一方で、実際に閲覧したことがある人は45%と半数程度。

 

■年代差が開いた「電子書籍」のメリット 20代の1位は「すぐに読める」利便性

 

「電子書籍」を読んでいると答えた人に対して、その理由を探ると、「無料で閲覧・入手可能な本があるから」(53%)、「読みたいと思ったときにすぐに読めるから」(51%)が上位に。
「本を保管するスペースがとられないから」(50%)、「持ち歩きに便利だから」(49%)など、「紙の書籍」にはないポイントにメリットを感じる人が多い。
特に若年層ほどこの傾向が強く、20代の「電子書籍」利用者の理由としてもっとも多かったのは、「読みたいと思ったときにすぐに読めるから」(65%)、続いて「持ち歩きに便利だから」(54%)。「読みたいと思ったときにすぐ読めるから」では、40代の利用者(39%)と比較すると、約1・6倍の差が出ている。30代も20代と同様の回答傾向だったが、40代利用者の理由としてもっとも多かったのは「本を保管するスペースがとられないから」(61%)で、「無料で閲覧・入手可能な本があるから」(47%)が続き、年代によって異なるポイントにメリットを感じている。

 

■3人に1人がキュレーションサービスを活用 「本」以外の“入り口”からの情報接点も

 

「紙の書籍」「電子書籍」といった形態や、コンテンツのジャンルに関わらず、「本」全般との情報接点について調査を行った。
読む「本」を選ぶ際に参考にしている、または、「本」の情報収集源にしているものとしては、「書店でのPOPなど書店員による情報」(33%)、「オンライン書店などでのユーザーのレビュー」(29%)が僅差でトップ2に。「本」に関するプロである書店員と、本好きの一般ユーザーという差はあるものの、「紙の本」と「電子書籍」は、情報収集源が類似していると捉えられる。そのほかには、「雑誌・新聞など紙の媒体の書評」(24%)、「オンライン書店のWEBサイト・アプリ」(22%)なども参考にされているようだ。

 

「本」の情報に限らず、消費者の情報収集の方法や、情報との接点は変化し続けているといえる。増加する一方の情報量の中で、何が自分にとって価値のある情報かを効率的に見極める方法や、情報の信頼度などが問われ、情報収集ツールと呼ばれるのは、情報選別のためのものであることがほとんど。
数ある情報収集ツール・サービスの中でも特に多くの新サービスが登場しているカテゴリは、情報の取捨選択をした上で整え、その結果、ユーザーと親和性の高い情報を提供する「キュレーションサービス」だろう。
特定ジャンルに偏らず総合的に情報を発信しているものから、最近では食やファッション、旅行など、特定のジャンルの情報に特化したキュレーションサービスも登場しており、情報の取捨選択や情報との接点は、今後ますます多様性を増していくと考えられる。

 

こうした背景をふまえ、「本」の情報収集においてもキュレーションサービスが使用されているかどうか、さらに、「本」と消費者との情報接点・接触について、「本」とは関連のない情報に触れることによって、「本」を購入したり、手に取るきっかけになり得るかどうかについて、その可能性を探った。

 

「本」に特化していないキュレーションサービスを選択肢として、「本」の情報に触れたことがあるかを聞いたところ、33%と3人に1人が「ある」と回答。具体的には、「NAVERまとめ」(70%)、「掲示板のまとめサイト」(41%)といった、総合的な情報が網羅されているキュレーションサービスでの情報接触が多い結果に。これらに続いたのは、女性向けのファッション・美容やライフスタイル情報を主に取り扱う「MERY」(7%)や、ファッションや雑貨、インテリアなどのライフスタイル情報を中心とした「キナリノ」(6%)で、共に特化型であり、ライフスタイル情報が主であるという共通点があるといえる。
また、「本と直接的に関連がない話題・情報に触れたことや、店舗に行ったことなどがきっかけで、本を読みたくなった・読んだ経験はありますか?」という質問に対しては、約7割が「ある」と答えており、「本」と消費者との情報接点のポイントが、「本」以外の面に広がっているようすがうかがえる。

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