2018年01月30日

鎌田社長

鎌田社長

設備投資によって会社をステップアップさせていく必要はあるものの、先行き不透明かつ厳しい市場環境を考えると、なるべく初期投資額は抑えておきたい。そこでパッケージ印刷の一貫製作を行っている㈱ショウエイパック(本社・神奈川県川崎市高津区下野毛3の7の33、鎌田茂成社長)では、オフセット印刷部門の強化・ステップアップを図る上で、初期投資額を抑えつつもたしかな生産性や印刷品質が得られるフルオーバーホールをした中古印刷機を導入するという賢い選択をした。

 

同社は昭和50年に設立した、パッケージ製作に特化した印刷会社。創業当初は、納品された印刷物を貼り箱にする作業を手掛けており、その後、抜き、貼り、製函と後加工工程の設備を徐々に加えていった。

その上流工程となる印刷部門については、それまで印刷工程を外注依頼していた会社が廃業した時にその設備と従業員を引き受け、内製を始めることになった。現在は化粧箱や貼り箱など、紙器パッケージ全般をメーン品目とし、印刷部門では菊全判2色機を設備。印刷の仕事の7割弱を内製していた。「将来を考えると、油性2色機だけではやっていけない。これまではカラー物では2回通しで対応し、品質を問われるものやベタ物の仕事などはすべて外注していた。2回通しをすると手間も時間もかかるので、少なくても4色カラー+ニスがワンパスでできるUV印刷機の導入を5年程前から考え始めた」(同社・鎌田社長)

 

パーツをすべて分解してフルオーバーホール
納入後にも正規のアフターサービス対応

 

DAIYA 3F-5

DAIYA 3F-5

しかし、印刷部門の強化は図りたいものの、現段階では一定レベルの稼働率になるだけのUV5色機向けの仕事があるわけではない。しかも、菊全判UV5色機の新台はそれなりの初期投資額を要する。それを承知で新台導入を強行することは経営上のリスクを抱えることになることから、同社にとっての新たな挑戦をしていくにあたり、比較的安価な投資で済む中古印刷機を選択することにした。

 

中古印刷機は新台と違い、1台ごとにコンディション状態が異なる。そこで同社では、仕入れた中古印刷機は全台フルオーバーホールをしてから納入する菱栄機械㈱(本社・千葉県柏市、高木雄二社長)から導入することを決めた。菱栄機械では、仕入れた印刷機はまず解体・清掃し、ローラーはすべて交換。ツメなどの各部品もすべて外して、それらの部品はプロのチェックに基づいて必要があればすべて交換をする。また、その整備にはすべて純正パーツが使われる上、その中古印刷機はリョービMHIグラフィックテクノロジー㈱に登録されて正規のサービスを受けられる。

 

フルオーバーホールしてあるインキツボフルオーバーホールしてある圧胴フルオーバーホールしてあるフィーダーボード

 

 

ツマミ操作だけでUV光の強度を簡単に調整
仕事に応じて強弱調整することで電気代も節約

 

この印刷機の導入経緯について同社の鎌田社長は「その印刷機を菱栄機械が下取りする前の実稼働状況を見学させてもらい、また菱栄機械の工場でその印刷機をフルオーバーホールしているところも見させてもらった。導入してみなければ印刷機の程度や状態がわからないのではなかなか決断ができない。その点、前オーナーが大事にメンテナンスをしながら稼働させている状況も確認でき、その上フルオーバーホールをしてから納入されるので安心できた」と語る。そして昨年8月、三菱重工製の菊全判5色印刷機「DAIYA 3F-5」を導入。この印刷機は油性機だったので、菱栄機械でフルオーバーホールをした際に、㈱東通研(本社・東京都豊島区、齋藤太郎社長)製の無段階でUV光の強度を調整・変更できる省エネ対応UV装置「Ultra-UV system」を後付けで2灯搭載した。

 

この菊全判UV5色印刷機を増設した結果、同社の印刷内製化率は100%になった。そして後付け搭載した「Ultra-UV system」は、住宅用ダウンライトのようにツマミ調整でUV照射強度を変更できるという特徴を有する。したがって、ベタ物では照射強度を高め、絵柄が軽い場合は弱めるといった調節が可能となる。「これまでは2色機で2回通ししていたものもワンパスででき、しかもUV印刷なのですぐに後工程に回すことができる。また、印刷品質が問われる仕事やベタ物についても内製化できるようになった。UV印刷は電気代が負担になると聞いていたが、ベタ物でなければ弱目に照射しても乾燥するので、電気代はあまり負担に感じていない。UV印刷化によって材料費もアップするが、完全内製化できることでその分は吸収できる」(鎌田社長)

 

納品した製品の品質に顧客から高い評価
印刷機のコンディションの良さを証明

 

鎌田会長

鎌田会長

そして、印刷品質が向上したことによって受注量も増えているという。「この印刷機を導入したことで、これまでは発注してもらえなかったロットの長い仕事や品質を問われるような仕事も頂けるようになった。この印刷機は中古ではあるが、発注者にとっては印刷機の稼働年数は関係なく、納品される印刷物という結果だけが評価・判断基準になる。だからこそ、この印刷機のコンディションが良いという証でもある。当社の印刷品質に自信を与えてくれた上、UV印刷化したこともあってクレームや事故も一切ないし、インキ量を盛ることができるのでインパクトのあるパッケージの製作もできるようになった」と同社の鎌田栄治会長は導入機について高く評価している。

 

内製化率や受注量が高まったとはいえ、生産性も大幅に高まっているので、この印刷機の稼働率にはまだ伸びしろが多くある。そこで同社では今後、厚紙印刷のほかにフィルム、PET、アルミ蒸着紙といった原反への印刷にも取り扱い品目を広げていく考えだ。「今はそのような仕事をまったくしてはいないが、新しい分野へ手を伸ばすことができる印刷機なので、その能力を活かしてみたい。もちろん本業である紙器パッケージの仕事についても、今は同業者からの受注が中心だが、直請けについても積極的に展開し、印刷機の能力をフルに活かせるように稼働率を高めていく。フルオーバーホール済みなので、あと15年は稼働できると期待している」とこの印刷機に寄せる期待と今後の展望について鎌田社長は語っている。

 

日本印刷新聞 2018年1月29日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

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