2018年01月19日

東京都光沢化工紙協同組合は、2017年7月、後加工業者のさらなる連携と団結を目的として「関東特殊加工協同組合」(SEPPA:Specialty Effect Post-Press Association)に名称変更し、日本で唯一の後加工業・特殊印刷加工業の団体に生まれ変わった。今後は後加工全般を網羅した幅広い受け皿となり、印刷・製本産業に対するサービス向上を目指すという。そこで、関東特殊加工協同組合の執行部にお集まりいただき、新団体発足の目的と今後の展望について語ってもらった。
 
 

 出 席 者
鶴田 和也 理事長
小原  隆 副理事長
宮本 武紀 副理事長
大島 一夫 専務理事
堀  知文 理事
司会 日本印刷新聞編集部

(日本印刷新聞2018年1月1日付から)

 
 

後加工全般請け負う 幅広いサービス目指して

 

--新団体発足までの経緯と目的を聞きたい

 

鶴田 表面加工や箔押、そして抜スジ加工や特殊印刷は、印刷物の付加価値を高める装飾技術として注目を集めているが、今まで後加工業者間の連携はないに等しかった。

 

鶴田和也

鶴田和也理事長

 

全日本光沢化工紙協同組合連合会は、日本印刷産業連合会を構成する10団体の中で唯一とも言える後加工の団体として長年その責任を担ってきたが、年々高まる後加工(特殊印刷加工)への期待と要求に応えるため、また複合化・複雑化する加工技術に対応するため、各種加工業者間の連携・協力は必要不可欠となってきている。

 

共に組合員の減少などで組合活動が先細りしていく中で隣接業界との連携の必要性を感じていた東京都光沢化工紙協同組合と堀氏が率いる東京箔押共和会は、小原氏と堀氏が昔からの知り合いだったこともあり意見が一致し、5年前から連携に向けて、両会の主要メンバーが交流を重ね、準備を進めてきた。光沢が60年余、共和会も80年の長い歴史があり、お互いに腑に落ちるまで話し合った。

 

そして、東京都光沢化工紙協同組合の2017年5月19日に開いた通常総会で、名称変更と定款変更などが可決承認され、6月28日に名称変更の登記が完了し「関東特殊加工協同組合」が発足。新たに箔押業界のメンバー約20社が加わった。

 

大島 東京の組合員数は44社までかなり減っていた。今回、箔押し業者が約20社加わったことで60社を超えた。全国もこれまで80社だったので100社を超えたのはスケールメリットを考える上でも非常に大きい。

 

 箔押の団体は、東京には共和会と協同組合の2団体がありあわせて約60社の組合員がいる。今回20社が加入した。今回加入しなかった同業者もわれわれの動向に注目している。

 

小原 関東特殊加工協同組合は、隣接業界と今まで以上に幅広く連携・共生していくことを目的として、現会員である表面光沢加工業者のみならず、箔押・紙器加工など、印刷加工業の方々に広く開かれた、後加工の総合的な業界団体を目指している。

 

小原隆

小原隆副理事長

 

全日本光沢化工紙協同組合連合会は、関東、中部、関西の3団体からなる。とくに関西では、光沢のほか、製本、トムソン加工、紙器・紙工、箔の5団体がまとまっており、1つのモデルとなっている。

 

関東も、今後は東京都内の事業者にとどまらず埼玉県、神奈川県など、関東首都圏全域の業界ネットワークを構築していきたい。

 

クレームを未然に防ぐ ノウハウ共有も視野に

 

--光沢加工業と箔押業が合流することで期待されるメリットは。

 

 一番のメリットはクレームを未然に防げる技術面での効果が大きい。特殊加工の中でも光沢加工と箔押加工は隣り合っているので、常に新商品に対しての適正相性問題を抱えてきた。お互いが連携することにより技術的にクレームを未然に防げることはコスト削減にもつながる。

 

さらにSDS(安全データシート)など安全衛生面でお客様に提供しなければならない中、公認組合として箔と表面加工の適性情報などを共有していければ、組合員にとって非常に大きなメリットになる。

 

鶴田 VOCなど環境問題に対しては、われわれは日印産連に所属しているので経済産業省など行政ともつながっていることはとても大事なことである。これから組合員が増えればいろいろな面でスケールメリットが出てくる。

 

技術面でいえば、6月にメディアテクノロジージャパンで大型インクジェットオンデマンド機の研修会を合同で行ったが、箔押業の方がいることによってわれわれの視点と違った技術情報を聞くことができ、ビジネスのヒントにもなった。

 

小原 新団体を通じて、光沢業と箔押業が親しくなっていろいろなことが話し合えるようになればお互いの加工知識も深まる。いろいろな加工の仲間が増えて作業交流するまで関係が深まれば、クライアントにもいろいろな特殊加工を提案できる。

 

 個々の企業に光沢と箔のノウハウがあるので、それを組合で共有できるようになるのが理想である。

 

大島 光沢の得意先の切り口と箔の得意先の切り口では取扱商品が違う。箔は取扱商品の幅が非常に広い。革製品など紙製品以外のものも扱う。光沢は光沢でまた別の技術を持っている。組合員として仲良くやっていく中で、何か新しい商品だとか、新しい得意先の切り口が出てくるのではないか。光沢加工は出版に強いので、今後、書籍に箔が増える可能性もある。逆に光沢加工がこれまでやっていない仕事が箔押の仕事の中に埋もれているかもしれない。お互い交流することによっていろいろ生まれてくるような予感がする。

 

--今後の組合活動について。

 

鶴田 それぞれ専門分野の事業については、「光沢部会」と「箔押部会」に分けて活動する。共通する内容は、合同で活動し、情報を共有することで印刷の後加工業界として共に発展していきたい。

 

共同事業の第一歩として、機関誌をこれまでの『光沢NEWS』から『SEPPA』とリニューアルし、12月に創刊した。

 

大島 表紙にも工夫を凝らし、毎号違った各種技術を取り込み、光沢化工、箔押、紙器加工などの技術を実際に皆さんに手に取ってみていただき、周知いただける機会にしたい。創刊号の表紙は宮本副理事長にお願いした。創刊2号は箔押部会に担当してもらう。また、年2~3回の発行を予定している。今まで組合員名簿を改選期にあわせて2年に1回作っていたが、今回から機関誌に組合員名簿を毎回掲載することにした。更新しやすいし、常に新しい情報を掲載できる。

 

大島一夫

大島一夫専務理事

 

鶴田 創刊号では新会員の箔押部会メンバーを顔写真付きで紹介している。今回PR冊子として利用するため800部印刷した。組合員には複数送り、興味のある方に配ってもらう。さらに、7月のIGAS展で配布して新団体をアピールしたい。

 

--両部会の今後の活動についてお聞きしたい。はじめに光沢部会から。

 

小原 光沢部会は、セミナー、懇話会、研修会などをとおして光沢化工の技術向上、新素材発掘など、専門業として今まで通り活動していきたい。さらに箔押部会と連携することで、お互いの特性を生かした新しい商品や加工技術を生み出す活動を企画できればと考えている。

 

--箔押部会の活動は。

 

 月1回のミーティングを行っていく予定。次の目標として箔押加工のみならず特殊加工を広く知ってもらうための広報活動をやっていきたい。ホットスタンプ、コールドフォイル、最近認知されてきたフュージョンホイル、それぞれの仕組みやメリット、デメリットなどデザイナーをはじめクライアントのほとんどが理解していないと思う。

 

堀知文

堀知文理事

 

たとえば、光沢技術を紹介した冊子『光沢加工のすべて』のように、箔押加工を図解でわかりやすく伝えられるツールを作りたい。

 

また、後加工材料は日々進化しているので、新製品に対する光沢材料と箔押材料の相性テストなども積極的に行い、データを組合で共有していきたい。

 

表紙は煌びやかに 機関誌『SEPPA』創刊号

 

--創刊号の表紙は宮本副理事長の会社が担当されたそうですが。

 

宮本 今回の表紙は、創刊号に相応しいような煌びやかなものにしたいと考え、ホログラム蒸着紙をベースに印刷した。

 

宮本武紀

宮本武紀副理事長

 

デザインに使用したのは、すでに著作権保護期間が終了し、パブリックドメインとなっているゴッホの静物画である。ホログラム感がより映えるように、彩度を上げた。印刷加工のプロセスだが、まずは白紙の上にホログラム蒸着フィルムをラミネート加工して、ベースとなるホログラム蒸着紙を作る。

 

そのあと、UVオフセット印刷機でホワイト、4色、擬似エンボスの順で、ホログラム蒸着紙に印刷する。輝きを抑える部分にはホワイトを印刷して、その上にプロセス4色を印刷する。ホログラムを出したい部分にはホワイトは印刷せずに、直にプロセス4色を印刷する。

 

プロセスの最後に、イラストや文字などに質感を与えるため、擬似エンボスを効果的に施した。疑似エンボスがかからない部分はツヤとなる。疑似エンボスとツヤの異なる質感を効果的に入れることにより、視覚的にも触覚的にも楽しめるデザインになっている。

 

SEPPA創刊号

SEPPA創刊号

 

 

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