2018年01月11日

全日本印刷工業組合連合会(全印工連、臼田真人会長)は、2017年7月の閣議で決定した「平成29年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針(平成29年度基本方針)」における、知的財産権の取り扱いを周知・啓発するためのパンフレット『大きく変わる知的財産権の取り扱い』を、17年12月に刊行した。受発注双方の官公需や一般の商取引における著作権に対する理解を深め、基本方針の実効性を高める一助とする。

 

『大きく変わる知的財産権の取り扱い』

『大きく変わる知的財産権の取り扱い』

 

官公需取引における著作権の適切な取り扱いについては、かねてから全印工連と全日本印刷産業政治連盟(全印政連、森永伸博会長)が要望していた懸案事項。自由民主党中小印刷産業振興議員連盟(中曽根弘文会長)の力添えもあって、実現に至った。

 
「平成29年度基本方針」には、新たに講ずる主な措置として、「知的財産権の財産的価値について十分に留意した契約内容とするように努めるものとする」の文言が盛り込まれた。

 
この措置は、印刷会社の大切な財産である著作権等の知的財産権や中間生成物の所有権の適切な取り扱いについて、国が一定の指針を示したもの。ただし発注者である官公庁と受注者である印刷業者が、共通理解の上に立って推進しなければ実効性が得られないものといえる。

 
全印工連・全印政連では官公需取引に関して、①中小企業者に関する国等の契約の基本方針の徹底遵守②低価格競争防止策の導入③財産権の保護の3つの要望を提出。このうち財産権の保護については、経済産業省がコンテンツ産業強化対策支援事業を行って実態把握に努めながら、知的財産権の適切な取り扱いの検討を進めた結果、「基本方針」に反映された。
「基本方針」の中で、新たな取り組みとして加わった内容は次のとおり。

 
①知的財産権の無償譲渡・利用の適正化=仕様書・契約書から「(著作権を含む知的財産権を)無償で譲渡・利用する」旨の記載を削除し、著作権等の知的財産権の財産的価値に配慮した契約内容とするよう発注者に求めている。

 
②知的財産権の利用範囲の特定(明確化)=仕様書・契約書等で、譲渡対象の知的財産権の具体的な利用目的、利用媒体、数量、利用期間等をあらかじめ特定することで、受注者が譲渡する知的財産権の財産的価値の算定を可能にし、また譲渡した権利の処理に関するトラブルを未然に防ぐよう求めている。

 
③一律の権利譲渡の見直しと2次的活用の促進=実際の取引では、調達目的の達成のために、著作権等の知的財産権を譲渡させることが本当に必要なのか十分に検討されず、一律に譲渡が要求されている。本当にその案件で権利譲渡が必要なのかを十分検討することにより、調達コストの削減や著作物の2次的活用の促進が図られる。

 

またコンテンツ振興法に基づく、調達目的に不要な著作権等の知的財産権を受注者に残すコンテンツ版バイ・ドール契約の活用により、受注者の著作物制作にかかわるインセンティブの向上およびコンテンツの活用推進が期待される。

 
④印刷用データ等の取り扱い=印刷用データ等の中間生成物を、印刷物と併せ無償で求められる例が多く見受けられる。これは、
◆著作権の譲渡により、印刷用データ等の中間生成物の所有権も発注者側に当然に譲渡されるという錯誤
◆発注者が経費を負担して成果品(印刷物)を作成するのだから、印刷用データ等の中間生成物も発注者に所有権があるという誤解による、官公需印刷発注独特の商取引といえる。

 

 

受発注者の考え方の共有が必要

 

全印工連のパンフレットでは、知的財産権の保護に向けて、今後取り組むべきこととして、「発注者+受注者 考え方の共有」「印刷会社としての適切な対応」をあげている。

 
「考え方の共有」では、発注者と受注者が意見交換し考え方を共有することで、トラブルを未然に防げるとし、地方公共団体と印刷工業組合が、定期的に意見交換を行う例が増えていると指摘。

 
また「適切な対応」では、印刷会社は著作権を適正にコントロールする知識が求められるとしている。

 

 

 

 

 

 

PAGE TOP