2017年12月10日

日本カレンダー暦文化振興協会(中牧弘允理事長、暦文協)は、12月3日の『カレンダーの日』に、東京・代々木の明治神宮で「新暦奉告参拝」の斎行と、記念講演を開催した。「新暦奉告参拝」は来年「平成30年(2018年)」の暦原本を奉告し、国民の平和と幸福を祈願する神事で、役員、一般会員ら約100人が参加した。
 

神楽殿前から神職の後に続いて直会殿へ

神楽殿前から神職の後に続いて直会殿へ


 
中牧理事長はじめ役員は、午前9時30分に明治神宮の神楽殿前から神職の後に続いて、直会殿で修祓を受けたのち、本殿奥で参拝と玉串拝礼を行い、一般にはまだ目に触れない来年の暦原本を奉告し、暦を手にするすべての人々の平和と幸福を祈願した。
 
中牧弘允

中牧弘允理事長


 
 
10時に希望者も参加して、神楽殿で平成30年(2018年)の幸福を祈願し、祈祷を斎行した。参集殿に移動し、記念講演「日本人の一年-変わりゆく心性」が、國學院大學神道文化学部の石井研士教授によって行われた。
 
講演に先立ち、中牧理事長は「私たちにとって重要な12月3日カレンダーの日に、タイミングを合わせるように、今上天皇の退位と新天皇の即位・改元がかたまったようだ。新暦奉告参拝も祈祷も、とどこおりなく厳粛に行われ、ありがたく思う」とあいさつ。

 
次に石井教授が講演し、要旨つぎのように述べた
 

カスタマイズされたカレンダーが必要に

 
奥多摩湖を越えた山梨県の村落に調査に行ったことがある。そこの村では土葬の墓地で、墓より高い火を焚き、裸電球のもとで寺の境内で盆踊りをする。小さい女の子が『この下でおじいちゃんが寝ているのね』と言っていた。盆踊りとは本来は生きた人間と死者が、共存するのを確認する場であった。市街地での団地の盆踊りなどは、住民親睦が目的。そこには死者はいない。盆踊り会場の下に骸骨が埋っていたら大変である。テレビ番組で取り上げられていたが、愛知県のある盆踊り大会は、音楽が流れていない。踊っている人は皆、耳にイヤホンをしている。理由は騒音対策、夜遅くまで祭りが出来るからという。盆踊りは地域社会というものを確認する機会なのだが、私たちは共同体の基盤を失っている。
 
年中行事の変化として次の3つが挙げられる。
 
①稲作にかかわるものが消えた
事八日、卯月八日、社日、女の家、オクンチ、川浸りの朔日など、忘れられた行事のほとんどがこれにあたる。日本人が一番米を食べていたのは、昭和35年(1960年)である。一年に115キロ食べていた。それが2年前の調べでは57キロになってしまった。もはや米は主食ではないと言う研究者もいる。
 
②残っている年中行事の内容が変容している
 
③戦後キリスト教に由来する行事が定着した
現在、結婚式をあげないカップルが30%になる中、チャペルウエディングの実施率は70%。昭和の末期、神前結婚式は70%を占めていたが、今は20%を切った。仲人も消えた。クリスマスは言うに及ばず、ハロウィンも近年、本来の意味とは別にコスプレ大会として急激に定着した。このようにキリスト教由来の行事は定着したが、クリスチャンになった例はほとんどない。チャペルで式を挙げたからといって、教会の信者になった人はいないと、神父・牧師は口を揃えて言う。その理由の一つに核家族の幸せがある。行事は二人の幸せを確認する機会として定着している。
 
私たちは集団の拘束力を良しとしなかった。共同体、血縁、親族関係の強さから逃れたかった。その結果、核家族が生まれ、子どもは二人というのが基盤となり、現在は一人晩婚化の状況が強くなっている。一人で生活する時間が長くなっている。この時代に私たちは情報や消費のリズムで過ごしている。カレンダーは今後、あつらえた物ではなく自分たちの記念日を入れられるようなカスタマイズされたものが、必要になってくると思う。
 

石井研士

石井研士教授


 
 

平成30年の暦予報を発表

 
特別講演のあと、「平成30年(2018年)暦予報」と題して、中牧理事長が「7月31日の火星の大接近」「4連休1回・5連休なし」など来年の暦トピックスを発表。
 
最後に奥野卓司常務理事から閉会のあいさつがあり、「ハロウィンなどは、家族関係の孤立を象徴しているといえるが、逆にSNSではつながっているともいえる。こういうものも取り入れていかないと、新たな道は見えないし、こういったところにビジネスチャンスはある」と話した。
 
 

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