2017年12月26日

㈱廣済堂(本社・東京都港区、浅野健社長)は、Rivivere(リ・ヴィーヴェレ)事業の一環として、このほど、産学寺連携プロジェクトによって鮮やかに甦った国宝仏教絵画「不動明王像」の復元模写作品の販売を開始した。産学寺連携プロジェクトは、企業・大学・仏教寺院が連携し、復元模写の技術教育と寺宝文化財の保存継承を目的に、国宝仏教画の復元模写を行う国内初のプロジェクトである。廣済堂の取り組みは印刷業の新たなビジネスモデルとして注目されている。

 

浅野健

浅野健

 

リ・ヴィーヴェレとは、「復活させる」「甦らせる」というイタリア語で、「復活させることで、現代を生きる人々に知ってもらう」という観点から、廣済堂と文化財所有者が連携し、大学や研究機関による文化財の復元模写や現状模写、また、廣済堂の技術を用いたデジタル復元や、現状デジタルデータの商品化などを行い、それを広く販売することにより文化財保存継承に寄与することが目的である。また、事業は絵画だけにとどまらず、仏像なども含めて、広く文化財に関わる事業を目指している。

 
今回の「Case1」では、廣済堂、成安造形大学、総本山醍醐寺の産・学・寺が連携した。「若き人々の手により、文化財に新たな命を吹き込んで甦らせ、後世に残したい」をコンセプトに、総本山醍醐寺の協力のもと、学生の復元模写技術修得のため、今から約800年前の鎌倉時代初期に描かれたものとされている国宝「絹本著色五大尊像 不動明王像」を提供してもらい、成安造形大学の吉村俊昭教授ならびに日本画専攻の学生ら9人で、2016年から約1年間かけて復元模写を制作した。

 

復元模写とは、日本画の伝統的な素材や技術を用いて、描かれた当時の色彩を再現して模写すること。模写は筆運びや古典技法を学ぶことのできる重要な場であり、それらを学び伝えることで日本文化継承の一端を担っている。
 
総本山醍醐寺は、西暦874年に弘法大師空海の孫弟子、聖宝理源大師によって創建。仏教史上で中心的な役割を担う寺院の一つとして知られ、1994年にユネスコの世界文化遺産に、古都京都の文化財として登録された。醍醐寺の寺宝は、国宝6万9419点、重要文化財6522点、そのほか未指定も含めると、約15万点に及ぶ。
 
成安造形大学は、1920年、成安裁縫学校として設立。デザインやアートなどの領域で活躍する優れた人材を輩出している。同プロジェクトでは同大学美術領域日本画コースの学生から参加者を募り、その中から選抜されたメンバーによって復元作業が行われた。
 
鮮やかに甦った「不動明王像」は、廣済堂によって特殊印刷され、今年11月中旬から掛け軸として販売されている。売上げの一部は醍醐寺に寄付され、寺宝の保存継承のために役立てられる。
廣済堂での「特殊印刷技術」においては、色校正と出力の面で特殊な手法が取られている。

 

復元模写に岩絵具を使用

 
今回の復元模写には日本画の岩絵具(いわえのぐ)が使用されている。岩絵具は絵の具の粒子が大きく、発色も鮮やかなため、単純にスキャンして出力しただけでは現物を肉眼で見たときの色を再現できない。そこで、より復元模写の色に近付けるため、復元模写現物を見に醍醐寺を何度も訪問したり、実際に使用された岩絵具と同じものを取り寄せ、その色に近付くように補整した。
 
鮮やかな色はCMYKでは再現できない部分があったため、色空間をRGBにし、その中でも色域の広いAdobe RGBで補整。苦労した点は、何色かの鮮やかな色とそれ以外の色との差が大きく、鮮やかさを意識しすぎると全体のディテールが損なわれてしまうため、色ごとに選択範囲を作成し個別に補整するなど、絵具の特性の理解をもとに、技術者の目を頼りに、色の微妙なニュアンスを調整していった。
 
さらに、出力時にはCMYK変換するが、鮮やかな色調を極力損なわないよう、使用用紙に適したプリンタプロファイルを選択。出力には発色の良い10色インクジェットプリンターを使用し、鮮やかでかつ復元模写の色調により近い色を再現した。
 
色の再現度に関しては、復元模写を制作・監修した吉村教授をはじめ、同大学の教授(日本画家)にも好評だという。
 
廣済堂では、商品化の第1弾として、不動明王像の掛け軸を30万円(税別)、西陣織掛け軸を92万5000円(税別)、デスクに飾れるミニサイズの「かる!JIKU」を3400円(税別、ミニ床の間タペストリー、飾り台別売り)などをラインアップし、11月中旬から専用販売サイトなどを通じて販売している。

 

 

不動明王像 掛軸

不動明王像 掛軸


 
今後は、御朱印帳や不動明王像の線画を用いたオリジナルTシャツ、巡礼用白衣などさまざまな商品を開発・提供していく予定で、同プロジェクトの目的である「技術を継承する人材育成」と「寺宝を伝承するシステムづくり」を実現する、印刷業の新たなビジネスモデルとしての確立をめざす。

 

 

○㈱廣済堂 1949年創業。「廣く世を済度する(広く社会に貢献する)」を経営理念とし、社会の発展と人々の豊かな暮らしづくりの担い手として、印刷、IT、BPO、人材サービス、エコビジネスなどの多岐にわたる事業を展開している。

 

 

 

PAGE TOP