2017年12月01日

今回のパッケージング印刷見学ツアーで訪れたもう1社の機資材メーカーは、ハイデルベルグ社製枚葉オフセットUV印刷機の多くで採用されている、UV照射器メーカーのIST METZ社

ドイツのシュツットガルトに本社を構える同社は、印刷産業用途以外にも、シリコン、樹脂、接着剤、製品装飾など、UV技術を多方面に提供している。

 

同社では「energy in light」というスローガンを掲げ、ユーザーが常に最新の技術が使えるようにすること、あらゆるアプリケーションの硬化に適した照射器を提供すること、時間や場所を問わずユーザーに製品やサービスを提供できることをモットーとしている。

印刷産業用途の製品としては、枚葉オフセット、オフ輪、グラビア、スクリーン、フレキソ、レタープレス、インクジェット、3Dといった幅広い印刷方式に向けてUVランプやLED-UVなどのUV照射システムを提供。

UVランプやLED-UVのほか、電源制御装置、反射板、熱管理システム、UV光量測定器、窒素置換型UV装置(空気中の酸素はUVインキ硬化の阻害要因となるので、UVランプハウス内に窒素ガスで満たすことで、臭気成分が少ないUVインキで印刷できるようにするシステム)などをラインナップしている。

 

UVランプはすべてグループ会社内で生産
職人による手作業で年間35000本を出荷 

 

eta plus electronic社のUVランプ製造工場

eta plus electronic社のUVランプ製造工場

同社では、自社および子会社でUV照射器の製造を行っている。

これは、製品を高品質に保つこと、および製造の柔軟性を持つための施策だ。

UVランプと電源制御装置の製造を担っているのが、同社の完全子会社となるeta plus electronic社だ。

UV技術の中でもコアテクノロジーとなる部分だからこそ、自社グループ内での製造にこだわっている。

eta plus electronic社では年間3万5000本のUVランプを製造。

製造プロセスはすべて手作業で、ガラス管の中に水銀や通電するためのコードを注入する作業は、単純そうな工程ながら職人的な技巧を要するという。

 

また、反射板の製造については完全子会社のS1 Optics社が担当する。

UVランプは照射時に、紫外線とともに熱も放出してしまう。

そこで反射板は、光(紫外線)は効率的に反射させて原反に当てつつ、熱については吸収することが求められる。

S1 Optics社では、用途に応じて約20種類の素材を使い分け、反射板にその素材による層を設けることで、光の反射と熱の吸収効率を最大化させる組み合わせの製品を生産している。

さらに、ユーザーの使い勝手についても配慮がされており、道具を使わずに簡単にランプを交換できる設計となっている。

 

反射板の反射効率と光のピーク値を高め
ランプが2灯でも硬化するシステムを開発

 

 

IST METZ社の本社工場には、UV Transfer Centerというトレーニング施設が設けられている。

ここには、ハイデルベルグ製菊半裁6色ニスコーター付UV印刷機が常設されており、印刷テストやデモンストレーション、ユーザーへの各種教育・トレーニングのほか、製品開発などで活用されている。

とくに枚葉オフセット印刷機については、印刷機のデリバリー部やユニット間はスムーズな用紙搬送を実現するために気流・エアー量を計算した上で最適な設計が施されているため、それを考慮せずに後付けでランプを設置すると用紙がバタついてしまう。

そこで同社では、印刷機の設計段階から一緒に携わることで、UV印刷機内でのランプの設置位置だけでなく、UVランプを後付けする際の設置方法などの最適化を図っている。

これにより、印刷機内で用紙がバタつくことなく、またランプと用紙との距離についても最適な距離が安定的に保たれている。

 

このUV Transfer Centerで最近開発されたUVランプの製品・機能についての紹介も行われた。

その1つが、出力効率を向上させつつ、消費電力を低減させた電源制御装置の「ELC」シリーズだ。

これまで、枚葉オフセット印刷機のデリバリー部で3灯を要していたものを、電源装置の改良によりUV光のピーク値を強くし、かつランプハウス内の反射効率をさらに向上(原反に当たるUV光のうちランプから直接当たるのは約3割で、残りの7割は反射板を介して当たっている)させることで、2灯のみで硬化するようにした。

当然、3灯から2灯になったことで、消費電力も33%削減される。

 

用途や性質に応じた使い分けができるように
UVランプとLED-UVの入れ替えを可能に

 

ランプハウスを入れ替えるだけでUVランプとLED-UVの交換が簡単にできる

ランプハウスを入れ替えるだけでUVランプとLED-UVの交換が簡単にできる

また、UVランプとLED-UVを容易に入れ替えることができる「Hot Swap Technology」も紹介された。

これは、UVランプのランプハウスを印刷機から引き抜き、そこにLED-UVのランプハウスを差し込んで、水冷用のホースを接続するだけで交換ができるもの。

電源装置に「ELC-X」シリーズを使用していれば、UVランプとLED-UVの交換が可能。

交換作業は1人で簡単にできるので、幅広い波長を発するUVランプが適している仕事、また波長のピーク値が高いのでインキ内の奥深くにまで届くLED-UVが適する仕事と、用途に応じて入れ替えて使うことができる。

 

 

 

 

 

ハイパフォーマスLED-UVを開発
UVランプと同等の照射距離を実現

 

 

LEDcure

LEDcure

LED-UVについては、輪転用の「LUV-20」、枚葉オフセット印刷機用の「LUV-80」に加え、今年5月から水冷式でハイパフォーマンスなLED-UV「LEDcure」を発売開始している。

これは、これまでのモデルよりも出力を3割向上させたことで、枚葉オフセット印刷機に搭載するにあたって80~100㍉の照射距離で高いパフォーマンスを示すことができるようになった。

これにより、UVランプと同様の照射距離を確保することができるようになる。

 

 

 

 

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