2017年12月01日

独・ハイデルベルグ社は、11月8日に同社ウィスロッホ工場で「パッケージング・デイ(記事)」と銘打ったイベントを開催したことにともない、パッケージング印刷見学ツアーを行った。

世界の有力印刷専門紙・誌の記者を招いて行われたこのツアーでは、ハイデルベルグ社の子会社および提携会社の機資材メーカー、そして最新鋭の同社製印刷機を導入して先進的な取り組みをしている印刷会社を訪問する

 

そのツアーで訪問した1社が、2014年からハイデルベルグ社の完全子会社となったフレキソ印刷機メーカーのガルス社だ。スイスのザンクト・ガレンに本社と工場を構えるガルス社では、本社工場に昨年ショールームを新設。

今回はそのショールームで、drupa2016にも出展した、ハイデルベルグ社および富士フイルムと共同開発した8色UVインクジェットユニットをラベル印刷用フレキソ印刷ラインに組み込んだ最新モデル「Labelfire340」や、フレキソ印刷システムの新ブランド「Labelmaster」を披露するデモンストレーションを行った。

 

インクジェット印刷による柔軟性と
ワンパスでの生産による効率を両立 

 

マイケル・V・リング副社長

マイケル・V・リング副社長

「Labelfire340」開発背景とラベル印刷におけるポジショニングについて説明に立った、同社デジタルソリューション部門で副社長を務めるマイケル・V・リング氏は「近年はあらゆる分野の商品で、お徳用サイズ・通常サイズ・小サイズ・旅行用携帯サイズというように、同じ商品でも多くのラインナップを揃えている。また、商品のライフサイクルの短縮化、そしてクリスマスやハロウィン、新年、夏休みや花見など、イベントや季節に応じてデザインを変更したバージョンを発売する傾向も見られる。そのほかにも、使用言語や地域によってデザインが変わることもある。したがって同じ1つの商品でも、パッケージやラベルを製作するにあたっては小ロット化・細分化が進んでいることになる。さらに、商品パッケージ・ラベルをきっかけとして、消費者を自社のデジタルメディアに誘導する手法が一般的となり、パッケージ・ラベルに求められる効果や機能がいっそう重要となっている。このような傾向に応えられる製作手法がデジタル/インクジェット印刷となる」と語った。

 

Labelfire340

Labelfire340

「Labelfire340」は、ハイデルベルグ社のワークフローシステム「プリネクトDFE-L」で制御でき、UVインクジェット印刷ユニット(C、M、Y、K、ホワイト、グリーン、オレンジ、バイオレット)の前後に、コロナ処理、フレキソ印刷ユニット、スクリーン印刷ユニット、オフセット印刷ユニット、コールドフォイル、ハーフカット、スリットなどの各種加工工程を1パスで組み込むことができるシステム。

これは、ラベル印刷会社がデジタル印刷で製作するにあたり、2パス以上を要している割合は8割超となっており、生産現場の非効率化を生んでいるという調査結果を踏まえ、デジタル印刷でもワンパスで完成品ができることを念頭に置いて設計された。

印刷ユニットの入れ替えも1人で、5分程度の作業で行うことができる。

インクジェット部は1200×1200dpiの解像度で256階調の表現ができ、オフセット印刷と比べても遜色がない品質を実現。

また、インクジェット印刷ユニットでは1色印字するごとにLED-UVによってインクを簡易硬化させ、さらに8色すべての印字をした後に2種類(ランプとLED)のUV照射によって完全硬化させるプロセスを採ることで、にごりのない高品質印刷を実現させている。

白インクに関しては、従来のフレキソ印刷と同等の濃度を実現。

印刷速度は毎分50㍍。印刷機のコンソールはタッチパネル式で、インクジェット印刷部も含めたライン全体の操作が可能となっている。

 

ノズル詰まりを検知しても続けて
印刷・生産ができる新機能も搭載 

 

さらに、インクジェット印刷をする上で避けては通れないノズル詰まりの問題について、新機能を搭載した。

この新機能は、カメラでの検査でノズル詰まりを検知した際、詰まったノズルの両隣のノズルが、詰まった部分を埋めるのに適した分量のインク滴を吐出し、かつハイデルベルグ社のFMスクリーニング技術を応用した不自然さがない絵柄を形成する。

これを活用することで、もし印刷中にノズル詰まりが起こった場合でも、その仕事はそのまま継続させることができる。

 

ショールームで行ったデモンストレーションでは、インクジェット印刷ユニットの前に2つのフレキソ印刷ユニット、後ろにはスクリーン印刷、コールドフォイルユニット、品質検査装置、ハーフカット、スリットという構成のモデルを使用。

インクジェット印刷の高品質さや、ワンマンオペレーションでの1パス処理による高効率な生産性を示すとともに、安価な原反を使いながらもコールドフォイルを施すことで高い付加価値をつける手法なども紹介した。

 

家電感覚で扱える操作性で準備時間も短い
フレキソ印刷ラインの新ブランドを発表 

 

Labelmaster

Labelmaster

フレキソ印刷システムの新ブランド「Labelmaster」は、家電感覚で誰にでも簡単に扱えることをコンセプトとしている。

「Labelmaster」には、▽ユニットの入れ替え・交換ができない基本モデル、▽一部のユニットの入れ替え・交換ができる「Labelmaster PLUS」、▽全体の構成を入れ替えられる「Labelmaster ADVANCED」--の3モデルがラインナップされる。

1つのモジュールに2つのユニットを搭載した設計で、ユニット間の間隔は1.4㍍という短さ。

サーボモーター駆動を採用しているため準備時間の短縮化が図れ、また印刷シリンダーは軽量のアルミニウムを採用することで、簡単に交換することができる。

もちろん、フレキソ印刷ユニットのほか、スクリーン印刷、ダイカット、エンボス、フォイル、ラミネートといった各種加工ユニットを組み込むことができ、1パスで最終製品を製作することが可能。

高い柔軟性と正確性を有し、最高印刷速度は毎分200㍍となっている。

 

ショールームで行ったデモンストレーションでは、「Labelmaster(基本モデル)を使い、とくにジョブ替えの早さをアピール。

CMYK+オレンジのUVフレキソ印刷にコールドフォイル、ニス、ダイカット処理をする仕事から、原反を替えてCMYK+スペシャルレッドの仕事への移行を約8分で行った。

 

そのほかに、印刷機に異常が生じた場合、印刷機コンソールで数クリックするだけでその詳細がガルス社のサービス部門に伝えられて適切な処置が迅速にとれる「mCALL」という新サービスプログラムの紹介。

さらに、新しいロータリースクリーンユニットおよび、オフセット印刷におけるCTPのようなスクリーン印刷用のダイレクト製版システム「ハイデルベルグPhoenix UV LED CTS」の紹介もされた。

 

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