2017年12月01日

東京都では、知事が承認した「経営革新計画」に基づいて新事業に積極・果敢に取り組み、経営の向上を果たした企業などを表彰しているが、「平成29年度東京都経営革新優秀賞」の最優秀賞に水上印刷㈱(本社・東京都新宿区西新宿5の14の3、河合克也社長)が選ばれた。印刷会社が同賞を受賞したのは初めて。表彰式が11月16日午後2時20分から、東京ビッグサイトで開催中の第20回中小企業による国内最大級のトレードショー「産業交流展2017」(会期:11月15~17日)の西1ホール前アトリウムのメインステージで行われ、藤田裕司東京都産業労働局長から河合社長に賞状と副賞として東京都の伝統工芸とコラボレーションしたメダルが贈られた。

 

藤田裕司(左)と河合克也

藤田裕司局長(左)から河合克也社長に賞状が授与された

 

 

テーマは「インストアプロモーションにおける販促物のフルサービスを展開」

 

最優秀賞を受賞した水上印刷の経営革新計画のテーマは「インストアプロモーションにおける販促物のフルサービスを展開」で、平成27年4月から平成30年3月までの3年計画。
これはコンビニや外食産業をターゲットに、印刷物製造の前後の工程を組み込み、インストアプロモーションのフルサービスを展開する計画。市場調査や企画提案、デザイン、製造、配送、在庫管理などの業務を一括して受注することで、顧客の「面倒くさい」を解決しつつ、品質向上・納期短縮を実現。大きく業容を拡大させている点が評価された。

 

小林勇治審査員長(東京都中小企業診断士協会)はこう講評した。
「今年度は339社を対象に応募を募り、最優秀賞1社、優秀賞2社、奨励賞3社を選んだ。各賞は書類審査や中小企業診断士による企業訪問を経て2度の審査会による審査で決定した。今年度の最優秀賞には水上印刷の『インストアプロモーションにおける販促物のフルサービスを展開』が選ばれた。この計画は本業の印刷だけではなく、印刷物作成前後の工程を取り組んだフルサービスを展開するというもの。コンビニエンスストアや外食産業など複数の店舗に多数の販促物がバラバラに納品され、煩雑で有効活用が難しい状況があった。
そこで、市場調査や企画提案から印刷物作成後の配送、在庫管理までを同社が一貫して引き受けることで顧客への利便性向上と品質向上、納期短縮を実現した。印刷会社の枠を越えた取り組みを行い成功されている事例である。受賞企業はいずれも自社の強みを活かしつつ、顧客のニーズに寄り添うことで新事業を成功されている。各社の積極果敢な取り組みに心から敬意を表したい」

 

 
主催者を代表して藤田裕司東京都産業労働局長は「本賞は経営革新計画に基づき、新しい製品の開発やサービスの提供などに取り組み、顕著な経営の向上を果たした中小企業に贈るもので、今回で8回目になる。新事業を着実に進め、利益の向上にまで結び付けていくことには、言葉では言い尽くせない大変な苦労があったことと存じる。皆さんのチャレンジ精神と実行力に心から敬意を表したい」と称えた。

 

 

河合社長「お客様の面倒くさい工程を引き受ける」

 

受賞企業を代表して河合社長はこう述べた。
「私自身、社内では自社を中小企業とは呼ばないように心がけてきた。理由は本来会社の強さや企業価値というのは、決して規模によるものではなく、むしろ変化の激しい時代だからこそ、時代のニーズやお客様の多様性に追いついていくことが大事であり、柔軟でしなやかな企業こそが勝ち残っていくのだとしっかりと自立した企業経営をしたいと日々考えている。
今回の受賞にあたり、評価された点が3つあるものと整理している。
1つめは、水上印刷はとにかく人に投資する会社を作ることを掲げてきた。私も2014年に社長に就任した時に、まず日本で一番勉強する会社になろうという思いを社員に伝え、それを実行してきた。現在、1人当たり年間200時間という、おおよそ就業時間の10%を研修や未来活動といった人材教育に充てている。
2つめは、できる限り経営をオープンにしようということでBS(貸借対照表)、PL(損益計算書)も含めて会社の中でのあらゆる数字をオープンにしてきた。理由は、やはりもっともっとわれわれの現場が考えて、判断をする、そういうことこそがスピードに繋がってくると感じており、そのためにはしっかりとしたファクト(事実)を全社で共有する必要があると考え、経営をまずオープンにすることに取り組んでいる。
3つめは、今回の経営革新はまさにビジネスモデルを磨くということだと思っている。社名のとおり、印刷会社ではあるが、いま本当に純粋な意味での印刷の売上は50%以下になっている。お客様のフルサービスということを掲げながら、お客様のあらゆる面倒くさい工程を引き受けていく。われわれがお客様の業務を引き受けることによって、お客様のBS、PLが改善する、そういう企業づくりを目指していきたい。
おそらく、人に投資をしてきたこと、経営をオープンにしてきたこと、ビジネスモデルを磨き続けてきたことが評価いただいたものと勝手に解釈している。
(表彰式会場に約40人の社員が同席していることを伝え)、今日の受賞はわれわれ1人ひとりが日々の努力とたゆまない情熱によって生まれたんだということを改めて感謝として伝え、われわれ水上印刷はもっともっと行けるんだということを力強く宣言したい」

 

 

東京都の経営革新計画とは

経営革新計画とは、中小企業等経営強化法に基づき中期経営計画を策定し、東京都知事の承認を得る制度。経営革新計画は①新事業活動に取り組む計画であること(新商品の開発または生産/新サービスの開発または提供/商品の新たな生産・販売方式の導入/サービスの新たな提供方式の導入など)②経営の相当程度の向上を達成できる計画であること(付加価値額および経営利益が、計画期間に応じた目標伸び率を達成。例:5年計画の場合、付加価値額15%以上、経常利益5%以上)--の2つの条件を満たす必要がある。
東京都では、平成11年の受付開始以来、平成29年11月現在、累計7600件超の経営革新計画を承認している。
「東京都経営革新優秀賞」とは、経営革新計画の終了までの期間が1年未満の企業を対象として、計画の実現状況、実現までの創意工夫、経営指標などを審査し、顕著な成果を挙げた企業を表彰する都独自の制度。企業へのヒアリングなどをもとに、専門家による審査会で各賞を決定するもので、平成22年度から実施しており、今回で8回目。

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