キヤノンマーケティングジャパン㈱(本社・東京都港区、坂田正弘社長)とキヤノンプロダクションプリンティングシステムズ㈱(本社・東京都港区、峯松憲二社長)は平成30年4月から、オセ社製の64インチ対応UV硬化型大判インクジェットプリンター「Oce Colorado1640」の発売を開始する。
11月21日、東京・大田のキヤノン㈱Customer Experience Center Tokyoで記者会見を開催し、その詳細について説明した。
「Oce Colorado1640」は、サイン&ディスプレイ用途に向けた1.6㍍幅機。
新開発の「UVジェルテクノロジー」を採用したことで、高生産性、高画質、幅広いメディア対応を実現している。
説明に立った、キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ・マーケティング本部の松藤勝弘執行役員は「ラテックスプリンターで出力した印刷物は無臭であるものの、乾燥に熱が必要となる。また、エコソルベントプリンターは色域が広いものの環境性が良くない。これらの良い点を採り込み、悪い点を克服して凝縮したものがこの新製品となる。また生産性が高いので、ハイスピードの3.2㍍幅機と低価格の1.6㍍幅機の間にある、空白となっているボリュームゾーンを担うものとして展開していきたい」と製品のポジショニングについて語った。
この「UVジェルテクノロジー」とは、粘性のあるジェル状のUVインクを吐出するという技術。
プリントヘッドから吐出する際は熱を加えることで液状にし、被印刷体に着弾するとジェル状に戻る仕組み。
機内の印刷部および被印刷体の下部にあるプラテンはチラーによって一定温度に保たれていることから、被印刷体の表面も同様に定温化されることで、着弾したインクが液状からジェル状へと変化する。
インクがジェル状になることで、ドットが広がらず、また隣り合ったインクと混ざり合うこともないので高画質が実現される。
また同様の理由から、従来のUVプリンターのようにインクの噴射とUV照射・硬化を繰り返すことなく、プリントヘッドとLED-UV照射ユニットを別々のキャリッジに配置して画像形成した後に一気に硬化させられるので、印字スピードを大幅に高められるようになった。
さらに、このUVジェルインクはほとんど臭いがしないので、従来のUVインクでは不向きだった室内掲示用途の印刷物製作にも対応する。
そのほかの「Oce Colorado1640」の特徴は次のとおり。
▽高濃度の4色インクにより広い色域を実現するとともに、従来のインクと比較してインク消費量を約3~4割抑えることができる。
▽LED-UVによる硬化なので、熱に弱い被印刷体にも対応。
▽最高速モードで毎時159平方㍍、高品質モードで毎時40平方㍍の印刷速度を実現。
▽プリントヘッドの自動メンテナンス機能やノズルの目詰まりを管理するノズルモニタリング機構、ノズル抜けが起きた場合に両隣のノズルを使用して自動補正するノズル補完噴射機能を搭載。