2017年11月07日

印刷博物館では、企画展示「キンダーブックの90年-童画と童謡でたどる子どもたちの世界-」が現在開催されているが、それに先立ち、内覧会・レセプションが10月20日に行われた。
 

キンダーブックは幼稚園や保育園に直接配本される月刊保育絵本の先駆けであり、1927(昭和2)年11月に『観察絵本キンダーブック』として誕生し、2017年で創刊90年を迎えた。時代ごとの幼児教育と密接に関わり、長きにわたり発行されてきた本誌をふり返ると、背景となるその時々の人々の生活や、作り手から子どもたちへの思いが伝ってくる。また、印刷技術の進歩と共に、創刊号から続く絵に写真が加わり、さらに写真とイラストの組み合わせなど、その表現も大きく変化してきた。魅力的な誌面を作るための工夫や、編集者、画家や作家のコーナーもある。記念の年に、約300点の資料を通じて、知られざるキンダーブックの世界をひも解く展示会である。
 

300点の資料が90年続く『キンダーブック』の魅力を明らかにする

300点の資料が90年続く『キンダーブック』の魅力を明らかにする


 
 

レセプションではまず、樺山紘一印刷博物館館長から「以前に表紙だけの展示会を行ったことはあるが、その時は中身まで踏み込む時間がなかった。今年で創刊90年。戦争で途切れた時期もあるが、その後は欠けることなく続いており、関係者の努力に頭が下がる。キンダーブックだけではなく、その背景にある日本の児童文化、それにかかわる印刷・出版の文化全体を見渡したいと思い、自分たちでできる範囲で、大きな構想を持って取り組んだ。本日展示しているのはそのごく一部であるが、日本の近代の文化・社会の様々な側面を考える良い機会になったと思う」とあいさつがあった。
 

樺山紘一館長

樺山紘一館長


 
 
続いてキンダーブック発行元㈱フレーベル館の飯田聡彦社長が「90年という歴史の中で、変わらずに今も受け継がれている編集ポリシーがある。それは子どもたちに寄り添いながら、世界で起こっている現象・物事を、細かく精細に正確に、まだ字を読めない子どもに分かりやすいように、絵に変えて、それを伝えていく観察絵本、ということだ。子どもはまず絵に感動する。先日もある70歳を過ぎた園長先生が、私は小さい頃キンダーブックで、夜空に輝くオーロラを見たことがある。そのオーロラがとてもきれいで心に刻まれていた。最近、北欧に行って本物をやっと見ることができたが、昔、キンダーブックで見たオーロラとまったく一緒だった。子どもの頃の素晴らしい記憶は残るものだ、と話された。私たちは、先人の力をもらいながら100年、その先まで続けていきたい」と話した。
 
乾杯のあいさつは、登坂秀樹元編集長で「何かと戦前のキンダーブックに脚光があたるが、戦後は70年もある。この70年を大事にしたい」と話し、歓談に入った。

 

【開催概要】
会期=10月21日~1月14日
会場=印刷博物館(東京都文京区水道1の3の3トッパン小石川ビル)
休館日=毎週月曜日(1月8日開館。12月29日~1月3日、1月9日休館)
開館時間=10:00~18:00(入場は17:30)
入場料=一般500円、学生300円、中高生200円、小学生以下無料
電話=03・5840・2300(代)
 
 

PAGE TOP