2017年10月26日

日本グラフィックサービス工業会(ジャグラ、中村耀会長)・NPO法人日本自費出版ネットワーク(中山千夏代表理事)主催の「第20回日本自費出版文化賞表彰式」が、10月7日午後1時30分から、東京・九段北のアルカディア市ヶ谷で開かれ、入賞・入選者に賞状と記念品が贈られた。会場には日本自費出版文化賞の入賞・入選・一次選考通過作品や過去の受賞作品が展示されたほか、相談コーナーや書籍販売コーナーなども設置され、多くの人たちでにぎわった。また、自費出版アドバイザー認定式も同時に行われた。
 
表彰式に先立ち、主催者を代表して中村耀ジャグラ会長が次のとおりあいさつを述べた。
 
「ジャグラは、印刷を生業とする企業の全国団体で、とくに自費出版を手がける印刷会社が多く所属している。一般書店に取り扱われることの少ない優れた自費出版書籍に光を当てるために、文化賞を設立し、20回目を迎えることができた。これもひとえに皆さんが本を身近に感じ、自ら筆をとって想いを込めて1冊の本を生み出し続けていただいているおかげであり、改めて日々の創作活動に感謝申し上げる。
今、世の中は先行き不透明な状況が続いているが、こうした中で逞しく生きる人たちの姿や時代を映すのが自費出版だと考えている。自費出版は自分史に限らず、正直にその時代を反映する記録となる。引き続き、皆さんの想いを込めた書籍を創作し、自費出版文化の発展だけでなく、日本の歴史作りにも参加していただければ幸いである。日本自費出版文化賞が、自費出版文化を醸成する事業として、これから10年、20年と継続していけるよう皆さんのご理解とご協力をお願いしたい」
 

中村耀会長

中村耀会長


 
 

後援団体および協賛団体を代表して朝日新聞社ブランド推進本部CSR推進部の岩下珠代氏と、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ㈱執行役員東京支社長の河合久仁浩氏があいさつした。
 
最終審査委員会を代表して中村千夏委員が「決して入賞作品が最高ということではなく、最終選考に残るような作品はすべて魅力があるので非常に悩む。審査結果に対して水を差すわけではないが、絶対のモノでもなければそんなに権威のあるものでもないと思っている。私は権威を文芸に持ち込むことに反対しているので、たまたま入賞したな、楽しいなという気持ちで今日は楽しんでもらいたい。私は小説部門を担当したが今年はすごく本が好きだという感じの作品があったのでとてもうれしかった」と総評を述べたのち、最終選考委員が担当部門の講評をそれぞれ述べた。

 

中山千夏代表理事

中山千夏代表理事


 
 

表彰では、応募総数566点の中から選ばれた大賞1点、部門賞7点、特別賞6点、入選56点に賞状と記念品が贈られた。
 
入賞者スピーチでは、大賞に輝いた『シベリア三部作(第一部・白墓の丘/第二部・望郷の風雪無常/第三部・埠頭の華)』の著者・林照氏の代理として長男・林正明氏が登壇し「父は表彰式を楽しみにしていたが、10月5日に倒れて出席することが不可能になった。昨日、病院にお見舞いに行き、なんとか筆談ができたのでご紹介したい」と前置きし、次のとおり照氏のコメントを代読した。
 
「皆さんの熱心なご協力と応援によって、本当のシベリアでの労苦を描くことができ、さらに大賞という大きな勲章をいただくことができ心から感謝申し上げたい。私の書いた真のシベリア抑留というものが何であったかご理解いただきお礼申し上げる。現在のシベリアは日本とロシア双方の民族の違いはあっても最終的には日本人のヒューマニズムとロシア人のヒューマニズムの成果であるということをご理解いただきたい。シベリア三部作は真実であり、困難に出会った時にはお互いが協力し合うというのは日本人もロシア人も同じである。これから日露両国の発展、親善をこの本が仲介となり役に立てれば幸いである」
 
最後に後援団体を代表して神戸好夫日本印刷産業連合会専務理事が「各受賞者の作品に対する想いを伺い、自費出版には本当に深いものがあると感動した。印刷は文芸と非常に深い関わりのある産業である。明治から近代印刷が始まったが、その当時から日本の文明・文化を支える基盤として出版が繁栄した。その背景には自らの想いを伝えたいという作家がいて、それを出版という形にし、印刷という形で支えるという関係がある産業である。実はこの四半世紀の間、商業出版は右肩下がりが続いている。印刷産業全体の出荷額も同じ傾向にある。一方で、個人がインターネットやSNSを使って情報発信するケースが圧倒的に多くなっている。ネット上で発表したことを見やすく保存していくためにはやはり書籍に展開していくことが今後ますます増えてくるのではないか。日本の文明・文化のベースは文芸にあるのではないか。それを印刷産業として支えていくことをお約束したい。皆さんにはますます自費出版という形でさまざまな思いを世の中に伝えていってもらいたい」と述べて表彰式を終了した。

 
 

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