2017年10月25日

中国の「包装印刷企業 国際研修団」の一行が10月24日、環境対策・VOC対策が進んだ日本の印刷会社を視察するために、平成23年に第10回印刷産業環境優良工場表彰で最高賞となる経済産業大臣賞を受賞するなど、地球にやさしい環境印刷を推奨・実践している東京・大田の新日本印刷㈱(本社・香川県高松市木太町4区2158、佐野年計社長)羽田東京工場を訪問した。

この訪問では、東レ水なし平版を全面採用してVOC対策で大きな効果をあげている新日本印刷のすぐれた取り組みを通して、オフセット印刷における環境配慮法や環境配慮への制度作りのやり方、さらには軟包装での水なしUVオフセット印刷の活用法などについて研鑽を積んだ。

 

水なしLED-UV印刷によるVOC削減効果と、高品質・高付加価値印刷を両立しているところを紹介した

水なしLED-UV印刷によるVOC削減効果と、高品質・高付加価値印刷を両立しているところを紹介した

今回、新日本印刷を訪れた「包装印刷企業 国際研修団」は、中国の包装印刷会社の経営者や印刷資機材販売会社の経営者などの約30人。

近年、中国では経済成長による急激な都市化や産業化にともない、大気汚染などの環境汚染問題が深刻になっている。

そこで、主要地域における重点産業では2020年までにVOC排出総量を規制することが推進されており、その重点産業に石油化学、有機化学工業、表面塗装などともに、包装印刷も指定されている。

なお、中国の印刷産業全体のVOC排出量は、推定で約150万㌧(日本の印刷業界は推定で約4万㌧)におよぶ。

このVOC排出量の抑制策を研究するために、日本でトップクラスの環境配慮型印刷を実践している新日本印刷を訪れることになった。

 

新日本印刷の羽田東京工場は、建設計画段階から環境印刷をメインテーマとした先進的な工業モデルを目指し、それと同時に環境印刷をビジネスと結びつけることを目標に、平成18年から操業を開始。

現在は、すべてを水なし印刷仕様にした2台のオフ輪と5台26胴の枚葉オフセット印刷機を中心に、プリプレスからポストプレスまでの機器を備える。

また、枚葉オフセット印刷機でのノンVOCインキの全面採用、工場廃棄物の削減とリサイクルを推進したゼロ・エミッションの実現、CO2の見える化と削減への取り組みとしてカーボンオフセット事業などを展開している。

工場見学では各工程での環境配慮策について説明し、印刷工程では現像液も湿し水も使わない水なし印刷とノンVOCインキの採用によって、VOC排出量が約9割も削減できていることを紹介。

それを踏まえた枚葉オフセット印刷機の稼働実演では、水なしLED-UV印刷機でフィルム基材にCMYK+白の5色印刷する、環境配慮と高付加価値を両立した技術を披露した。

 

 

李主任委員

李主任委員

一行を代表してあいさつをした中国印刷設備器材工業協会・VOCs処理工作委員会の李建軍主任委員は「VOC対策は中国の印刷会社が重要視しなければならない直近の問題の1つである。中国の大気汚染の状況を改善する中で、印刷産業ができるVOC対策を学ぶために、日本ですぐれた取り組みをしている事例を見学させてもらっている。新日本印刷の環境に関する取り組みや考え方は、強く印象に残った。水なし印刷は中国でオフセット印刷をする会社にとって学ぶ価値がある技術だと思うし、環境対策、VOC対策は中国の印刷会社にとって役に立つだろう。このような交流・研修などの取り組みにより、中国の印刷会社の環境保全活動がより進むことを希望する」と訪問の目的と謝意を表した。

 

 

 

 

技術・製品-関連の記事

PAGE TOP