2017年10月02日

2017年度のデジタル印刷の市場規模は、前年度比1・4%増の3273億7000万円の見込みである。フォトブック市場、オフィスコンビニ市場などの拡大が見込まれるPOD市場全体の見通しは比較的明るいものの、総じてデジタル印刷市場の今後1~2年の成長速度は鈍化する見通しとなっている。㈱矢野経済研究所のデジタル印刷市場に関する調査により、明らかになった。

それによると、2015年度のデジタル印刷市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比8・7%増の3297億4500万円となった。この背景として、2015年10月から始まったマイナンバー通知に関するDPS(データプリントサービス)案件と、送付後に発生したマイナンバー収集に関するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)案件が挙げられる。

通知書は日本国内の全世帯に送付されたため、大規模アウトソーシング需要となった。またPOD(プリントオンデマンド)市場においても、オフィスコンビニ、フォトブックの両市場が牽引し、増加傾向にある。

しかし2016年度の同市場規模はその通知案件の終了に加え、収集案件も前年度に比べると、受注が減少したことから、前年度比2・1%減の3229億2000万円となっている。

POD市場の増加やDPS市場における金融業からの受注拡大により、2014年度と比較すると市場規模は拡大しているものの、これらの拡大した需要がマイナンバー制度関連案件の穴を埋めるまでに至っていない。

2017年度のデジタル市場規模は前年度比1・4%増の3273億7000万円の見込みとなっている。POD市場では、その他の分野で苦戦が続いているものの、フォトブック市場、オフィスコンビニ市場では、さらなる拡大が見込まれるため、POD市場全体の見通しは比較的明るい。最大分野であるDPS市場は、現状マイナンバー需要の先行きが不透明となっており、今後成長率は落ち着くものと見られる。

また2018年度のデジタル印刷の市場規模は、前年度比1・6%増の3325億7000万円と予測している。POD市場は、フォトブック市場が低価格サービス拡大による端境期を終え、再び成長率の拡大が見込まれており、オフィスコンビニ市場も棲み分けや淘汰の動きが一巡しつつある。過去のような高成長は期待できないが、今後も成長が見込める市場になってきている。

その他のPOD市場については厳しい状況にあるが、出版印刷分野のように、今後、本格的な市場形成が期待される分野もある。

しかし一方で、デジタル印刷市場の最大分野であるDPS市場については、引き続き金融業からの受注は好調に推移しているものの、マイナンバー収集案件の需要に一服感が出ており、現状マイナンバー需要はこの先不透明だ。

そのため、総じてデジタル印刷市場の今後1~2年の成長速度は鈍化する見通しとなっている。

ただマイナンバー関連需要に関しては、銀行口座への適用(マイナンバーの紐付け)が2021年に義務化されるため、それに伴い銀行からの引き合いが活性化すると見られる。

また、2019年を目途にマイナンバー利用範囲の拡大についても、検討が行われる予定となっているため、民間利用に伴う、需要創出も期待できる。このようにマイナンバーの活用がスケジュールどおりに進めば、中長期的には、デジタル印刷市場の成長率は再び拡大する可能性があると見られる。

※調査期間は2017年5~7月。対象分野は一般印刷分野(出版、商業、ビジネスフォームなど)と軟包装印刷分野。

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