2017年09月15日

中国の政府関係者などの一行が、印刷業界における環境対策の調査・研究のために訪問した

中国の政府関係者などの一行が、印刷業界における環境対策の調査・研究のために訪問した

中国・環境保護部の職員や環境対策の専門家などの一行が9月6日、日本の印刷業界におけるVOCおよびCO2排出削減についてのすぐれた事例を調査・研究するために、東京・大田の新日本印刷㈱(本社・香川県高松市木太町4区2158、佐野年計社長)羽田東京工場を訪問した。

 

日本の環境省と中国・環境保護部との間の新たな協力の枠組みとして、エネルギー消費が大きく汚染が著しい中国の都市を対象に、経済、政策、技術、環境効果などの面で有効な汚染物質削減実施方法を評価し、中国の大気汚染と温暖化対策を同時かつ効率的に促進するためのモデル事業を実施している。

その事業を受託した一般社団法人海外環境協力センターでは、中国の複合的な環境問題の解決へとつながるコベネフィット(VOCをはじめとする大気汚染物質削減と同時にCO2削減もする)アプローチに着目して、コベネフィット対策技術の検討、モデル事業の策定、共同研究に関するロードマップおよび実施体制案を作成している。

今回の訪問はその一環で、日本の印刷業界におけるVOC対策を参考にするため、東レ水なし平版を全面採用することでVOC対策で大きな効果をあげている新日本印刷・羽田東京工場を訪問することとなった。

 

この訪問では、▽東京都VOC対策アドバイザーを務める、P&Eマネジメントの寺田勝昭代表による「日本の印刷業界におけるVOC規制について」、▽新日本印刷・東京製造部の日浦康裕次長による「新日本印刷の環境への取り組みと水なし印刷」、▽東レ㈱電子情報材料研究所による「VOCフリー化を実現する“軟包装用水なしオフセット印刷システム”」--を演題とするセミナーを聴講したほか、平成23年に第10回印刷産業環境優良工場表彰で最高賞となる経済産業大臣賞を受賞している新日本印刷・羽田東京工場の見学を行い、プリプレス、オフ輪および枚葉オフセット印刷、ポストプレスでの各工程における環境配慮策についての知見を広げた。

 

厳処長

厳処長

訪問に際してあいさつに立った、中国・環境保護部大気環境管理司大気固定源環境管理処の厳剛処長は、「このような貴重な研修の機会を作ってもらい、大変感謝している。今回のメンバーには、環境保護部環境と経済政策研究センター国際環境政策研究所の李麗平所長のほか、政府、行政機関、地方政府の関係者、環境保護に関わる企業に加え、印刷および設備機材工業協会のグリーン印刷/VOCs対策委員会の李建軍秘書長も参加している。中国では環境問題が深刻で、とくにVOC削減が焦点の1つとなっている。印刷業もVOC排出量が多い業界なので、その排出基準を明確に示すとともに、削減するための技術を考えなければならない。中国の環境配慮・改善活動はスタートしたばかりなので、VOC削減で大きな成功を収めている新日本印刷のすぐれた取り組みを研究させてもらうとともに、この交流を通して今後の中国印刷業界におけるVOC削減についての政策立案・技術的取り組みの参考にしたい」と訪問の狙いについて述べた。

 

佐野社長

佐野社長

新日本印刷の佐野社長は、「当社では環境印刷をいち早く採用し、率先して環境配慮に取り組んできたが、それをみなさんに紹介できることを光栄に思う。オフセット印刷技術は、発明されて以来、人々の生活を豊かにしてきた。印刷がなければ広まらなかった文化・技術・感動は数限りないだろう。遠く離れた人、遠い昔の人、普段は触れ合うことができないような人が持つ知識や技術・芸術・文化を届けてくれるものだ。この素晴らしい印刷という技術やメディアを未来に残していくためには、環境に配慮し、地域と共生できなければならない。当社もまだ道半ばだが、これまでの取り組みを見てもらい、参考になるものを提供できたら嬉しく思う」と歓迎の意を表した。

 

訪問先の新日本印刷・羽田東京工場は、すべてを水なし印刷仕様にした2台のオフ輪と5台26胴の枚葉オフセット印刷機を中心に、プリプレスからポストプレスまでの機器を備えた工場。

環境印刷のリーディングカンパニーとして環境に配慮して製作した最高品質の製品を、よりスピーディーに納品することをコンセプトとした工場となっており、印刷工程においては全台で水なし印刷を実践。

また、枚葉オフセット印刷機でのノンVOCインキの全面採用、工場廃棄物の削減とリサイクルを推進したゼロ・エミッションの実現、CO2の見える化と削減への取り組みとしてカーボンオフセット事業などを展開している。

 

 

水なしCTPプレートの出力工程のほか、印刷・後加工工程での対策や工夫について説明を受けた

水なしCTPプレートの出力工程のほか、印刷・後加工工程での対策や工夫について説明を受けた

工場見学では各工程での環境配慮策に焦点を絞って解説。メーンとなる印刷工程では、▽刷版工程で現像液を使わず、印刷工程で湿し水を使わないため、廃液処理にかかるCO2がゼロとなる上、VOCも発生しない水なし印刷、▽ノンVOCインキ--の採用によってVOC排出量が約9割も削減できていることが紹介された。

 

また、「VOCフリー化を実現する“軟包装用水なしオフセット印刷システム”」を演題としたセミナーでは、将来的な技術提案として、東レが新たに開発した水なし印刷用水溶性UVインキ原料を用いた水溶性UVインキと東レ水なし平版を組み合わせた、軟包装用水なしオフセット印刷システムを紹介。

オフセット印刷工程におけるVOC発生源である湿し水・インキ・インキ洗浄剤について、水なし平版により湿し水を排し、さらに水溶性UVインキ原料でインキ・インキ洗浄剤のVOCフリー化が実現できるほか、軟包装印刷分野で幅広く活用されているグラビア印刷から置き換えた場合では、加熱乾燥や排気燃焼処理にともなうCO2排出量が大幅に削減できるという提案がされた。

 

 

 

 

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