2017年08月18日

図書印刷は8月4日午前10時15分から、静岡県沼津市の沼津工場で記者懇談会を開き、川田和照社長が①平成30年3月期第1四半期の業績状況②中期経営計画策定、新設備・新商材について説明した。30年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画では、情報に付加価値を提供して顧客に届ける「情報をデザインする企業」への進化・発展を目指す。懇談会には、髙坂範之副社長、矢野誠之専務取締役、藤野俊二常務取締役も出席し、質疑に応えた。沼津工場については、工場統括本部長兼沼津工場長・太田貴久取締役が説明した。
 

川田和照社長

川田和照社長

 
図書印刷グループの第1四半期の連結業績は、売上高115億3900万円(前年同期比6・5%減)、営業損失6億1600万円、経常損失2億8300万円だった。
 
主力事業である印刷事業の売上高は114億4000万円(同5・4%減)だった。
 
印刷事業のうち出版印刷部門は、学習参考書が増加したものの、コミック、単行本などが減少した結果、売上高78億1600万円(同5・4%減)となった。
 
商業印刷部門では、リーフレット・チラシ、POP、ノベルティなどが減少した結果、売上高36億2300万円(同5・4%減)となった。
 
出版事業では、中学校の副教材の販売が減少した結果、売上高9900万円(同59・8%減)となった。
 

情報に付加価値をつけて届ける

 

出版印刷市場では雑誌などの低迷は回復せず、商業印刷市場もインターネットメディアの拡大に伴うニーズの多様化により競争が一層激化するなど、依然として厳しい経営環境が継続した。
 

このような事業環境下にあって同社グループは、中長期的に既存の出版印刷や商業印刷などの印刷事業を行う企業から、情報に付加価値を提供して顧客に届ける「情報をデザインする企業」への進化・発展を目指していく。
 

3年ごと9年間の計画の第1ステージに着手

 
2月に公表した中期経営計画は、平成29年度から37年までの9年間について29年度から31年度までを第1ステージ、32年度から34年度までを第2ステージ、35年度から37年度までを第3ステージとしている。段階的に成長していき、将来的に「情報をデザインする企業」に発展していく考え。
 
主力としている印刷市場については依然として不透明感が漂っているが、中長期的なトレンドで見ても、この流れは今後も変わらないと想定している。
 
紙とデジタルをいかに組み合わせて情報を効率的に届けていくかが重要であるとして、さまざまな発信者が情報を多様な形で発信する、デジタル化社会だからこそ、膨大な情報から紙需要に移して取り組むことは十分可能ではないか、さらには新しい形の情報ビジネスを作れるチャンスではないか、としている。
 
マスメディアとしての紙のビジネスモデルをさらに発展させてデジタル化社会における紙需要を創造し取り組んでいくこと、社会のニーズ、さらなる情報の受発信の多様化に対応し、情報を最適な形に加工し、最適な形で届けられる、情報をデザインする企業へ変革する。これが将来における企業価値を持続的に向上させるものと考え、中期計画を策定した。
 

事業構造転換、市場創出に向けた積極投資、文化・教育分野の事業領域拡大を実行

 
具体的には第1ステージである平成29年度から31年度には、大きくわけて3つのことを実行する。
 
①市場環境変化を見据えた事業構造転換
 
受注から納品までの製造や、スタッフ業務の基幹システムを抜本的に見直して全社的な業務効率を上げる。
並行して、労働集約型である既存の加工工程に対し、さらに省力・省人化システムを導入して製造原価を下げて、収益力を向上させる。
 
大ロットから小ロットへの転換や、現在、導入を進めているUV印刷機のさらなる拡大、デジタル印刷機の活用を進め、市場のニーズに合わせて、大ロット/小ロットどちらにも対応できるハイブリッド生産体制を構築する。
 
②新しい市場創出に向けた積極投資
 
川上におけるメディアプランニング、編集、制作、川下における物流機能などの領域を拡げ、印刷におけるバリューチェーン拡大を図る。同時にデジタルソリューション技術の進行や、紙以外への印刷ができる設備、色彩表現技術、造本技術にも投資を加速し、印刷需要に対する製造技術力を向上させる。
 
③文化・教育分野の事業領域拡大
 
学校図書における教科書制作技術の拡充を図るだけでなく、教科書以外の教育コンテンツの開発、デジタル化の進展に伴うICT教育分野への投資も今後、積極的に進めていく。
 
これらを実行するために「事業構造転換」と、「事業領域拡大」に区分し、3年間で合計300億円の投資を行う計画である。
 
事業構造転換については、生産・業務の効率化、受注拡大・新商材開発を合せて計100億円、事業領域の拡大については印刷周辺事業、文化・教育事業の拡充と開発を合せて計200億円の投資を行う予定。
 
この投資を着実に実行うすることで、平成31年度の定量目標は、売上高600億円、営業利益12億円、営業利益率2・0%を目指す。
 
第2ステージの平成32年度から34年度には、①印刷事業のバリューチェーン拡大と印刷需要の掘り起こし②教育ソリューション領域の事業確立を行う。
 
第3ステージの平成35年度から37年度には、多様な情報発信ニーズに対して、コンテンツプロモーション機能を確立し、紙・電子・インターネットメディア等最適な形に情報をデザインし、社会に届ける、情報をデザインする企業となることを目指す。
 

「顧客満足度の向上に向け、創造的な事業活動への変革を推進」

 
情報をデザインする企業への進化・発展のために、今年度は昨年度に続き、「顧客満足度の向上に向け、創造的な事業活動への変革を推進する」を経営方針とした。
 
最重点の経営課題である「売上拡大」では、既存印刷事業領域ではデジタル印刷機の有効活用や、多品種小ロット短納期へのさらなる対応、BPOサービス市場の成長に対応した受注を目指す。
 
新市場に対しては川越工場に導入したコンビネーション印刷機による新商材の開発、UV印刷機を活用した受注の拡大と新たな顧客層への開拓を進め、教育分野においては教育環境のデジタル化、ICT化に伴う教科書出版事業の拡充や教育ソリューションビジネスを拡大させる。
 
川越工場に導入したコンビネーション印刷機は、フォーム輪転印刷機で製造を担ってきた金券、それに類似するものの印刷作業を効率よく、安定的に品質確保できることに加え、印刷からニス、エンボスといった表面処理、抜きなどの付加価値工程をワンパスラインで製造することが可能である。
 
平滑性の悪い紙やフイルム、不織布でも高い再現するフレキソ版を採用し、環境性が高いと評価される水性インキにも対応することで、未開拓の印刷分野へ進出する。
 
コンビネーション印刷機の導入をきっかけとし、他社に真似のできない付加価値の高い印刷物の製造による差別化、新事業分野への展開、新規事業の創出を目指す。
 
沼津工場においては、足掛け3年になる構造改革が無事終了した。上製本、合紙絵本の新設備も本格的に稼働を始めている。
 
製造工程における省人化設備・効率化設備の導入を推進し、原価率のさらなる提言を進めることが2番目の課題になる。
 
3点目の課題は「総合品質保証」体制のさらなる改善である。営業・スタッフ部門を含めて全部門の品質、作業規定、手順書を新たに整備し、保証体制を徹底して向上させる。
 
4点目の課題は「人財育成」で、主体性・自主性をもった人材を育成する。業務の効率化とワークライフバランスの推進による働き方改革も積極的に進める。技能五輪「グラフィックデザイン」職種にプリプレス本部製版センターセルライングループ所属の社員が出場する予定で、会社をあげてバックアップする。
 
 
関連記事:技能五輪国際大会、「グラフィックデザイン」に図書印刷・青木美穂さんが出場
 
 

タグ:

PAGE TOP