2017年08月10日

リョービMHIグラフィックテクノロジー㈱(本社・広島県府中市)では6月14日付で広川勝士氏が代表取締役社長に就任した。2014年1月の新会社スタートから約3年半が経ち、名実ともに一体化を図って事業を伸展させている同社のビジョンや今後の方向性、そして経営の舵取りなどについて広川新社長に話を聞いた。

 

印刷を華やかさや感動を与えられるビジネスに

 

--まず、新社長としての抱負や経営の舵取りについてお聞かせ下さい。

広川 当社では2015年に、「ともに、世界へ彩りを。」というコーポレートメッセージを制定しました。これには、ユーザーはもとより、印刷組合団体、資材や周辺装置のメーカー、販売店、協力会社など、印刷業界に携わるすべての関係者と信頼関係を築き、ともにグローバルに飛躍していく決意が込められています。心が豊かで、ゆとりや潤いがあり、喜び、楽しさ、幸せに満ちた世界を「彩り」と表現し、彩りのある豊かな社会づくりに貢献していくという姿勢も表しました。私はコーポレートメッセージを作った時に関与していましたので、この基本的な考え方を堅持・踏襲してまいります。
また社内については、2社が統合してからいろいろな仕組みの統一を進め、会社の運営は回るようになりましたが、まだ改善の余地はあります。全社の力を1つにまとめ、我々の持つポテンシャルをあらゆる面で存分に発揮できるようにしたいと思っています。

 

広川社長

広川社長

--ご自身の性格を自己分析して下さい。
広川 私はこれまで、主に開発部門を歩んできました。みなさんから信頼をしてもらうには、良いところも悪いところもきちんと誠実に伝えることが必要だと思ってやってきました。そういった面から、人に誠実に対応し、表も裏もなくストレートに接するタイプだと思っています。

 

--社長就任にあたり、社内にはどのようなメッセージを伝えましたか?
広川 企業の財産というのは、人、そして長年積み上げた文化にあります。それを踏まえ、各社員が目標を持ち、それを達成することをやり甲斐としてもらい、会社の目標から落とし込んだ個人目標の達成を繰り返すことで成長してもらいたいと思います。
もう1点として、全社員の方向感を一致させたいと思います。各人がそれぞれ頑張っても、別の方向を向いていては効果があがりません。そこで、もっと情報の共有化を図り、きちんとコミュニケーションをとって、全員が同じ方向に向けて努力していこうというメッセージを伝えました。

 

--貴社の強み、そして課題はどこにあるとお考えですか?
広川 強みはやはり、技術、技能、仕組みの伝承がきちんとなされ、ものづくりの基本ができている点です。旧三菱重工印刷紙工機械が持っている印刷機に関する基本的な技術をすべての開発のベースとし、旧リョービが持っていた既存の技術や概念に囚われることなくいろいろなことに挑戦する風土を掛け合わせ、この両者の長所を維持・融合させていきます。
おかげさまで3ヶ年計画の売上、利益については順調に達成でき、会社設立から5年後に年間売上を300億円にするという目標についても道筋が見える水準に達し、イメージ通りのスタートが切れました。ただ、新会社がスタートしてからの3年間は、どのように軌道に乗せていくかという点に注力し、経営的にも3ヶ年計画の目標を達成すべく近視眼的になっていたところもあります。
私は現在55歳なので、まだ10年は頑張っていきたいと思っています。そこで、これからは少し先を見据えながらやっていこうと考えています。

 

印刷会社の価値作りをサポート

 

--先を見据えた取り組みの具体的なものはありますか?
広川 まず、将来を見据えた検討・議論を社内で活発にできるように、社内に商品企画担当グループという部署を新設しました。これを新設した目的は大きく3つあります。1つは、将来に向けてどのようなことを取り組んでいけばいいか、情報収集をしながら経営層に提言すること。2つ目は、社員全員がそのようなことを考える集団にしていくための起爆剤となる、活性化を促すための機能。3つ目は、我々にはない技術について、いろいろなパートナー企業と密に連携をして、一緒に取り組めることについて検討していくことです。
これを通し、社内的にも対外的にも印刷業界の将来について希望を打ち出せる会社になりたいと思っています。

 

--これからの製品開発および事業戦略の方向についてお聞かせ下さい。
広川 印刷業界だけに限りませんが、近年では求人難や熟練技能者の定年退職が進んでいます。それに対応するために、できるだけ簡単に印刷ができるようなアシストを印刷機で行えるようにしていきます。その一方で、ボタンを押せば誰でも同じ製品ができるとなると、それぞれの印刷会社の強みがなくなってしまいます。そこでイメージ的には、印刷機の中に各印刷会社が持つノウハウを入れ込むことができることを目指しています。つまりは、各ユーザーが自社の価値を作っていくことをサポートできる機械を目指しています。

 

--これからの枚葉オフセット印刷機に求められる機能はどのようなものなのでしょうか?
広川 印刷機は生産財ですが、生産財としての身近な手本に工作機械が挙げられます。工作機械はどんどん自動化されており、当社の工場もそうですが、1人のオペレーターがいろいろな段取り替えをしながら複数台の機械を操作して生産しています。将来の印刷工場も同様で、生産現場では省人化を図り、各社独自のノウハウを活かす部分に人材を注ぐ運営になっていくと思います。生産現場においてオペレーターは、監視や品質チェック、機械が安定稼働するためのアシストをしていくスタイルになっていくと思われます。

 

--最後に、日本の印刷関連業界へメッセージをお願いします。
広川 印刷業は昔から、暗いイメージを持たれがちだと感じていますが、印刷というものは人々に華やかさや感動を与えられるビジネスであるはずです。当社のコーポレートメッセージにもある「世界に彩りを」与えるべく、印刷技術だけにとどまらないさまざまな表現の組み合わせ法を発信し、印刷産業のみなさんが顧客や社会に対して明るさを語ってもらえるよう、その役に立っていきたいと考えています。

 

日本印刷新聞 2017年7月3日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

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