2017年08月10日

凸版印刷㈱は、7月28日午後1時から、東京・文京区のトッパン小石川ビル20階特別会議室で夏季記者懇談会を開き、2017年3月期の業績概況、今年度の経営方針、経営課題などについて説明した。2017年3月期の業績では連結売上高1兆4315億円(前期比2・9%減)、連結営業利益516億円(同6・3%増)、連結経常利益496億円(同4・2%減)、当期純利益325億円(同7・7%減)で、5期連続の増益、公表値も達成した。
 
金子眞吾社長は今年度の経営方針について「本年は『収穫』と『種まき』の両輪の年。これまでに打ってきた布石を成果に結びつけるとともに、さらなる成長のため、新事業の創出など引き続き未来への種まきを進めていく」と述べ、3つの経営課題である『グループを含めた構造改革の遂行』『新事業・新市場の創出』『グローバルな事業展開の加速』にスピードを上げて取り組んでいく考えを示した。
 
記者懇談会には、金子眞吾代表取締役社長、前田幸夫専務取締役、矢野達也文化事業推進本部長が出席し、緒方宏俊広報本部長の司会で進められた。
 

右から、金子眞吾、前田幸夫

金子眞吾社長(右)と前田幸夫専務

 
はじめに、金子社長が2017年3月期の業績概況、今年度の経営方針、経営課題、最近のトピックスなどについて、次のとおり説明した。

 
日本経済は、政府による経済政策の効果などにより、企業収益や雇用・所得環境に改善の兆しが見られる中、全体としては緩やかな回復基調が続いている。
 
一方で、中国をはじめとするアジア新興国経済の減速による景気の下振れリスクや、米国との通商問題など先行きは不透明な状況で推移している。
 
印刷業界では、ペーパーメディアの減少とデジタル化がさらに進展し、従来の印刷事業のあり方が、転換期に差しかかっている。その変化は、AIやIoTなど、技術革新が加速しており、まさに革命といえるほどであり、既存の印刷事業を取り巻く環境は、今後も厳しい状況が続くことになると考えている。
 
当社の2017年3月期の業績では、連結売上高は前期比2・9%減の1兆4315億円、連結営業利益は同6・3%増の516億円、連結経常利益は同4・2%減の496億円、当期純利益は同7・7%減の325億円だった。
 
また、2018年3月期の業績見通しでは、連結売上高は前期比8・3%増の1兆5500億円、連結営業利益は同35・7%増の700億円、連結経常利益は同40・8%増の700億円、当期純利益は同32・2%増の430億円を見込んでいる。
 
前期は、営業利益516億円で5期連続の増益、公表値も達成した。今期も持続的な成長のため、成長分野に対して積極的に経営資源を投入し、新たな事業の創出とグローバルな事業展開の加速に努めていきたい。

 
■新体制について
新たな体制で経営の質を高め、スピードを挙げて経営課題に取り組んでいきたい。
新任取締役(2人)=山中紀夫取締役、中尾光宏取締役
昇任取締役(2人)=江崎純生(取締役)常務取締役、山野泰彦(取締役)常務取締役
退任取締役(1人)=降矢祥博(取締役副社長)当社相談役(非常勤)

 
■経営課題と施策について
当社が取り組む「グループを含めた構造改革の遂行」「新事業・新市場の創出」「グローバルな事業展開の加速」の3つの経営課題について説明する。
本年は「収穫」と「種まき」の両輪の年にしたいと考えている。これまで打ってきた布石を成果に結びつけるとともに、さらなる成長のため、新事業の創出など引き続き未来への種まきを進めていく。ここで具体的な取り組みをいくつか紹介したい。

 

情報コミュニケーション事業分野 トータルソリューション武器に新たな事業機会獲得

 
情報コミュニケーション事業分野では、当社の最大の強みである「トータルソリューション」を武器に、新たな事業機会の獲得を進める。トータルソリューションの一例として、地方の自治体向けに当社の持つ技術やサービスを一括して提供する取り組みを進めている。
 
たとえば行政文書や資料のデジタル保存、あるいは地域文化財のデジタルアーカイブ化とVRコンテンツ化、行政窓口における多言語対応支援、ウォーキングポイントなどのヘルスケア事業の支援など、当社が持つさまざまな分野のサービスを連動させることで地方創生や地域活性化などの課題解決をトータルで支援していく。
 
さらに当社が持つ営業網を活用し、全国の自治体に向けて展開を進めていく。
 
また、トータルソリューションの基盤となる、BPO事業においては、昨年、朝霞工場内に新設したBPOスクエアの全国展開を進め、今期も既存BPOの拡大と効率化を図る。AIなどを活用した次世代BPOへの取り組みを積極的に進め、将来を見据えた新たな成長市場や、次世代領域へ向けた展開も推進する。
 
収益フェーズに入ってきたメディア関連事業では、電子チラシ事業の「Shufoo!」が、会員数860万人と大きく成長。サービス面でもSNSとの連携などにより、利便性を高めている。今後も規模の拡大とサービス拡充の両面から媒体価値の向上を図り、「情報のプラットフォーム化」をめざす。
 
電子書籍事業「BookLive」は、データを活用した販促施策やパーソナライズ対応を深めるとともに、自社でのコンテンツ開発も進め、収益率の向上を図る。さらに、将来に向けて当社の技術を活かした最先端のビジュアルコミュニケーション開発や、新技術をベースにしたセキュリティソリューションの提供など、新たなビジネス創出にも取り組んでいく。
 
一方、既存印刷事業では、出版印刷分野の総合製造拠点として川口工場の再構築を進めていく。すべての出版物への一貫生産体制を強化し、生産の効率化、短納期対応、小ロット多品種対応を実現することで、今期はその効果の最大化を図りたい。

 

生活・産業事業分野 グローバルな事業展開を加速

 
生活・産業事業分野では、経営課題である「グローバルな事業展開の加速」に向け、海外事業を積極的に推進していく。北米では「ジョージア工場」が順調に稼働し、有望な現地メーカーのバリアフィルム需要の獲得を進めている。今後はビジネス拡大のため、コンバーティング事業などに領域を拡げることも検討している。
 
ASEANにおいては、タイにおける事業の拡大をめざし、伊藤忠商事とともに、軟包材の印刷を手掛ける現地企業と資本提携を行った。さらに今後成長が見込めるインドパッケージ市場への参入、およびプレゼンスの確立のため、インドのフィルム製造会社「マックススペシャリティフィルムズ」にも出資した。
 
将来的にはグローバルなフィルム供給拠点としての活用も検討する。

 

エレクトロニクス事業分野 車載や産業機器向けの小型液晶パネル事業拡大

 
グループの保有する技術を活用し、将来の有望市場の獲得をめざす。その一環として、昨年10月にオルタステクノロジーが、台湾の液晶パネルメーカー「ジャイアントプラス社」を買収した。オルタステクノロジーの超高精細技術と、ジャイアントプラス社の量産化技術を融合させ、小型液晶パネル事業を強化する。具体的にはオルタス社が開発した屋外視認性や消費電力に優れた液晶パネル「グランビュー」と、ジャイアントプラス社の持つ量産化技術を融合させ、車載や産業機器向けの小型液晶パネル事業の拡大を図っていく。

 

■新事業・新市場の創出の取り組みについて

 
中長期の視点で見た時、数年後にはビジネスが大きく変わると考え、「健康・ライフサイエンス」「教育・文化交流」「都市空間・モビリティ」「エネルギー・食料資源」の4つの成長領域を設定した。この成長領域において、当社の強みを活かして、新事業・新市場の創出に向けたさまざまな取り組みをスタートさせている。
 
その中で2017年4月、本社に「フロンティアビジネスセンター」を新設した。これは新事業の創出のスピードアップを図り、4つの成長領域に対する全社横断的な取り組みを牽引する組織である。従来の事業で培った強みを磨いていくと同時に、激変するビジネス環境をしっかり捉え、外部の研究機関やベンチャーとの連携も取ることで、さらなる新事業の創出をめざす。一例として、教育・文化交流領域において、当社のVRサービスが大きな注目を集めている。今後、この領域では一般企業に加え、官公庁や自治体において大きな需要が見込まれている。当社はVR技術とインバウンドソリューションを効果的に組み合わせて社会課題を先取りしていく。

 

■社会貢献/文化貢献について

 
印刷博物館は、おかげさまをもって昨年10月に来館者が50万人を突破、現在は53万人を超えるなど、引き続き高い評価を得ている。その中で本年10月21日からは、企画展「キンダーブックの90年-童画と童謡でたどる子どもたちの世界」を開催する。今後も当社は積極的に文化交流活動を展開していく。
 
われわれを取り巻く環境では、革命ともいえるほどの大きな変化が起こっている。この環境変化をチャンスと捉え、これからも「印刷テクノロジー」を日々進化させ、新しい領域においても、お客さまの課題を解決し、社会に貢献していきたい。併せて、今後も業界全体の発展のために寄与していく。

 

 

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