2017年08月10日

共同印刷㈱は7月20日、東京・一ツ橋の如水会館で2017年度業界紙記者懇談会を開き、第137期(2016年4月1日~2017年3月31日)の業績状況はじめ、経営課題と展望、主な新製品・新サービス、CSRの取り組みなどについて説明した。第137期は、連結売上高945億5300万円(前期比0・6%減)、営業利益33億4700万円(同27・5%増)、経常利益40億9600万円(同17・6%増)、当期純利益25億8900万円(同17・1%増)と減収増益となった。売上高は前期を下回ったものの、チューブ事業など生活・産業資材部門が好調で大幅に利益向上。また今年6月に創業120周年を迎え、藤森康彰社長は「120年という月日の重み、困難を乗り越えてこられた諸先輩への敬意を胸に、恐れず挑戦して未来を切り開き、新たな歴史を築き上げることがわれわれの責務だと考えている。まずは新たな歴史につながる次の10年をグループの一人一人が志を高く持ちながらしっかりと歩み、ステークホルダーの皆様から評価され、より一層信頼いただける企業グループをめざす」と新たな決意を示した。

藤森康彰社長

藤森康彰社長

懇談会には藤森康彰代表取締役社長、井戸一喜取締役常務執行役員、杉山毅CSR本部コーポレートコミュニケーション部部長らが出席、杉山部長と田部井真紀同部課長の司会進行で行われた。はじめに、映像を使って第137期の事業報告を説明したのち、藤森社長が経営の課題と展望について次のとおり説明。

 

強みを活かし事業領域拡大

 
国内経済は、企業収益や雇用環境に改善が見られるなど緩やかな回復傾向が続いた一方、アジアなど新興国経済の減速や米国のトランプ政権発足による政策変更など、海外経済の不透明さによる先行き懸念もあった。
 
印刷業界では紙媒体の需要減少や競争激化に伴う受注価格の下落など、厳しい経営環境が続いている。
 
こうした状況の中、共同印刷グループは中期経営方針『強みを活かし、事業領域を拡大して利益を創出する』に基づき、グループ一丸となって業績向上に取り組んだ。事業分野別施策はのちほど説明するが、各分野に共通する利益向上に向けた施策としては、生産設備の再配置や、省力化設備の導入による生産の効率化と、採算を重視した受注活動に鋭意取り組んだ。
 
また、グループとしての総合力をより発揮できる体制を構築するため、子会社の再編を進めている。具体的には2016年4月の共同印刷製本と共同オフセットの合併に続き、本年4月にコスモグラフィックと小石川プロセスの合併をした。
 
また、カード発行から発送までのBPO業務を行う共同エフテックを新たに子会社にしたほか、日本製紙㈱との合弁による共同NPIパッケージ㈱の設立、昨年4月に出資し関連会社となっていたインドネシアのPT Arisu Graphic Primaの子会社化なども行った。
 

競争力の再構築・強化推進

 
当グループの事業分野は、情報系事業と生活・産業資材系事業の2つに分けられる。
 
情報コミュニケーション部門および情報セキュリティ部門からなる情報系事業については「競争力の再構築」という戦略に基づき、トータルソリューションによる販促支援サービスや、業務支援サービスの受注拡大に努めた。本年4月には企画関連の機能を持つ組織を整理統合してトータルソリューション提案をより一層推進していくための体制を整備した。
 
また、BPOの受注拡大に向けて営業の提案力および業務設計力の向上に取り組むとともに、受託体制の強化に向けて川島ソリューションセンターに新棟を建設し生産スペースを確保した。
 
生活・産業資材系事業については「競争力の強化」という戦略に基づいて、高品質ラミネートチューブ「パーシャルオープン」や「ハンディキューブ」などの当社開発製品の拡販に取り組んでいる。医薬・電子部品系高機能製品などを中心に、高付加価値製品の開発を推進し、受注拡大に努めた。守谷工場の再編や、共同NPIパッケージの設立、共同印刷ベトナムを核としたASEAN市場でのラミネートチューブの受注拡大に向け積極的な事業展開を進めた。
 

■個別事業の取り組みについて

 
情報系事業について、出版印刷ではマンガを中心としたコンテンツをデジタル展開するデジタルソリューションを推進するとともに、デジタル印刷機を活用した小ロット印刷の拡大を進めた。また、主力コミック誌の部数減などで苦戦した定期刊行物や書籍などの紙媒体についてもグループの生産設備を活かすことができる印刷需要の取り込みに努め、事前設計や進行管理の業務や設備配置の見直しにより利益確保を図っている。
 
一般商業印刷では、お客様の課題解決につながるトータルソリューションに引き続き取り組んでいる。顧客データの分析サービスを組み込んだ販促プランや、ロジスティク業務を含んだ提案、デジタルサイネージとスマートフォン用アプリを組み合わせた販促提案などを推進し、受注拡大を図った。また、地域活性化のサポートにも協力し、地域の魅力を作り、地域と観光客をつなげるための各種ソリューションサービスの展開にも取り組んでいる。
 
また、2016年3月に資本業務提携および情報コミュニケーション部門における生産委託の契約を締結した日本写真印刷および日本写真印刷コミュニケーションズとの生産提携、2016年4月から受託を開始し、順次受託量を拡大している。協力効果は両社で年間数億円の利益を見込んでいる。
 
ビジネスメディアでは、マイナンバー制度や金融関連、介護医療分野におけるBPO事業の取り込み、川島ソリューションセンターの機能を活かした提案活動を推進している。本年4月に第3期工事が完了した川島ソリューションセンターでは、拡張スペースを活かした生産設備の増強と再配置、設計から製造に至る各工程の省力化・省人化による受託制作体制の効率化を行い、競争力を一層強化していく。ICカードや抽選券をはじめとする証券類の受注拡大に努め、生産効率向上に向けた体制づくりに努めた。乗車券やICカードは、外国人旅行客の増加などを受け、今後も需要増が見込まれる。当社の強みであるこの分野においても新製品開発と生産ライン効率化を進め、収益力の向上とさらなる拡販に努めていきたい。
 
生活・産業資材系事業について、紙器事業では、2016年9月に日本製紙と締結した合弁契約書に基づき、本年1月に合弁事業会社「共同NPIパッケージ㈱」を設立した。すでに生産を開始しており、国内で一定のシェアを持つラップカートンや、日本製紙グループが手がけていたティシューカートンの製造を引き継ぐ。安定した大量生産体制を早期に構築するとともに、新たなパッケージ開発にも取り組み、紙器事業の基盤強化、事業の成長拡大につなげていきたい。
 
軟包装では、カップ焼きそばなどに採用されている湯切りフタ材「パーシャルオープン」が好調である。本年4月には守谷工場の敷地内に軟包装専用工場の建設が始まっている。新工場には従来の印刷加工機に加え、「ハンディキューブ」など液体パッケージの製造ラインを増設する予定。竣工は来年4月の予定で、食品安全に配慮した国内最新鋭の生産環境を構築し、軟包装分野の拡大を進める計画である。
 
産業資材では「モイストキャッチ」をはじめとする高機能フォルムの受注拡大を進めた。本年4月には2011年に開発した非吸着性フィルムの加工性を向上させ量産化を可能にした「ノンキャッチ」、3月には「耐熱フィルムシリーズ」、6月には内容物を長期にわたり保存でき、ポケット成形性を高めた「モイストキャッチアルミPTPシート」を開発し、ラインアップを拡充した。今後も医薬品業界や電子部品業界に提案を進め、市場の開拓・拡大に努めていく。
 
チューブでは、歯磨きや化粧品向けを中心に順調に増加している。また、共同印刷ベトナムを核にASEAN市場でのラミネートチューブの受注拡大に努めたほか、インドネシアの専門会社を子会社化し協力体制をより高めて、ラミネートチューブの生産体制を強化した。今後も、国内外の生産能力を強化して、受注拡大を進めていく。
 
当社は6月25日に創業120周年を迎えた。120年という月日の重み、困難を乗り越えてこられた諸先輩への敬意を胸に、恐れず挑戦して未来を切り開き、新たな歴史を築き上げることだと考えている。まずは新たな歴史につながる次の10年をグループの一人一人が志を高く持ちながらしっかりと歩み、ステークホルダーの皆様から評価され、より一層信頼いただける企業グループをめざす。
 
部門別の概況は次のとおりである。

 

情報コミュニケーション部門 コミックの電子配信は好調に推移

 
出版印刷では、マンガを中心としたコンテンツをデジタル展開するデジタルソリューションの推進や、デジタル印刷機を活用した小ロット印刷の拡大に取り組んだ。コミックの電子配信は好調に推移したが、定期刊行物と書籍がともに減少したため、売上高は前期を下回った。一般商業印刷では、トータルソリューションを推進し、顧客分析サービスや、デジタルサイネージとスマホ用アプリを組み合わせた販促提案などで受注拡大を目指した。販促DMが増加し在庫管理業務などを行うロジスティクスサービスも好調に推移したが、情報誌やカタログ、POP、パンフレットが減少し、売上高は前期を下回った。
 
その結果、売上高413億4000万円(前期比4・3%減)、営業損失3800万円(前期は営業損失4100万円)となった。
 

情報セキュリティ部門 BPOが増加

 
マイナンバー制度関連や金融関連、介護・医療分野におけるBPO需要の取り込みをめざし、川島ソリューションセンターの機能を活かした提案活動を推進した。同時にICカードや抽選券をはじめとする証券類の受注拡大にも努め、生産効率向上に向けた体制づくりに取り組んだ。
 
官公庁や金融機関を中心にBPOは増加したが、データプリントが前年の大型案件の反動もあって減少したため、ビジネスフォームは減少した。証券類は通帳や抽選券の受注増によって増加し、IC乗車券をはじめとするICカードも好調だった。
 
その結果、売上高302億1700万円(前期比0・9%増)、営業利益19億3500万円(前期比20・5%減)だった。
 

生活・産業資材部門 チューブ事業の拡大めざす


 
チューブ事業の拡大をめざし、化粧品向けにフルプリントラミネートチューブを提案するとともみ、共同印刷ベトナムを拠点としたASEAN市場での拡販に取り組んだ。湯切りフタ材「パーシャルオープン」の受注拡大に努めたほか、フィルム製コンテナー「ハンディキューブ」の提案を進めた。モイストキャッチなどの高機能製品は、医薬品包材向けを中心に新規開拓に取り組み、受注拡大を図った。
 
歯磨き向けや化粧品向けを中心にチューブが増加し、「パーシャルオープン」や「Tパウチ」の受注増によって軟包装も増加した。ラップカートンの受注増によって紙器も増加し、産業資材や建材製品も増加した。
 
この結果、売上高19億4600万円(前期比0・0%)、営業利益4億9900万円(前期比1・2%増)だった。
 
2018年3月期業績の見通し
 
情報系事業では、デジタルコンテンツ市場への対応強化やトータルソリューション提案の推進によって事業拡大を図るとともに、受注内容に適した生産体制の構築を図り、利益確保に取り組む。また、BPO関連では、川島ソリューションセンターに新棟を建設して生産スペースを拡張した。設備の増強と再配置による受託・生産体制の効率化、各工程の省力化・省人化を進めるとともに、受託可能な作業領域を拡大してクライアントの多様なニーズに応え、さらなる拡販に努める。
 
生活・産業資材系事業では、強みを持つ製品の伸長とそれを支える体制の構築に努める。チューブ製品は、国内外の生産能力を強化し、化粧品向けラミネートチューブを中心に受注拡大を進める。軟包装事業は、拡大に向けて守谷第一工場の新棟建設に着手。紙器事業についても、本年1月に設立した共同NPIパッケージ㈱の大量生産体制の構築を早期に実現し、事業基盤を強化していく。高機能製品についても機能と用途の拡大を図り受注拡大に取り組む。
 
これらの取り組みにより、2018年3月期の連結売上高は980億円(当期比3・6%増)、営業利益33億円(同1・4%減)、経常利益41億円(同0・1%増)、当期純利益26億円(同0・4%増)を見込んでいる。
 
 

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