2017年07月25日

清水印刷紙工㈱(本社・東京都文京区音羽2の1の20、清水宏和社長)では、UV高精細印刷による特殊原反を使った高級・高品位なパッケージ製作からアセンブリ加工までの全工程をワンストップで展開し、事業を拡大させている。その事業の中核となる印刷工程において、高品質かつ高級感を醸し出す印刷物を生産しているのがマンローランド社製の菊全判10色コーター付UV印刷機「Roland710LV」だ。

 

同社は昭和10年に東京・文京で創業。平成19年に群馬県邑楽郡に群馬工場を新設して、生産拠点を東京から移転した。移転前はUV印刷で書籍のカバーや雑誌の表紙、教材などのパッケージをメーンに製作していたが、出版市場が先細りしていくことへの懸念から新分野の仕事を増やすべく、移転を機にメーン品目を化粧品や日用品のパッケージへと業態を転換。プラスチックやアルミなどの特殊原反にUV印刷/コーティングをしたパッケージを作り、そのパッケージに顧客から預かった商品を詰めるアセンブリ加工までの一貫処理ができる体制を目指した。そのための設備として群馬工場の立ち上げ時に、東京から移設した5色コーター付UV印刷機のほか、7色コーター付UV印刷機と10色コーター付UV印刷機(すべてマンローランド社製の菊全判機)を新規導入した。

 

清水社長

清水社長

このように、すべてマンローランド社製の印刷機で揃えているのには当然理由がある。マンローランド製の印刷機について同社の清水社長は、「網点の再現、ベタ部のムラのなさなど、とにかく印刷品質に惚れた。このような点でほかの印刷機と違いが出るのは、版胴からブランケット、そして圧胴(原反)への圧のかかり方、インキが転移されていく過程で圧を逃がすことなくしっかりと受け止められる軸の強さに起因するのだと思う。当社では10μ㍍のFMスクリーンという高精細印刷をするので、とくに品質の差が歴然として表れる。パッケージ分野では多色化・高品位化がどんどん進んでおり、その中でも抜きんでたパッケージを製作する上で、品質への追求は欠かせない。だからこそこの選択をした」と評価している。

 

同社で現在稼働している印刷機は、最初の3台の中の1台(10色コーター付UV印刷機)だけとなっている。2台の印刷機を撤去したのは、2つの経営的な判断からだった。その1つは、群馬工場の立ち上げ時から目指してきた、顧客から預かった商品を印刷したパッケージへと詰めるアセンブリ加工をするためのスペースを設けるため。同社では化粧品や医薬部外品でもこれができるように、とても厳しい基準となる印刷会社としては稀となる化粧品製造(包装・表示・保管)の許可も取得。そして、2台の印刷機を設置していたスペースを、化粧品関連商品の印刷からパッケージング加工、アセンブリ加工のすべてを一気通貫に進めるためのスペースとして転用した。

 

もう1つの判断理由としては、5~6色のUV印刷機は市場で数多く稼働しており、かつ求められる仕事は特殊で高品位なものばかりではないことに気付いたから。「これまではすべての仕事について高級・高品位な仕上がりを追求してきたが、多くの仕事でそれはオーバースペックであることに気が付いた。そこで、社内で印刷をすると高コストとなるので、仕事の価値の中心軸を印刷からアセンブリ加工へと移し、5~6色の比較的シンプルな印刷についてはそのような仕事に適した構成の印刷機を持つ協力会社へ外注し、社内では9~10色を使う本当に高品位な印刷だけをすることにした」と清水社長はその判断の背景を説明する。したがって、現在の同社の印刷内製化率は3割程となっている。

 

Roland710LV

Roland710LV

現在、同社で稼働している唯一の印刷機の「Roland710LV」は、多色・高品位な印刷を専門にこなし、反転機構、帯電防止装置、全7ヶ所に設置できる胴間UV乾燥装置、搬送時に原反の跳ねを抑えるエアー機構などのオプションを搭載している。そしてなにより、UV乾燥による伸縮が発生しやすいPP素材に10μ㍍のFMスクリーンでCMYK+白+CMYK+OPニスといった難しい仕事も行えるような高い見当精度を備えているのが大きな特徴だ。「この印刷機の設置時にはマンローランドの技術者達がドイツから来て、膨大な量の紙を使って2ヶ月間にわたって毎日テストして、精緻な調整を行った。ワンパスで2度刷りを行う仕事もあるが、それは即ち10μ㍍の網点をまったく同じ位置に印刷することとなる。熱と圧で伸びるPP素材を使い、しかもUV照射によるインキの硬化収縮という要素も入るので、まっすぐ刷っても見当は合わない。そこで版面上で網点を微妙にずらすのだが、それができるのも高いレベルで安定した見当精度があるからこそ10年経っても狂いがなくそれができる機械剛性がこの印刷機にはある」(清水社長)

このような高い機械剛性によってもたらされるメリットはほかにもある。「10年間使っているが、機械的なトラブルはこれまで1回もなく、修繕費がかからない。初期投資は多少高いかもしれないが、長寿命でかつ使用途中でのコストもかからないことの意味は大きい。また、部品自体も強く、たとえば爪台の交換もしたことがない」(清水社長)

 

同社では今後、「Rolrand710LV」による特殊原反へのUV超高精細印刷や特殊パッケージング加工を事業の中核に据えつつ、バリアブル/パーソナライズ印刷と組み合わせたアセンブリ加工といった、これまでとは異なる付加価値創出法を模索する。「ほかの印刷会社では難しくてできなかったという仕事を頂くことも多々あり、我々がこれまで培ってきた印刷技術を頼ってもらえるのは嬉しいことだ。しかし、UV高精細印刷ができるとか、10色印刷ができる、無処理版を使っていることが売りになる時代は長くないだろう。そこで、物をパッケージングして送るという、当社が今もっているノウハウを活用した新たなビジネス展開をしていきたい」と清水社長は次なる展開を見通している。

 

日本印刷新聞 2017年5月1日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

先進企業事例紹介-関連の記事

PAGE TOP