2017年07月07日

12年ぶりに旭川で行われる今大会。開催準備はほぼ整った。地元では「地域活性化、業界活性化のきっかけになる」と、期待が高まっている。本紙では大会長の板倉清氏はじめ、実行委員長の井田多加夫氏、副実行委員長の植平有治・中村裕一両氏にお集まりいただき、大会の概要や特色、意義、大会にかける意気込みなどについて語り合ってもらった。司会は副実行委員長の伊藤克義専務理事。

 

(2017年6月26日付「日本印刷新聞」から)

 

◆座談会出席者◆

板倉 清 大会長
(北海道印刷工業組合理事長/㈱アイテックサプライ)

井田多加夫 副大会長・実行委員長
(北海道印刷工業組合副理事長、旭川支部長/㈱井田印刷工房)

植平有治 副実行委員長
(北海道印刷工業組合監事/植平印刷㈱)

中村裕一 副実行委員長
(北海道印刷工業組合理事/中村印刷㈱)

司会
伊藤克義 副実行委員長
(北海道印刷工業組合専務理事)
 
 

需要停滞感払拭へ一丸 進む労働力不足の深刻化

 

伊藤 板倉理事長に口火を切っていただく。北海道の景気動向や印刷業界の現状から聞きたい。
板倉 政府は景気が回復しているというが、ひと言でいうと景況感が改善されている実感はない。とくに消費税が引き上げられた平成26年4月を境に、消費者の購買力は落ちているのではないだろうか。北海道の人口が(流動的な人口も含め)減少傾向にあるのも一因だと思う。他方で高齢化が進んでいる。高齢者が増えれば自ずと購買力も落ち、それが景気動向に結びついてくる。
北海道では昨年3月、新幹線が開業し内外からの客足を期待したものの、現状では、まだそれほど経済的効果は現れていない感がある。訪日外国人観光客も増えているようだが、印刷にかかわるインバウンド需要はまだ不透明だ。さらに8月には、台風が発生して交通網や農作物が大きな被害を受けた。
その影響はいまも残っており、北海道経済にブレーキがかかっている状況といえる。それは中小印刷業界も同様で、需要の減少など状況はよくない。また国の政策とのかかわりでは、労務管理の問題もある。現状を回復するために、どのような対策を講じればいいのかが次の課題といえる。旭川大会が、課題を克服するためのきっかけの場となることを願っている。

 

板倉清氏

板倉清氏

 

伊藤 旭川の経済ならびに印刷業界の現状はどうか。
井田 旭川はもともと物価が安い。さらに景気低迷により印刷業界は厳しい状況に置かれている。印刷会社の中には設備投資を行って伸びているところもあるが、多くの会社は苦戦していると思う。さしあたっての課題は需要の停滞にいかに対応するかであろう。従業員の待遇面についても同様である。人口の減少による労働力不足も深刻だ。東南アジアまで人材を探しに出向いた印刷経営者もいるという。
 
 

式典で優良従業員表彰 堀江貴史氏招いて講演会

 

伊藤 旭川大会のテーマは「地域とともにあって、志あふれる印刷産業へ向かう」。大会に向けての意気込みは。
板倉 大会の目的は、全道の組合員が一堂に会して課題解決に向けて親睦を深め、団結を強化すること。また社会的責任を果たせる企業を目指して、その方向性を確認し合うというねらいもある。印刷業界は地域の産業とともに成長することから、地域経済の振興・発展に貢献する気持ちを持って大会に臨みたい。
井田 旭川市は平成23年に、旭川市中小企業振興基本条例を制定した。印刷業界も、それに歩調を合わせるかのように、地域とかかわりを持つようになってきた。たとえば旭川大学との協働事業としてラーメン本を発刊し、また難病と闘う下田昇兵氏のUDレシピ本の出版に協力することができた。
なぜ、このようなことを行ったのか。おそらく広い視野で見れば、ソリューション・プロバイダーとしての事業領域にかかわってくるのだろう。いろいろなねらいを持って大会に臨む。
全日本印刷工業組合連合会の2025計画にも目を通したが、とくに仙台印刷工業団地協同組合の事例「地方創生の取り組み」は勉強になった。若い人にとっても、参考になると思う。

 

井田多加夫氏

井田多加夫氏


 
伊藤 メーンとなる記念式典の内容について説明してほしい。
植平 記念式典は8日午後5時から、旭川グランドホテルで挙行する。主催者あいさつや来賓祝辞のほか、ハイライトといえるのが表彰。勤続30年以上2人、勤続20年以上4人、勤続10年以上12人の合計18人の永年勤続優良従業員の功労を称える。
12年前に旭川で行われた大会の式典で表彰された従業員数は81人にのぼった。また直近3年前の札幌大会の時は16人であった。
今回は組合員数、従業員数が減っている中で、前回を上回ることができた。式典の前には、旭川市民文化会館大ホールで記念講演会を開催する。講師は堀江貴文氏。インパクトのある話を期待している。

 

植平有治氏

植平有治氏

 

伊藤 参加者が楽しみにしている記念パーティでは、どういった趣向を凝らすのか。
中村 まず聴いていただきたいのが、アトラクションの津軽三味線。全国の主要3大会を制した菅野優斗さんの独奏。そして菅野さんの父・2代目菅野孝山さんと、祖父・初代菅野孝山さんを加えた3氏による迫力のある合奏を堪能していただきたい。
またお楽しみ抽選会では、景品のすべてが旭川の産品。ご家族にも喜んでもらえる品物を用意している。食については、屋台の旭川ラーメンやさまざまな食材を使った料理を、地元の3大銘酒とともに味わっていただく。
 

中村裕一

中村裕一氏


 
伊藤 大会参加者に対するメッセージをお願いしたい。
井田 中途半端ではなく、思い切って徹底的にやる。堀江氏の講演は楽しんで、参考にして、勉強していただきたい。式典は厳粛に、記念パーティはにぎやかに。実行委員がそれぞれ思いを込めて準備した。ひとりでも多くの人に、旭川の良さを満喫してもらいたい。
板倉 皆さんの話を聞いて、運営にあたって現実的なものと、参加者に楽しんでもらうことを念頭に置いて準備してきたのだなと感心している。地域とのかかわりを大切にしていることがよくわかった。皆さんの熱い思いが旭川大会を成功に導くものと信じている。
 
 

印刷の現状をアピール 必要とされる会社を目指す

 

伊藤 地元の皆さんの会社の特色や目指す方向、そして大会テーマで謳っている‘地域とともに’について聞きたい。

 

伊藤克義氏

伊藤克義氏

 

井田 中小印刷会社の生きる道は、設備投資をして徹底的にコスト削減する、あるいはソリューション・プロバイダーの道を歩むなど、さまざまであると思う。最近は顧客のマーケティングの手伝いや、各種サービスの提供が重要視されており、それに対応できる人材の確保・育成も課題になっている。
旭川には支部のほかに協同組合があるので、当社の場合は他社と連携しながら需要に応えている。いろいろな会社と協力関係にあると、ネッワークの広がりを感じ、情報も収集できる。また行政とかかわる場合でも、単独企業より組織で対応した方が、話がしやすいと身を持って感じる。いまある協同組合を改革して、さらによりよいサービスを提供できる組織にもっていきたいと考えている。

 
植平 当社は今年創業80年目を迎えた。会社の将来のことも考えなければならない時期にきている。地域とともに歩んできた印刷会社というのは、地域経済の影響をもろに受けてしまう。厳しい業界環境の中でこれから生きてゆくとなると、考えられるのは「共創」もしくは「M&A」のふたつ。
そんな中で当社は、毎年のように設備投資をしている。機械は年月を経るとともに古くなり、新しいものと入れ替えなければならなくなる。同業他社の設備を利用することも考えられるが、可能なものと不可能なものがある。
経営面でポイントになるのは人材の育成である。今年新入社員を複数採用したが、一人前になるまでには、ある程度の年月を要すると思う。地道に育てていきたい。人材確保・育成は永遠のテーマでもある。
業界環境は激変しているが、共に生き残るためには、組合員同士結束してことに当たることが大事だろう。印刷業界と印刷会社は一蓮托生であり、自分の会社さえ良ければいいという考え方はありえない。組合を通じて得た情報や人脈を自社の経営に活かす一方、組合員とともに課題に立ち向かっていきたい。今大会は印刷産業を市民にアピールする絶好の機会でもある。成功させたい。

 
中村 当社は来年、創業90周年を迎える。戦後法人化し、手差しの活版機1台で帳票伝票、封筒などの事務用印刷物を主体に営業していた。現在では、企画・デザインからカラー印刷、製本まで一貫生産している。
市場環境の変化とともに、平成12年2色印刷機、15年4色印刷機、24年に道北で初のLED-UV4色印刷機を設備してカラー化へシフトした。CTPも早い時期に導入した。
このほか拡販に向け、オンデマンド印刷、バリアブル印刷、直近ではAR・アプリ制作事業など、顧客に喜んでもらえるサービスを展開している。
会社を営んでいて改めて思うのは、ひとりの人間として幸せを探求する姿勢を持つことの大切さである。行きつくところは「健康」であり、これは会社経営も同じ。社員が健康であること、会社も健康・健全であること。社員が健康で長く働ける会社、地域社会から必要とされる会社を心がけている。「利他の精神」がバックボーンである。
 
 

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