2017年04月26日

ハイデルベルグ・ジャパン(東京都品川区、水野秀也社長)は平成28年12月、アイワード(札幌市中央区、木野口功会長、奥山敏康社長)の石狩工場(石狩市新港西3丁目)に最新鋭の「スピードマスターXL106-8-P 18K」(最高印刷速度毎時1万8000枚仕様、菊全寸のび判8色両面兼用印刷機)を納入した。平成28年に創立50周年を迎えたアイワードは、今回の導入により、石狩工場のスマートファクトリー化とさらなる飛躍を目指している。

 

このスピードマスターXL106はハイデルベルグがdrupa2016で発表したスローガン「シンプリー・スマート(Simply Smart)」を具現化し、オフセット印刷の完全自動運転を実現する「プッシュ・トゥ・ストップ(Push to Stop)」コンセプトに基づいて設計された最新モデル。国内初の導入となる。「印刷産業におけるIoT/第4次産業革命の幕開けを飾るもので、ハイデルベルグが提唱する『シンプリー・スマート』を実現する大きなパラダイムシフトとなる印刷機」(水野社長)である。

 

4月18日午後2時から石狩工場で開いた記者発表会で明らかにした。

 

DSCN5201アイワード会見木野口会長

左から水野修也社長、木野口功会長、奥山敏康社長

 

会見は内田和久ハイデルベルグ・ジャパン札幌営業所長の司会で進められ、木野口会長が「設立50周年および石狩工場スマートファクトリー化について」、奥山社長が「スピードマスターXL106-8-P導入、および今後の展望について」、水野社長が「シンプリースマート実現向けて」それぞれ話した。

 

石狩工場では今回、SM102-8P(菊全両面8色機)2台、SM102-ZP(菊全2色両面兼用機)2台を撤去し、XL106を導入した。

 

 

木野口会長「印刷生産性は1台で3台分以上の能力を確保」

 

木野口会長はスマートファクトリー化についてこう述べた。
 
「アイワードは1966年10月の設立。昨年10月で50周年を迎えた。NHKの『超絶 凄ワザ!』で弊社の『褪色カラー写真の色復元システム』を全国放送していただいた際、老舗として紹介された。何件かの会社の再建に力を貸したことがあるが、老舗と呼ばれる会社はほとんどがうまくいかないことを体験しているので、老舗といわれると不思議な感じだった。老舗は、新しく創業するという姿勢で新しいことに取り組んでいかないとだめだと考えていた。50周年を期して、どうしたらいいのか考えていた。

 

お客様はハイグレードなものを要求してくるし、納期については短納期になっている。反面、価格は低下していく、難しい状態になっている。そこを上手く解決していかないと企業の存続が難しくなる。
 
石狩工場は1998年、平成10年にブック印刷の拠点工場として竣工した。お客様の要望にさらに応えていくための設備更新をかねてから考えていたところ、経済産業省の補助事業に『エネルギー使用合理化等事業者支援補助金』のあることがわかった。国の制度を活用して経営力向上の設備投資をすることができた。
 
具体的には、取得15年以上の枚葉印刷機4台を撤去して最新のハイデルベルグ・スピードマスターXL106-8-P 18Kを導入。暖房・冷房設備を全面更新し、工場の照明をすべてLEDに交換、変圧器を最新の設備にした。工場内のコンプレッサーも効率のいいものに変えた。この結果、印刷生産性は1台で3台分以上の能力が確保され、エネルギー使用量は前年度の20パーセント削減を可能にする見通しが立った。
 
ハイデルベルグの指導・協力をいただいてdrupa2016バージョンのXL106を12月29日に納入してもらった。
 
生産性は落とさずに、品質を上げ、省エネ化を図った。総事業費は約8億2000万円。これに対して、補助金が約3億5000万円ついた」

 

 

奥山社長「ブック印刷の先にある課題解決工場へ」

 

奥山社長は導入の経緯と今後の展望をこう示した。
 
「当社はブック印刷専業会社として、全国の専門出版社、美術館・博物館、北海道内各社から出版物の依頼を多数ご用命いただいている。
 
ブック印刷に関する要望の1つに、最終校正紙と本番印刷の色と刷り上がりの合致があげられる。この度の設備は、この要望に対しAI内蔵の仕組みにより的確に対処することができる。
 
第2の要望として早く書籍を発行するための適正納期への要望があり、印刷前準備時間の大幅短縮と世界最高速度1万8000回転による印刷の実現と既設の製本ラインによるスピーディな仕上げ体制が相まって、ページ数の多い専門出版物であればあるほど、威力を発揮できることとなった。
 
第3の要望である、美しく読みやすい本づくりに対して、本社のプリプレスと石狩工場を、プリネクトワークフローでつなぎ、造本仕様に最適な組版データのハンドリングと製造設計を行うことで要望実現が可能となる。
 
ブック印刷の先にある課題解決工場としてスマートファクトリー化の力を最大発揮できるよう努力していく。
 
XL106は、バージョンが上がって、人工知能をもって自ら生産性を高めていくさまざまな機能を備えている。
 
一番大きいのは版の交換、洗浄である。8色で約16分版替えに要していたが、2分30秒ですむ。大幅な時間短縮が可能になった。印刷の立ち上がりも非常に速い。スペックの1万8000回転に速い時間で立ち上がり安定的に運転する機能がある。それを保証していく自動的な見当合せ、色の管理、従来は周辺機器を使ってオペレーターが自ら行動しながら機械の整備をしていたが、今回はこれらがすべて内臓されている。
 
さらに1枚1枚の印刷、裏表の印刷の状況をすべてナンバリングをして検査を行う。検査結果は固有の番号で識別を行って適切に排出を行うことができるようになった。次工程、製本工程には良品の刷り本を供給する。それを受けて製本・加工が行え、従来にも増してスピーディに行えるようになった。
 
ブック印刷を主体にしてここまでやってきた。ブック印刷の中でもアイワードでなければならないというような本の種別に絞り込んだ営業活動を続けてきた。これがさらに絞り込みを行うことができるのではないかと強く考えている」

 

 

水野社長「印刷産業におけるIoT/第4次産業革命の幕開けを飾る」

 

水野社長は、ハイデルベルが提唱するシンプリー・スマート、プッシュ・トゥ・ストップ・コンセプトによるスマートファクトリー化の実現についてこう話した。
 
「世界最新のシステムを導入していただいた。

 

今朝の朝刊に、大手コンビニが2025年までに全面的に無人のレジを導入するという記事が載っていた。RFID技術を使いすべての商品にIDをICチップで埋め込むことになる。いよいよ日本でもIoT、インダストリー4・0が本当に生活の一部として動いていく時代を迎えた。
 
すべての商品にICタグを埋め込むことになると、出版物にもICタグが必要になってくる。マス・カスタマイゼーションの時代を本格的に迎えたと考えられる。
 
印刷物、出版印刷にも非常に大きな影響がある。印刷物はこれまで見込み生産を行ってきた。ICタグが全面的採用されることになると、一冊の本がいつどこでどのように渡ったのかということがビッグデータのなかに精確に記録されることになる。見込み生産から予測生産に変わっていく。たいへん大きなパラダイムシフトになる。
 
増刷ひとつとっても、従来、そろそろなくなるとではないかという予測でしかなかったものが、はるかに細かく、短くモノを作っていかなければならなくなる。その時、人の手がかかっていては膨大なビッグデータを処理することは不可能である。
 
ハイデルベルグはdrupa2016でシンプリー・スマートというコンセプトを打ち出した。印刷工場にスマートファクトリーを実現するということである。マス・カスタマイゼーションによって予測された需要に基づく生産システムを構築するには、入ってきたデータをAIが自動的に処理して、印刷機械だけではなくすべての生産フローに自動的に流し、正確な数の印刷物を提供する。こういう製造システムを近い将来実現していくことを目指している。
 
現在の自動車メーカーが行っている自動運転車に倣うような、自動化レベル3、ほとんど自動化されているけれども万が一のときだけブレーキを踏むというようなシステムをプッシュ・トゥ・ストップと呼んで、スピードマスターXL106のコントロールシステムの中にAIシステムを導入した。
 
従来のフローとはまったく違い、1点1点の仕事を人間がスタートさせるのではなく、スタートはすべて装置が行い、人間のすることは監視するだけ。ブレーキを踏むときだけ人間が行う。将来、完全自動、レベル4になれば完全自動になる。現段階ではもうすこし時間がかかるだろう。
 
激しいイノベーションは、インダストリー4・0に突き進んでいる。印刷業界もその中にある。サプライヤーがまずやらなければならいことは、いかにして停止をくいとめるかということにつきる。
 
AI技術とビッグデータを使って世界中の何万台もの印刷機をネットワーク化し、それらのデータを集めて、予測メンテナンスサービスを現在、計画している。
 
装置が止まる前、故障する前に、予測して故障をくいとめる。そのことによって生産計画に破綻を来さないようにする。
 
今回も4台の機械を出して1台にしている。生産性は格段に上がっているが、もしこの装置が万が一にでも停止すると、生産計画が破綻してしまう。
 
いままでは印刷機械を作って販売することをビジネスモデルにしていたが、今後はそれに加えて装置が償却する10年間にわたって、安定して高生産を上げられるように、高品質が持続できるようにあらゆるデータを駆使してアイワード様とともに印刷の新しい未来に向かって進んでまいりたい」

 

「スピードマスターXL106-8-P 18K」

石狩工場に導入された「スピードマスターXL106-8-P 18K」

 

 

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