2017年03月13日

印刷業を始めてから124年、元々の創業の源流は雑貨・和紙商を営んでいた江戸時代にまで遡る老舗印刷会社のカシヨ㈱(本社・長野県長野市西和田1の27の9、清水光朗社長)では、社是として「もっとも古く、もっとも新しく」を掲げる。歴史を積み重ねて伝統を作りあげていくためには常に新しいことを手掛け続けていくというこの社是に則って、今年4月から現在の枚葉オフセット印刷の最先端技術であるLED-UV印刷機を本稼働させている。リョービMHIグラフィックテクノロジー㈱製の菊全判4色印刷機「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」を導入し、短納期対応はもちろんのこと、インキを厚盛りした高付加価値印刷など、LED-UV印刷の即乾という特性を活かしたカシヨスタイルの構築に邁進している。

 

清水社長

清水社長

印刷業務を開始してから来年で125年を迎える同社は、大正時代に県内で初めてオフセット印刷機を導入、昭和47年には日本で初めての有料タウン誌を創刊するなど、その時代における新たなものへの挑戦を続けてきた。現在は総合印刷会社としてカタログやパンフレットなどの商業印刷物、学習参考書などの出版印刷をビジネスの2本柱とし、そのほかに帳票印刷や非印刷系の仕事も手掛けている。これまでの印刷機のラインナップは、両面専用機が菊全判8色機、菊全判2色機、菊半裁8色機、片面機が菊全判4色機という構成。「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」は、菊全判片面4色機との入れ替えで導入した。

LED-UV印刷機導入の最大の理由は、もちろんインキ乾燥時間削減による短納期対応だ。同社の清水社長は「約20年前に両面専用8色機を導入したのも、両面をワンパスで印刷することによる納期短縮を目指したものだった。その後、どんどん納期は短くなり、印刷の前後工程をやりくりすることで対応してきたが、それも限界に達していた」とLED-UV印刷機導入前の状況を振り返る。さらに、「最近のデザインはベタを多用する傾向があり、インキ乾燥の時間が問題となっていた。高級・高品質を志向する発注者の意図に対し、安心の生産体制を作るためにUV印刷をしようと思った」と語る。

 

「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」

「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」

同社のLED-UV印刷機採用よりも早い平成23年12月、同社の関連会社である東洋印刷㈱(本社・長野県長野市柳原下返町2551)がリョービ製のA全判両面兼用インラインニスコーター付8色印刷機「928P LED-UV乾燥システム付」を導入している。当然、グルプ内で仕事の融通もしており、ニスコーターが付いていることから書籍や学習参考書の表紙、さらには疑似エンボス加工などの仕事で活用してきた。同社が数あるLED-UV印刷機から「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」を選んだ背景には、東洋印刷が先に導入していた「928P LED-UV乾燥システム付」の存在もある。「当社でUV印刷を始めるにあたり、ランプ式の省電力タイプではなく、社是に則り最先端の技術を採用しようと思い、LEDにした。LED-UV印刷はグループの関連会社ですでに運用しており、そこで積み重ねてきたノウハウを移管し、資材選定・マッチングはすぐに進んだ。“928P”に向いた仕事はそのまま任せていき、これまでは外注していたB全ポスターが印刷できるモデルにしようと考えた。“928P”の実績と性能に満足しており、また新しい時代に対応する斬新な開発力、小回りの利いたサービス・配慮をあわせ持つメーカーだと思うので、同一メーカーの印刷機で揃えることに決めた」(清水社長)

 

実際に稼働を始めてから半年以上が過ぎ、即乾に加えてジョブ替え時間短縮の効果もあり、以前にあった4色機と比較して生産量は209%にのぼっている。同社の奥山哲常務は導入効果について、「インキ代はたしかに高い。だが、即乾による稼働率向上とそれにともなう内製化率向上によってその分は吸収できている。生産性に関しては、8色機と同じとまでは言わないが、それに迫るものがある。即乾性も加味して考えると油性8色機は凌駕している。また、インキを盛った高級印刷物の取り回しが良くなったこともメリットだ」と評価する。同社のメーン品目の1つである学習参考書、帳票類は冬場に繁忙期を迎えることから、「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」の本領に期待をかけている。

 

奥山常務

奥山常務

LED-UV印刷を営業面で活かす方策については、即乾によるスピードをセールスポイントにするのではなく、高品質・高級印刷への活用をしていく構えだ。すでにその取り組みは少しずつ動き始めており、LED-UV印刷で発色性が良い用紙の研究や、高精細印刷(280線)の自社基準化も進めている。また、「V3000LS-4 LED-UV乾燥システム付」の見当精度の高さと即乾性を活かし、高濃度な掛け合わせの平網部に白抜き文字を浮かび上がらせる高級印刷物の提案などで、顧客からの評価を得ている。「グループ会社のLED-UV印刷機での短納期対応をすでにしており、顧客側もそのスピード感に慣れてきつつある。また、近隣にも省電力UV印刷をしている会社が複数あるのでスピードは差別化の材料にはならず、むしろ近い将来には必須条件になるのではないか。そこで、LED-UV印刷の特性を活かした高付加価値化の研究を進めるとともに、LED-UV印刷でできること/できないこと、得意とする用紙などの情報を営業スタッフと共有をしていく。そして、LED-UV印刷だけにとどまらない、当社の持つ技術やアイデアという価値を適切に顧客に届けるカシヨスタイルを構築したい」と奥山常務は語っている。

 

日本印刷新聞 2015年11月30日付掲載【取材・文 小原安貴】

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