2017年03月13日

パッケージ印刷市場では、消費者の目を引くためにどんどんとデザインが華美になっている。自動販売機のダミー缶やフィルム素材を使ったクリアパッケージ、電飾看板をはじめとした、特殊で高級な印刷物の製作を得意とする㈱大成(本社・東京都新宿区新宿2の9の22、大野敏社長)では、それらの新たな表現技巧や効率的な製作手法を市場のニーズに先んじて開発し続け、この分野をリードしてきた。そのような同社が平成25年3月、KBA製の菊全寸延び判8色UV印刷機「Rapida106-8」を導入し、プラスチックやフィルム系の特殊原反への対応や印刷物のさらなる高付加価値化を進めた。

 

同社は、業界標準の先を行く新しい表現方法の研究・開発をすることで、顧客の潜在的な意図を先取りした技術提案を行い、印刷物の高付加価値化を常に志してきた印刷会社。とくに、オフセットUV印刷をベースに、フィルム系の特殊原反を使った高級印刷表現に定評がある。稼働する印刷機はすべてUV印刷機で、「Rapida106-8」のほかに、菊全判8色+コーター機、菊全判6色機が2台、菊倍判6色機という構成だ。

大野会長

大野会長

その「Rapida106-8」導入から約2年半が経った。導入当初、「Rapida106-8」に同社が寄せた期待は、ダイレクトドライブ機能によるジョブ替え時間の短縮、そして実稼働速度の速さだった。「当初の狙い通り、たとえばクリアファイルの印刷だと、ほかの印刷機では毎時6000回転程度でしか印刷できなかったものが、毎時1万2000~3000回転と、倍以上のスピードで印刷できている。フィーダーからの原反の出具合がとても良く、デリバリーでの揃えも抜群だ。当社の仕事の9割以上は特殊原反を使うので、フィーダーをはじめとした搬送の安定感が重要だが、それは期待以上のものだ。また、小ロットのパッケージや時として台数物の仕事もあるが、ダイレクトドライブ機能によっていろいろな作業が同時並行で行われるので、ジョブ替え時間はこれまでの半分以下に圧縮された」と同社の大野芳郎会長は、「Rapida106-8」のパフォーマンスが期待に違わぬものだったと評価している。

 

実際に稼働させてみてからの発見もあった。その1つが見当精度の高さだ。同社の行木義太郎工場長は「KBAの独自技術であるフィーダーの前当て部で横針を使わない“ドライブトロニックSIS”という機構により高速でも安定した給紙がされ、刷り出し時の見当は1発でほぼ合う。透明原反に印刷をする際、インキの濃度を高めるためにまったく同じデザインで2度刷りすることもあるが、その時も見当がぴったりと合う」と語る。また、同社では高価な特殊原反を使用することが多いので、損紙を減らす努力を絶えず重ねている。「プリプレスデータ通りに印刷すればほとんど色が合うので、すぐに本刷りにかかれる。また、インキキーを操作してから、実際に色が変わるまでの反応も早いので、これまでよりも損紙を減らすことができている。また、印刷中の用紙搬送でのキズもつきにくい」という。

 

「Rapida106-8」の2胴目の上部に、コールドフォイル/ホログラム加工のためのユニットを搭載している

「Rapida106-8」の2胴目の上部に、コールドフォイル/ホログラム加工のためのユニットを搭載している

同社ではパッケージ印刷や特殊な仕事が多いことから、印刷する原反の厚さも一定ではない。これまで、厚さ0.095㍉~0.95㍉までのものを印刷してきたが、「Rapida106-8」では特徴的なグリッパーの構造によって、紙厚変更があっても一切の調整が不要な上、ジョブ替えに要する時間もまったく同じでこなすことができることも大きなメリットとなっている。

この「Rapida106-8」はUVランプを3灯備え、印刷内容にあわせてランプをデリバリー部およびどの印刷ユニット間にも移設できる仕様。さらに、インラインでコールドフォイルもしくはホログラム加工ができるグラフィックアーツ社製のシステムも搭載している。「このシステムのおかげで、透明原反にインラインで箔を打つ技術を確立できた。これまで箔加工は外注していたが、納期面でもコスト面でも大きなメリットとなっている。また、箔の微細な表現や箔の上に印刷・グラデーションを施すこともできるようになり、デザイン表現の可能性がグンと広がった。さらに、インラインでホログラム加工ができるシステムも追加した。これも透明原反に加工することができ、当社では“デコレア”という名称で売り出している。このような表現技巧を使った印刷物の製作は高価になるため、発注者も二の足を踏むことが多かった。それがインライン処理での内製化によってコストを圧縮でき、一般相場の2割減でも提供できるようになったので、当社にも顧客にもメリットが出ている」(大野会長)

 

現在「Rapida106-8」では、このような特殊加工の仕事のほか、最高速度毎時1万8000回転という高速生産性を活かしたロングランの仕事、さらには6胴目と8胴目の後ろに検査カメラを搭載していることから品質要求が高い仕事を積極的に回している。「“Rapida106-8”には丈夫さにも期待して導入した。まだ2年半しか経っていないので当然かもしれないが、機械的なトラブルは一切ない。仮にトラブルがあっても、24時間365日体制で通信回線を通したリモートメンテナンスが対応してくれるので、安心して使うことができる。菊倍判6色機の更新時期が訪れているので、従来機から“Rapida145”への入れ替えもしたいと考えており、そこでもほかにはないような特殊な印刷手法ができる技術を組み込んでいく」と大野会長は、KBA製印刷機をベースにしたさらなる可能性拡大を追求している。

 

日本印刷新聞 2015年8月24日付掲載【取材・文 小原安貴】

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