2017年02月28日

東京・東池袋副都心の産業見本市「第10回としまものづくりメッセ」(主催=としまものづくりメッセ実行委員会)が3月2日から4日までの3日間、サンシャインシティ展示ホールBで、多種多様な分野の98社・団体106小間の規模で開催される。豊島区最大の基幹産業である印刷関連産業を代表して、豊島区印刷関連産業団体協議会(亀井一司会長、豊島関連協)と東京都印刷工業組合豊島支部(前川光支部長、東印工組豊島支部)が今年も合同出展。会場内最大規模となる4小間を使用して、オンデマンド印刷を活用した、来場者の顔写真入り卓上カレンダー「とりとりカレンダー」2100セットを無料で提供するなど、最新の印刷技術を活かしたものづくりの可能性をアピールする。

開催に向けて準備が整った豊島関連協と東印工組豊島支部のメンバーに、開催へ向けた意気込みや地域産業の活性化へかける思いを語り合ってもらった。
 

(司会:日本印刷新聞社編集部)

 

昨年は「おさるカレンダー」を無料提供した

昨年は「おさるカレンダー」を無料提供した

 

地域経済活性化めざし始まる

 

――3月2日に開幕するとしまものづくりメッセへの意気込みを亀井会長と前川支部長にお聞きしたい。

 

亀井 高野之夫豊島区長の地域経済の活性化を図りたいとの強い意志のもとで始まった、としまものづくりメッセも今年で10回目を迎え、回を重ねるごとに来場者も増えて、昨年は3日間で延べ2万1千人を超える、豊島区最大のイベントとなっている。
われわれも、豊島区の基幹産業として、高野区長の熱意に応えて第1回から出展してきたが、今日まで続けることができたのも、豊島関連協と豊島支部の組合員、関連業者からの協賛金や人的支援、資機材の提供など、物心両面でご協力いただいたおかげであり、お礼申し上げたい。とくに、広研印刷、ウエマツ、デジタルリンクの3社には、毎回、企画立案から印刷物の製作、さらに会期中のブース運営に社員を派遣していただくなど、3社の協力がなければここまで続けられなかった。
 

亀井一司

亀井一司


 
前川(光) 広研印刷としては、前川会長の強い思い入れもあり、第1回からお手伝いさせていただき、私は6年前に豊島副支部長を拝命してから関わるようになった。
昨年5月に豊島支部長を拝命して、今回初めて出展者代表として臨むことになるので、ぜひ、前回の2万1千人を上回る来場者を集めたい。さらに昨年初めて用意したカレンダー2100セットをすべて配布することができたので、今年も配布し終わることを目指す。
 
前川光

前川光

 

よろこばれる印刷物を提供

 

――第1回から出展の企画・運営の中心的役割を担ってきた前川会長に、これまでの出展で印象に残っている出来事はありますか。
 
前川会長 私は常に役立つもの、もらって喜んでもらえるもの、愛着がありすぐに捨てられない印刷物にこだわってきた。来場者の前でものづくりを実演するので時間的な制約もあり、来場者の動線を考慮したブースレイアウトなど試行錯誤してきた。始まる前は不安だったが、毎回多くの方がブースに足を運び、ご好評をいただき、自信をつけていった。
当ブースでは、毎回、来場者をその場で撮影して、顔写真入りの印刷物を提供している。人は写真を撮られるときには一番いい表情になる。ある時、地方から来た70代後半の兄弟がブースに立ち寄ったので撮影を勧めると、生まれて一度も一緒に写真を撮ったことがないので頑なに拒んだので「思い出に撮りましょう」と半ば強引に誘って撮影した。
2人とも緊張して表情がこわばっていたが、3分後に2人の顔写真入りの印刷物が出来上がり、2セット差し上げると、嬉しさで表情が一変してまるで子供のように喜び、「一生の宝物にしたい」と言ってくれた。
また、数年前に地味な柄の着物を着た女性を撮影したところ、写真の出来が気に入らず、スーツに着替えて、もう一度撮影してほしいと頼まれてびっくりした。
小さな子供2人を連れてきた母親が顔写真入りの印刷物をみて感動する姿など、これまでにそういう場面を何度となく見てきた。
世界にたった一つの顔写真入りの印刷物がこんなにも人に感動や喜びをもたらすものであることを再認識した。それ以来、写真だけは欠かさない。ものづくりメッセは毎年3月に開催されるので、カレンダーは4月から1年間使用できるように配慮している。
 

前川槻二

前川槻二


 
亀井 結婚以来、40年近く一緒に写真を撮ったことがないという夫婦が3年前にわれわれのブースで初めて顔写真入りカレンダーを作って感動し、それから毎年楽しみに来てくれる。われわれのブースが一番いいと言ってくれ、われわれもやりがいを感じている。
最初の頃は、撮影から印刷物ができるまで1セット5分以上かかり、社会科見学でくる小学生約600人分の印刷物は後日渡していたが、今では1セット1分で完成しその場で渡せるようになった。
今回も地元の小学生600人が社会科見学で来場する予定で、生徒はもちろん、先生たちも非常に楽しみにしているという。
 
前川(光) いま小学校ではものづくり体験の授業があり、当社の早稲田工場でも定期的に地元小学校の社会科見学に協力している。
 
前川会長 9回やって分かったことは、呼び込みをしないと入らないということ。毎回、無料配布しているが来場者は無料だとは思わずに素通りしてしまうので、私と亀井会長が案内係として声掛けをしている。モノの売り買いと同じで、宣伝が大事である。
 
前川(光) 私が本格的に関わるようになったのが第7回から。それまでポスターカレンダーやエコタンブラーなどいろいろ顔写真入りの印刷物を企画して無料提供してきたが、その中でも卓上カレンダーの評判が非常によく、豊島区からの要望で第7回からメイン企画として卓上カレンダーを提供するようになった。
そのため、新たにサブ企画を必ずやるようになり、毎回悩まされている。その時のトレンドを反映させることを基本としており、これまでに電子書籍や3Dプリンタなどを展示してきた。第7回で魔女のレンチキュラーポスターを展示した時の子供たちの反響がすごかった。ポスターなので平面だが、横から角度を変えてみると立体的に見えるので、子どもたちが楽しんでいる姿を見てやってよかったと思った。高野区長も大変興味を持たれていたので、2年後に豊島区の新庁舎が竣工した際、新庁舎を絵柄にしたB0サイズのレンチキュラーポスターを高野区長に贈呈した。
 
――毎回企画を考えるのは大変だと思う。
 
前川(光) 当社のグループ会社にクリエイティブ専門会社があったことから、当社が企画をプレゼンするようになったと思う。
ここ3年は豊島区の要望で卓上カレンダーをメイン企画にしているが、第1回のポスターカレンダー以降、オリジナルノート、エコタンブラー、壁掛けカレンダー、卓上カレンダーまで、同じものは絶対にやらないのがポリシーだった。
 
――実際にデザインを担当してきた河野氏はどうですか。
 
河野 私は前任者のもとで、第3回のエコタンブラーから携わってきた。苦労というよりも、作り手として、自分が作ったものに対し、お客様がどんな反応をするのか非常に楽しみ。来場者の年齢層も幅広いので、通常業務の参考にもなっている。
10年前からカラーデジタル印刷機を使用していますが3日間で2100枚ということで、1日平均700枚もカラー出力し続けるので、メーカーのエンジニアの方もブースに待機してサポートしてくれるが、結構トラブルが発生した。ただ、一昨年あたりからは技術の進化により印刷スピードも速くなりトラブルもなくなり、ここ数年はすべて印刷物を配布し終わるようになった。
 
河野修平

河野修平

 

エンドユーザーに業界活動伝える

 

――10年間にわたって出展してきた成果は。
 
前川(光) 支部活動というと、これまで支部員同士の懇親や、本部事業への参加が中心だったが、豊島支部にとっては、としまものづくりメッセがあることによって、組合本部やエンドユーザーに対して、業界活動を知ってもらえるという意味では非常に大きなイベントであり、イベントを通していい経験をさせてもらっている。ただ、残念なのは、支部員や支部員企業の社員の来場が少ないこと。豊島区のものづくり産業ということでこじんまりとしたイベントだと思われがちだが、実際に来てみると、2万人以上も集客のある大イベントなのを知って驚かれる。そういう意味では豊島支部からの情報発信力が不足しているのかもしれない。実際にブースを見てもらえば、われわれがどれだけ本気で取り組んでいるのかが分かる。
 
亀井 としまものづくりメッセには約100社・団体以上が出展しているが、4小間分の大きなブースを構えているのはわれわれだけである。ぜひ、1度は会場に足を運んでいただき、一緒にイベントを盛り上げて、楽しんでもらいたい。そして、豊島区の製造業の中心的役割を担っている豊島関連協と豊島支部の一員であることを誇りに思ってほしい。

 

メイン企画は卓上型「とりとりカレンダー」

 

――今回の出展内容は。

 

河野 豊島区の方からすでに卓上カレンダーにしてほしいとの要望があったので、メイン企画は2017年の干支である酉(とり)をかたどった卓上型「とりとりカレンダー」とした。コンセプトは「顔写真入り・老若男女・年間を通して活用できる商品」。干支にしているのは幅広い年齢層の方が来場されるので、誰にでもわかりやすい干支の酉をモチーフにした。オンデマンド印刷を活用して、ブース内で撮影した顔写真がたまご型に切り抜いた部分にはめ込まれる。とりの絵柄は、にわとりのほかに、あひるやカモなど、月ごとに変わるので、楽しめるように工夫した。

 

とりとりカレンダー

とりとりカレンダー

 

亀井 顔写真入り卓上カレンダーは、昨年1月に開催した豊島支部の創立60周年記念式典の記念品として当日出席者約120人に会場で作成してお土産品として贈呈したところ、出席された役員や支部長たちから「さすが豊島支部だ。こんなことは思いつかない」とお褒めの言葉をいただいた。
 
前川会長 私はイベントをやるときは常に1回目の時の気持ちで取り組むように言い聞かせている。初めての時はいいものを作ろうと新鮮な気持ちで臨むが、2回、3回と慣れてくると惰性になる。それだけはやめようと言っている。弊社の7人いるデザイナーが毎回、本気でデザインしているので、ここ数年、卓上カレンダーが続いているが、常に改良されている。

 

「アニマルインタラクティブ」を紹介

 
――サブ企画については。

 

河野 メイン企画でカレンダーというアナログの印刷文化に対し、サブ企画ではものづくりにおける最新デジタル技術として「アニマルインタラクティブ」を紹介する。これは最新の映像演出で、壁面に次々と現れる動物と追いかけっこする体感アトラクションで、プロジェクターを用いて壁面や床面に投影し、よりアトラクティブな空間を演出するもの。カメラセンサーで読み取った人の動きの情報をパソコン上で認識し、その情報によって映像が変化するプログラムによって、変化した映像をプロジェクターで投影することで、あたかも人の動きで映像の模様が動いているかのような錯覚をさせるシステムである。印刷会社でもデジタルメディアを扱えることをアピールしたい。
 
前川(光) 今話題のプロジェクションマッピングやARなども企画の候補に上がったが、展示ブース内で再現するにはスペースなどの制限があり今回は見送った。アニマルインタラクティブも今までにない企画なので、来場者、とくに子供たちの反応が今から楽しみだ。

 

 

【出席者】

▽亀井一司氏
豊島区印刷関連産業団体協議会会長
㈱亀井印刷社長
▽前川光氏
東京都印刷工業組合豊島支部長
広研印刷㈱社長
▽前川槻二氏
東京都印刷工業組合豊島支部顧問
広研印刷㈱会長
▽河野修平氏
㈱クリエイティブセンター広研
クリエイティブディレクター部長

 

 

出展は98社・団体106小間 ビジネスパーソン向け講演・セミナーも充実

 
としまものづくりメッセは、基幹産業である印刷業をはじめ、精密機器、金属製品の製造業などから独自技術を持つ区内を中心とした企業が、それぞれ優れた製品や高い技術を一堂に展示する池袋副都心の産業見本市。ビジネスマッチングや販路拡大など区内産業のさらなる発展支援による地域活性化が目的で、10年目となる今回は98社・団体106小間の展示規模で開催される。
印刷関連産業からは豊島区印刷関連産業団体協議会、東京都印刷工業組合豊島支部、宝印刷㈱、㈱セイコーアドバンスなどが出展。技術や製品紹介を通じて、会場を盛り上げるとともに地域の一助となる。
会期中は出展者による展示以外にも、ビジネスパーソンに向けた特別講演・セミナー、ものづくり体験教室も開かれる。各分野の第一線で活躍する著名な講師の話をいずれも事前予約不要、かつ無料で聞ける貴重な機会となっている。さらに、今回はメッセ10周年特別企画として豊島区の重要文化財の国選定保存技術「金唐紙の制作体験」(有料)や、重要文化財展示コーナーを設置する。
当日は区内の小学校による集団見学をはじめ、さまざまな層の来場者が足を運び、昨年は過去最高の2万1101人が来場した。

 

 

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