2016年12月28日

不透明感の漂う経済情勢下、2016年も残すところ、あとわずかとなった。ことしは日本印刷産業連合会はじめ、多くの団体でトップの交代があった。またドイツで開かれた「drupa」ではデジタルを中心とした印刷ソリューションが紹介された。一方、熊本地震・台風など自然災害の怖さを実感する年でもあった。印刷業界関連のトピックスを振り返ってみた。

 

日印産連はじめ団体トップ交代

 
日本印刷産業連合会は6月開催の第31回定時総会で稲木歳明会長に替わって山田雅義氏(大日本印刷代表取締役副社長)を9代目会長に選任した。また日印産連傘下10団体のうち、今年4団体でトップ交代が行われた。日本フォーム印刷工業連合会は櫻井醜氏から小谷達雄氏、全日本印刷工業組合連合会は島村博之氏から臼田真人氏、日本グラフィックサービス工業会は吉岡新氏から中村耀氏、全日本光沢化工紙協同組合連合会は小原隆氏から鶴田和也氏へバトンタッチした。
日印産連は昨年設立30周年を機にこれからの印刷産業が社会に果たすべき役割と責任、その向上を目指すためのグランドデザインを策定、山田新会長は今年度を「グランドデザイン深耕年」と位置付け、グランドデザインの推進と山積する課題解決に取り組むとともに、会員10団体との連携を図り、さらなる業界の発展を目指す考えを示した。

 

drupaで最新技術が勢ぞろい

 

印刷とクロスメディアソリューションを示す世界最大の国際総合印刷機材展「drupa2016」が5月31日から6月10日まで、ドイツ・デュッセルドルフの見本市会場メッセデュッセルドルフで開催された。
会場内で存在感を示すとともに大きな注目を集めていたのはデジタル印刷機。デジタル印刷機は枚葉・輪転タイプを問わず多数出展され、前回の開催から4年の歳月が経ち、生産性や対応力がさらに向上していることを示した。また、パッケージ印刷においても、従来のシール・ラベル等に加え、軟包装フィルム印刷用デジタル印刷機が出展されるなど、トレンドを反映している。
次回開催は2020年6月23日~7月3日の11日間に決定。drupa2016会期中に開催周期を3年から4年へ戻すことが発表された。

 

高まりを見せる社会の環境要請

 
印刷製品やその製造プロセスに対する社会からの環境配慮要請は、国や自治体のガイドラインにも反映されているとおり、より強いものになっている。その社会要請に対して、日印産連をはじめとした各団体でもさまざまな施策を講じている。
日印産連では引き続き、グリーンプリンティングマーク(GPマーク)の推進を図るとともに、認知度の向上を狙いに、今年度は新たにグリーンプリンティングPR大使を創設し、初代PR大使に小山薫堂氏が就任した。全印工連ではGPマークの前段階として取り組むことが出来る「環境推進工場登録制度」を策定している。
また、全国グラビア協組では労働安全衛生や化学物質に対する情報をホームページや機関誌、「コンバーティングの明日を考える会」などの場を設けることで積極的に情報共有を図っている。

 

解散相次ぐなか2つの年金発足

 
一昨年施行された厚生年金基本見直し法を受けて基金の解散が相次ぐ中、今年4月1日付で発足したのが「印刷工業企業年金基金」(山岡景仁理事長)と、「みらい企業年金基金」(新井正敏理事長)。
「印刷工業企業年金基金」は印刷関連の厚生年金基金の受け皿制度として、また「みらい企業年金基金」は前身の関東五県印刷工業厚生年金基金のうちの、加算部分に特化した新たな総合型確定給付企業年金としてスタートしている。

 

女性活躍推進法が4月から施行

 
女性活躍推進法が今年4月1日から施行された。労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが義務づけられた。最大のポイントは情報公表が義務付けられていること。就職活動中の学生や求職者が就職先を選ぶ際の参考になるよう自社ホームページや厚労省ウエブサイトに公表しなければならない。日印産連は4月に第1回女性活躍推進セミナーを開き、啓発活動に努めている。300人以下の企業は努力義務だが、採用やブランド戦略にも影響が出るため企業規模にかかわらず対応が不可欠だ。

 

都最低制限価格制度本格導入へ

 
東京都は最低制限価格制度の本格導入に向けて、5月31日に東京都財務局で最低制限価格制度を適用した入札案件が初めて施行された。
都は平成18年に物品購入から請負契約に移行したが、業界団体は印刷料金下落への下支えとなる、最低制限価格制度の導入を要望していた。
試行案件は平成28年度東京都基準地価格の印刷で5月31日に公表後、16社指名中12社が応札、6月21日に開札した。結果は予定価格54万8640円に対し、落札金額は48万6000円で落札率は88・58%だった。都は本年度中に財務局案件で2件程度準備中。

 

業界で初となるSR報告書発行

 

日本印刷産業連合会は昨年、設立30周年を迎え、従来の活動や組織、予算などを抜本的に見直し、役割や活動テーマを再構築する「グランドデザイン」のもと、業界団体として初めて『社会責任報告書(SRレポート2016)』(A4・32ページ)を発行した。同書は協賛企業および国公立図書館、学校就職課など2500カ所へ配布された。
内容としては、印刷産業界として2015年度に取り組んだ活動を取りまとめたもので、次年度以降も継続して発行していく予定となっている。

 

出版市場が過去最大の落ち込み

 

出版科学研究所によると、2015年の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比5・3%減(845億円減)の1兆5220億円となった。減少は11年連続だが、昨年の4・5%減を上回り、過去最大の落ち込みとなる。
一方で、15年の紙市場と電子市場を合算した市場は、1兆6722億円(紙1兆5220億円+電子1502億円)で前年比2・8%減となり、マイナス幅を抑えている結果になった。とくに電子市場はコミックの伸張が大きく、その背景には各電子書店における無料試し読み施策、集英社の「少年ジャンプ+」、講談社の「マガジンpocket」といった電子コミックを楽しめるスマートフォン対応アプリなどの存在も大きい。

 

10年後の姿描く「2025計画」

 
印刷産業の10年後の姿を描き出し、注目を集めた“2025計画”。全日本印刷工業組合連合会・産業戦略デザイン室が、産業成長戦略提言書『全印工連2025計画 新しい印刷産業へのリ・デザイン』としてまとめた。「環境」「地方創生」「女性活躍」「ダイバーシティ」「CSR」の5分野のそれぞれの目標と実行に向けた行動計画を示した。紙の印刷という枠にとらわれず、人から人へ情報を伝える「INSATSU」の担い手であることを、広く社会にもアピール。

 

※「日本印刷新聞」から

 

 

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