2016年12月24日

凸版印刷は、間伐材による水資源の保護効果をモデル化し、東京都市大学 伊坪徳宏教授の監修のもと算出手法を確立した。これにより、間伐材を使用した製品における、原材料調達から生産、流通、使用、廃棄・リサイクルまでライフサイクル全体で消費する水の量(ウォーターフットプリント)の算出が可能となる。

 

なお算出手法の活用第一弾として、間伐材を含む国産材を30%以上使用している、凸版印刷の紙製飲料容器「カートカン」で水資源の保護効果を評価した。今回、間伐材使用による森林保護効果として、水の蒸発散の抑制と地下水を養う(かん養)面から算出、カートカン1本あたりで水資源0.78リットルの保護効果があることが明らかになった。

 

東京都市大学・伊坪教授の話 「間伐材を使った『カートカン』は、国内の間伐材の有効利用を拡大し、森林の間伐を促進することで、水を育む森林を育てることに繋がる製品。これは、生物資源の有効活用と水資源循環を両立する新たな仕組みを普及されるものと期待される。資源循環が注目される昨今、特に環境への貢献度が高い製品と考えている」

 

凸版印刷は、この算出手法を活用した評価サービスの開発を進め、間伐材を使用した様々な製品のウォーターフットプリントを含む環境影響評価を行うソリューションを提供する予定。また、顧客企業が所有する企業の森の間伐材を活用した製品の開発も、顧客企業とともに推進していく。

 

今後も凸版印刷は、LCA評価支援サービスを通じて環境情報を広く伝えることで、顧客企業とともに生活者の環境負荷低減活動の一助となるよう努めていく。
 
世界経済フォーラムが発行しているグローバルリスク報告書では、水リスクが深刻化していることが指摘されている。また国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、「安全な水へのアクセスと持続可能な管理の確保」があげられている。さらに国際的NPOであるCDPでは、企業の水関連の情報開示(CDPウォーター)が求められている。
 
このような中で、持続可能な水資源の利用はグローバルにサプライチェーンを持つ企業にとって重要な課題となっている。ウォーターフットプリントとは、製品の原材料調達から生産、流通、使用、廃棄・リサイクルにいたるまでのライフサイクル全体を通して消費される水の量を算出し、水資源への負荷を定量化する指標。国際標準化機構(ISO)により規格化され、注目度の高まる環境指標の一つ。
 
凸版印刷では水を限りある資源と考え、持続可能な水利用を検討するため、製品の水消費量を算出し、製品の利用が水資源へ与える負荷を低減する取り組みを進めてきた。
 
今回、凸版印刷は間伐材が持つ水資源の保護効果に着目、森林と木材を対象としたウォーターフットプリントと長伐期施業(※4)の体系モデルを組合せ、間伐材のウォーターフットプリントをモデル化、その算出手法を確立した。本モデルを使用し、間伐した場合と間伐しなかった場合の森における水資源の減少量を比較することで、保護効果を算出した。
 
間伐や主伐により伐採された木材のうち、未利用のまま林地に残置されている間伐材や枝条などは、年間約2,000万立方メートル発生していると推定されている(林野庁ホームページより)。凸版印刷は、間伐材の水資源の保護効果を明らかにすることで、間伐材の利用を促進し、地球環境保護につなげていく。

 
 

○紙製飲料容器「カートカン」 常温流通と長期保存が可能な紙製の複合容器。原料となる紙に間伐材を含む国産材を30%以上使用しており、「間伐材マーク」を取得している。間伐材を使用することで、「植える→育てる→収穫する」という、健全な森林の育成に重要な循環が促進される。カートカンは間伐材を含む国産材を活用することで、CO2吸収効率の高い健全な森林を育成、地球温暖化防止に貢献していく。さらに、カートカンは、売り上げの一部が「緑の募金」に寄付されており、その普及が日本の森林づくりにつながっている。積極的な環境活動を推進する飲料メーカー、食品メーカーなどで採用が拡大している。
 
○LCA(Life Cycle Assessment) 製品やサービスの原材料の資源の採取から生産・使用・リサイクル・廃棄などライフサイクル全体にわたって、投入する資源や排出する環境負荷を定量的に評価する仕組み。

 

○持続可能な開発目標(SDGs) 2015年9月に国連本部で開催された「国際持続可能な開発サミット」にて採択された国際社会共通の目標。国連に加盟するすべての国は、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標を達成すべく力を尽くす。

 

○CDPウォーター 企業や都市に対して水に対する事業戦略・リスクや具体的な取・排水量に関する情報公開を求めるプロジェクト。企業に対して質問表を送付し、スコアリングを行っている。日本企業で対象となったのは150社(グローバル1252社)。

 

○長伐期施業 一般的な人工林では伐採される林齢は40~50年くらいなのに対し、80~100年まで引き伸ばし、経済価値の高い木材を得ることができる森林経営。
 
 

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