2016年12月12日

約80人が参加したモリサワ会秋期研修会

約80人が参加したモリサワ会秋期研修会

モリサワ会(浅野健会長、会員142社)は11月30日午後3時から、東京・飯田橋のホテルグランドパレスで「世間を賑わせた印刷メディア」をテーマに秋期研修会を開き、印刷博物館学芸員の中西保仁氏から「バイタリティに溢れ、知恵者で、センスがいい」明治の先人たちの事跡を聴いた。約80人が参加した。会場前方にはモリサワが新しく購入した「百萬塔陀羅尼」が展示された。

 

浅野健会長

浅野健会長

 

浅野会長は「今日は印刷がいかに人類に貢献したかという話をうかがう。①ことばを使い始めたこと②ことばから文字を生み出したこと③グーテンベルグが工業的な印刷手法を発明したこと。この3つがコミュニケーションの3大革命と呼ばれている。革命の結果、人類が地球上でもっとも高度に進化した生物になれたのではないかと思っている。20世紀の高度に発展した文明は印刷物によってもたらされたといっても過言ではない。いま新たなメディアとの共存の時代を迎えている。作られた年代が明確な世界でもっとも古い印刷物、百萬塔陀羅尼経と百萬塔を会場前方に展示してある。法隆寺発行の領収証がついている価値のあるものだ。今日は志高くして、誇り高く、印刷という産業がいかに素晴らしいものであったか。これからも人類のコミュニケーションが進化にいかに大切かということを改めて勉強したい」とあいさつした。

 

中西保仁氏講師

中西保仁講師

講演では中西氏が①1枚の古写真から②あるイタリア人が描いた虚像(西郷隆盛像)③三浦しをん『舟を編む』を読む④日本最古級の鉄道時刻表(「鉄道列車出発時刻及賃金表」他)⑤ポップアートで商売繁盛(引札)⑥パニック!カレンダー騒動(福澤諭吉『改暦弁』などの事項を取り上げ、印刷メディアと歴史との関わりを明らかにし、とくに日本人の時間感覚の醸成に印刷メディアが大きな役割を果たしてきたことを示した。

 

比較文化研究家・安土堂書店社長の八木正自氏

比較文化研究家・安土堂書店社長の八木正自氏(左)が百萬塔陀羅尼について説明した

 

「百萬塔」については、比較文化研究家・安土堂書店社長の八木正自氏が「先週、日本の古典籍のオークションでモリサワさんが落札した」と前置きし、詳細を説明した。モリサワとしては2基目の保有となる百萬塔は、寺門維持基金35円の御布施に対して贈呈するとの明治41年8月3日付の法隆寺の「證」が添えられている貴重なもの。

 

 

懇親会で塚田司郎副会長は「師走は1年間を振り返って来年どうしようか考える時期でもある。今年はいろいろなことがありすぎた。波乱の幕開けの中国問題、新興国経済の不振、熊本の地震、drupaの次には英国のEU離脱、そのたびに株価が上下し、最後にはまさかのトランプ大統領。こんなすごい年はしらない。ある都銀の役員の方にマイナス金利について聞いたところ、この状況が5年間は続く前提でビジネスを考えているとのことだった。世界経営者会議というフォーラムの席で、ハバード・ビジネス・スクールの竹内弘高教授は、今年はありえないことが起こった。かつてドラッカー教授は『未来は予測できない』といったが、それが現実になった。どのようにありたいのかではなく、自らがどういう未来を作りたいのかを掲げる企業が、これからのボランティリティの高い時代には繁栄するのではないかと話していた。そんなことを参考にしながら今後を考えたい」とあいさつした。

 

森澤彰彦社長

森澤彰彦社長

モリサワを代表して森澤彰彦社長は「カレンダーの起源は引札にあることを聴き、印刷文化が面白い歴史をたどってきたこと、先人たちの努力の結果、いまの印刷業界があることを痛感した。八木先生にご紹介いただいた百萬塔陀羅尼は、すでに1基持っているが、印刷された年代の確認できる世界最古の印刷物ということもあり購入した。激動の1年だったが、自助努力で自衛していくしかない。新しい収益源、ビジネスを築いていくしかない。忙しさに流されることなく常に新しいものを追求していく姿勢を引き継いでいきたい」とあいさつした。

 

 

乾杯の発声で東京ニュース・田村壽孝社長は「講演に話の出てきた『舟を編む』は本も読んだし、映画も観た。今年の春には、黒木華主演の『重版出来!』というドラマが放送された。いまは、石原さとみ主演の『校閲ガール』というドラマが放送されている。印刷に係る業界が注目されるということは、紙のメディアは捨てたものではないということだと信じたい」と力強く述べた。

 

 

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