2016年10月15日

たいていのオフセット印刷会社は大部数の仕事の受注を望む。安井印刷㈱(本社・東京都江東区清澄3の10の6、安井久治社長)でも以前はそうだったが、今は少部数の仕事を数多くこなすことで収益性を高めている。同社の体質を劇的に変えたのが、今年1月に導入した㈱リコー製のカラープロダクションプリンター「RICOH Pro C7100S」だ。迅速に高速で安定した連続印刷ができ、かつ印刷直後に次工程へとすぐに回せることから仕事の手離れが良くなった上、少部数の仕事の利益率も高まった。さらに、5色目としてホワイトトナー/クリアトナーが使えるという「RICOH Pro C7100S」の特徴を活かし、少部数印刷における付加価値提案も展開している。

 

同社は約50年前に創業した、カタログや取扱説明書、チラシ、封筒などを主品目とする印刷会社。印刷機の構成は、菊四裁2色機、A3判1/1色機、A3判単色機に加え、カラーPOD機1台というラインナップ。単色および特色の仕事が多く、4色印刷の仕事は2色機で2回通しをするか協力会社への外注をしていた。そのカラーPOD機と入れ替えで導入したのが「RICOH Pro C7100S」だ。

 

安井社長

安井社長

これまで使っていたカラーPOD機は6年前に導入したもの。工場設備の中で一定の役割を果たしていてそれなりの満足感があったので、今回の更新にあたってもその後継機種にする予定だった。ところが、「機械更新にあたり、導入する気はなかったが、リコーのショールームにも行ってみた。この前にPOD機を導入した6年前から現在までの品質や技術の向上を知らなかったので、実際に見た機械の完成度や印刷品質の高さにとても驚いた。その印刷品質はプリンターの延長線上にあるようなものではなく、限りなくオフセット印刷に近くて、小さな文字もシャープに再現される」(安井社長)ということから、比較・研究を再度行うことにした。

同社が「RICOH Pro C7100S」の導入に踏み切った大きな理由は主に3つ。POD機特有のテカりがなくオフセット印刷に近い印刷品質であることに加え、紙種・紙厚の細かな設定ができるのでどのようなアプリケーションでも用紙搬送・印刷がスムーズな点、そしてホワイトトナーとクリアトナーによって付加価値がある印刷物を提供できる点に着目した。

 

滝沢氏

滝沢氏

「RICOH Pro C7100S」を導入してすぐに、多品種・大部数の封筒の名入れ印刷の仕事で、その能力と効果を改めて認識した。「用紙の厚さ、トナー定着の温度、用紙に応じた印刷速度をはじめ、用紙に関する設定がオフセット印刷機のように細かくでき、その結果としてとても良い製品となる。最高印刷速度はA4横で毎分80枚なので特別速いわけではないが、用紙搬送が安定しているので機械が止まらずに何時間も連続運転ができ、生産性がとても高い。また、これまでのPOD機は部位によって厚みが違う封筒への印刷を苦手としていたが、“RICOH Pro C7100S”ではまったくシワが出ない。これまではシワが入るので、その仕事自体を断ることもあった。1度断ってしまうとその仕事がふたたび来ることはないので、これでビジネスチャンスを逃す心配もなくなった」と制作/オペレーターの滝沢智氏は評価する。

 

RICOH Pro C7100S

RICOH Pro C7100S

「RICOH Pro C7100S」は、同社の印刷物の付加価値創出にも一役買っている。安井社長は、「ホワイトトナーを活用した濃色の紙への印刷が好評を得ている。以前は、ロットが小さくてもオフセット印刷で対応せざるを得ず、さらに白インキへの交換の手間もかかっていた。“RICOH Pro C7100S”のホワイトトナーは、オフセット印刷の白インキを2~3度刷りしたくらいの濃度があるので見栄えも良く、文字部分も通常のブラック印字と同様のシャープさがある」と語る。実際には、まだホワイトトナーやクリアトナーを使う仕事の数はそれほど多くはないものの、市場の需要やデザインの流行が変わってホワイトやクリアを活用したデザインが増大した時、以前の封筒印刷のように仕事を断ることがないよう、受注の間口拡大に向けたサンプル製作を進めている。また、700㍉までの長尺印刷ができることから、これまでは外注の菊半裁オフセット印刷機で印刷していたA4横のくるみ表紙の内製化もしている。

 

現在、同社では「RICOH Pro C7100S」とオフセット印刷機で仕事を振り分ける分岐点を2000枚としている。刷版製作が不要、印刷後すぐに次工程に回せることによる短納期対応、使い勝手の良さ、といった目に見えない部分のコストダウン効果もあるので、仕事を振り分ける分岐点を高めに設定している。「売上はオフセット印刷の方が大きいが、利益率は“RICOH Pro C7100S”の方がかなり高い。気軽に追加発注が頼める価格設定にして少部数納品を提案すると、顧客も気持ち良く発注してくれ、かつ当社も利益が見込める。さらに、これまでのカラーPOD機と比べてカウンター料金が安くなり、しかも2色印刷でもモノクロ印刷と同じカウンター料金なので、オフセット印刷の仕事よりも積極的にこちらの営業をしている。今後は商業印刷物だけにとどまらず、ナンバリングや宛名印刷、ビンゴカードの制作といった可変印刷にも活用していきたい」(安井社長)

 

日本印刷新聞 2015年6月1日付掲載【取材・文 小原安貴】

 

 

 

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