2016年10月12日

下中直人

下中直人副理事長

第50回造本装幀コンクール(主催=日本書籍出版協会/日本印刷産業連合会)の表彰式が、東京国際ブックフェア会期中の9月24日午後4時30分から、東京・有明の東京ビッグサイト会議棟7階「701・702会議室」で開かれ、応募総数332点の中から選ばれた文部科学大臣賞、経済産業大臣賞、東京都知事賞の3賞をはじめとする22点の受賞作品を表彰した。

 
主催者代表あいさつで、日本書籍出版協会の下中直人副理事長が次のように述べた。

 
「さきほど、展示会場で皆さんの作品を拝見したが、大変素晴らしい作品ばかりで感銘を受けた。造本装幀コンクールは今回で50回を迎える。かつては豪華本が多数出品されていた時代もあったようだが、最近では限られた予算や条件の中で出版社、印刷会社、製本会社、デザイナーの皆さんが知恵を絞り、魅力ある本づくりに取り組んでいる成果が現れている作品が数多く出品されているように見受けられた。
今年の東京国際ブックフェアは、読書推進をテーマにして多くの方に本を手に取ってもらうためのフェアを目指している。人と人との出会いが顔と顔を合わせることから始まるように、人と本の出会いも実際に書店などで本を手に取り、その手触りや重さや臭いを感じるところから始まってもらいたいと思っている。造本装幀コンクールがこれからも生身の本と人との出会いを育むきっかけになってくれることを強く願っている。
私見だが、デジタルネットワークの時代が進んでバーチャルリアリティが進めば進むほど、美しく印刷され、製本された本の値打ちが高まってくるのではないかと思っている」

 

コデックス仕立てが流行

 
審査総評では、柏木博審査員長(武蔵野美術大学教授)が入賞作品の受賞理由を説明しながら「重厚な豪華本の応募がこれまでよりも少なくなり寂しい。昨年あたりから作品の傾向としてヴィジュアル本が中心になってしまい、今回も3賞のうち2作品がヴィジュアル本であった。審査員奨励賞もすべてヴィジュアル本だった。造本の傾向としては数年前から背表紙をつけないコデックス仕立てのものが流行している。来年は文字を中心とした素敵な文学の本がもっと出てきてほしい」と述べた。

 
賞状授与に移り、受賞者に賞状と記念盾が贈られた。これに対し、受賞者を代表して文部科学大臣賞の中村水絵氏(HeHe)、経済産業大臣賞の堀部直人氏(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、東京都知事賞の浦上満氏(春画展日本開催実行委員会)と高岡一弥氏(DK)が謝辞を述べた。
表彰式終了後、午後6時から同会場で記念パーティーが開かれた。

 

組版ルールから外れた書籍の増加を懸念

 

なお、表彰式に先立ち、午後1時30分から、同会場で「造本装幀コンクール50周年記念トークショーinTIBF」が開かれた。
トークショーの前半では柏木博審査員長が造本装幀についてわかりやすく解説したのち、今年の受賞作品はどこが評価されたのか、審査員は本のどこを見ているのかなどを説明した。
後半から現審査員の装幀家・デザイナーのミルキィ・イソベ氏と緒方修一氏も登壇し、例年クローズで行われている審査会を疑似審査会として、上位3賞を決定するまでの議論を再現した。
その中で柏木氏は造本装幀のデザインが多様化する一方で、文字組版の基本的なルールが守られていない書籍が増えているなどタイポグラフィのスキルの低下を指摘し、スキルの向上を業界全体の課題に挙げた。

 
上位3賞
■文部科学大臣賞
①作品名=On the Beach 1/2 ヨーガン レール②出版社名=HeHe/ヒヒ③装幀者名=松浦秀昭④印刷会社名=大洋印刷⑤製本会社名=大洋印刷
■経済産業大臣賞
①サイエンスペディア1000②㈱ディスカヴァー・トゥエンティワン③辻中浩一④共同印刷⑤共同印刷
■東京都知事賞
①SHUNGA②春画展日本開催実行委員会・永青文庫③高岡一弥④凸版印刷⑤若林製本工場

 

 

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