2016年08月02日

藤森康彰

藤森康彰社長

共同印刷㈱は7月21日、東京・文京区の小石川本社で2016年度業界紙記者懇談会を開き、第136期(2015年4月1日~2016年3月31日)の業績概況はじめ、経営課題と展望、情報系事業における新製品・新サービスなどについて説明した。第136期は、連結売上高950億9700万円(前期比2・8%増)、営業利益26億2500万円(同48・2%増)、経常利益34億8200万円(同38・4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益22億1200万円(同56・2%増)と売上高・利益とも前年同期を上回った。
今期は情報系事業における競争力の再構築と、生活・産業資材系事業における競争力の強化を推進して前期を上回る売上高980億円を目標に掲げている。

 

藤森社長は今後について「来年創立120周年を迎える。当グループの企業理念である『印刷事業を核に、生活・文化・情報産業として社会に貢献する』のもと持続的に成長し、評価され信頼される企業グループを目指していく」と述べた。

 

懇談会には藤森康彰代表取締役社長、井戸一喜取締役常務執行役員、安藤誠一郎トータルソリューションオフィス(TSO)室長、杉山毅CSR本部コーポレートコミュニケーション部部長らが出席し、杉山部長と田部井真紀同部課長の司会で進められた。

 

はじめに、映像を使って第136期の事業報告を説明したのち、藤森社長が経営の課題と展望について次の通り説明した。

 

強みを活かし事業領域拡大

 

印刷業界においては、紙媒体の構造的な需要減少に加え、競争激化に伴う受注価格の下落など不安定な状況が続いている。こうした中、当グループは中期経営方針『強みを活かし事業領域を拡大して利益を創出する』のもと、一丸となって業績の向上に取り組んでいる。各分野に共通する利益向上に向けた施策としては、設備の更新や再配置などによる生産効率向上、採算管理の強化、外注加工費などのコスト削減を実施した。また、事業提携やM&Aなどにも取り組み、一昨年末以来、いくつかの成果を発表するに至った。

 

今年4月にはグループの総合力強化を目的に組織改正を行った。まず、出版情報事業本部とプロモーションメディア事業本部を再編し、『情報コミュニケーション事業本部』とした。これにより、当社の営業製造部門は情報コミュニケーション事業本部、情報セキュリティ事業本部、L&I事業本部の3事業本部体制となった。

 

管理部門にも本部制を導入し、CSR本部に法務部、人事部、資材部を編入した。こうした基盤整備により、課題に対して迅速に対処し、成長のステージへと進んでいく体制が整えられたと考えている。

 

また、企業価値および株主共同の利益を持続的に向上させるためコーポレートガバナンスの充実にも取り組んだ。その一環として執行役員制度を導入し、6月末の株主総会において定款の一部を変更し、取締役の人数を18人から12人以内とした。経営環境の変化に対応し、意思決定の迅速化と業務執行の効率化、執行責任の明確化を図っていく。本制度の導入により、取締役会を構成する取締役の人数が14人から9人に減員となった。より機動的、かつ実効性を高めた取締役会を運営していく所存である。また、社外取締役は2人選任され、前年度から1人増となった。

 

競争力の再構築・強化すすめる

 

次に当グループの経営戦略について説明する。当グループの事業分野は情報系事業と生活・産業資材系事業の2つである。両事業とも紙媒体の印刷需要が縮小する中、成長分野の事業領域拡大を推進し、既存分野に対しても生産の効率化と採算を重視した事業活動による利益確保に努めている。

 

まず、出版商印部門とビジネスメディア部門からなる情報系事業では、戦略である競争力の再構築に基づきトータルソリューションを推進し、販促支援サービスやBPOなどの業務支援サービスの受注拡大を図った。

 

具体的には販売促進や業務効率向上などお客さまの抱える課題を解決するために付加価値の高いサービスメニューの開発に努めた。引き継き、増加が見込まれるBPO案件については、豊富なノウハウや、川島ソリューションセンターのセキュリティ環境などの強みを活かし、お客さまに信頼いただけるアウトソーシングサービスを提供することで、市場における評価を高めていこうと取り組んでいる。

 

生活・産業資材系事業については、戦略である競争力の強化に基づき、吸湿・吸収機能を持った高機能製品の機能および用途の拡大を図り新たな需要の創出に努めた。
また、ASEAN市場でのチューブ事業の拡大をめざし、昨年10月に稼働した共同印刷ベトナムの工場立ち上げに注力したほか、インドネシア国内でラミネートチューブの製造販売を行うPT Arisu Graphic Prima社との第三者割当増資を引き受け、協業に向けた取り組みを開始した。

 

以上のように、当グループは情報系事業における競争力の再構築と、生活・産業資材系事業における競争力の強化をさらに推し進めて事業領域を拡大し利益を創出していく所存である。

 

当グループは、強みを活かした製品・サービスの提供を通じて事業領域を拡大し、利益を創出して成長のステージに進むべく、グループ員一人ひとりが志を持ち、日々の業務に励んでいる。そうした一人ひとりの努力を経済的な価値だけではなく、社会的な価値の向上へとつなげ、企業価値を高めていきたい。

 

当グループは来年創立120周年を迎える。当グループの企業理念である『印刷事業を核に、生活・文化・情報産業として社会に貢献する』のもと持続的に成長し、あらゆるステークホルダーの皆さまから評価され信頼される企業グループを目指していく所存である。

 

第136期の業績概況

 

2016年3月期(2015年4月1日~2016年3月31日)について、グループ中期経営方針「強みを活かし事業領域を拡大して利益を創出する」に基づき、一丸となって業績の向上に取り組んだ結果、2016年3月期における業績は、売上高950億9700万円(前期比2・8%増)、営業利益26億2500万円(同48・2%増)、経常利益34億8200万円(同38・4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益22億1200万円(同56・2%増)の増収増益となった。

 

部門別にみると「出版商印部門」の売上高は432億1600万円(前年比1・8%減)、営業損失4100万円(前期は営業利益5億7200万円)だった。出版印刷では、受注拡大に向けてマンガをはじめとするコンテンツのデジタル化サービスの拡大に努めたが、書籍、定期刊行物がともに減少したため、売上高は前期を下回った。一般商業印刷では、印刷周辺に関わる新たなサービスメニューを拡充し、得意先の課題解決に向けたトータルソリューションの提案によって受注拡大を図った結果、カタログやチラシなどが減少したものの、情報誌や販促用DM、POPなどが増加したため、売上高は前期を上回った。

 

「ビジネスメディア部門」の売上高は299億4700万円(前期比10・5%増)、営業利益は24億3300万円(同164・5%増)だった。マイナンバー制度の開始に伴うデータプリントやBPOの需要増の取り込みに向けて、川島ソリューションセンター(埼玉県比企郡川島町)の機能を活かした提案活動を推進し、受注拡大に取り組んだ。官公庁や金融機関からの受注増によりビジネスフォームが増加し、乗車券の好調により証券類も増加、IC乗車券をはじめとするICカードも増加した。

 

「生活・産業資材部門」の売上高は199億8700万円(前期比2・0%増)、営業利益は2億4600万円(同13・0%減)だった。化粧品業界に対し同社が開発したフルプリント仕様のラミネートチューブの提案を行うとともに、共同印刷ベトナムの新工場立ち上げなどASEAN市場におけるチューブ事業拡大に向けた取り組みに注力した。

 

「モイストキャッチ」などの高機能性については、医薬品向けや電子部品向けに提案を進めるとともに、新規得意先や新規市場の開拓に取り込んだ。紙器や産業資材、建材製品が減少したが、歯磨き向けや化粧品向けを中心にチューブが増加し、パーシャルオープンの受注増などにより、軟包装も増加した。
そのほか、物流業務などの増加により、売上高19億4600万円(前期比8・5%増)、営業利益4億9300万円(同28・4%増)と売上高・営業利益とも前期を上回った。

 

当期(2017年3月期)の業績見通しについて、国内の印刷市場は、出版市場の縮小やデジタルメディアの発達を背景に紙媒体需要の減少が続き、競争激化によって受注価格も下落するなど、厳しい状況が続くと予想される中、同社グループは、さまざまな経営施策を立案・遂行し、収益性・成長性の向上に取り組んでいる。

 

情報系事業では、電子書籍市場への対応としてコンテンツのデジタル化サービスの強化に努めるとともに、販売促進などの課題解決を支援するトータルソリューションによって事業領域拡大を図る。とくにBPO事業は、個人情報などを扱うための高いセキュリティ環境と、データプリントに関する豊富なノウハウおよび生産体制を持つ強みを活かし、受注拡大を進めている。また、収益管理の強化を図るほか、生産体制の最適化や業務の効率化により利益の確保にも努める。

 

生活・産業資材系事業では、ラミネートチューブやラップカートンなど、一定のシェアや強みを持つ製品については、シェアの拡大と新規得意先の開拓を進めていく。中でもラミネートチューブは、ベトナム子会社の工場を生産拠点にASEAN市場への参入を推し進め、売上および利益の拡大を図る。また、高機能フィルムやパーシャルオープンなどの機能性包材など、独自技術を活かした製品については、開発の効率化・迅速化を進めながら競争力を強化し、受注拡大に努めていく。

 

これらの取り組みにより、2017年3月期の連結売上高は980億円(前期比3・1%増)、営業利益は30億円(同14・3%増)、経常利益は38億円(同9・1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は22億円(同0・5%減)を見込んでいる。

 

 

また、情報系事業における新サービス紹介では、安藤TSO室長がTSOの取り組みを紹介。さらに顧客の課題を解決するソリューション事例として、今井孝典TSO担当課長が「リア食」、田邉憲一TSO担当課長が「MY SHOPPING CONCIERGE(マイ・ショッピング・コンシェルジュ)」のデモを行った。

 

「リア食」 食卓画像・アンケート情報を紐づけし提供

 

主な新製品・新サービスのうち、今年2月から販売開始した「リア食」は、生活者から収取した食卓画像および画像と紐付いたアンケート情報をマーケティングデータとして提供するサービス。アンケートでは、生活者の年代や性別、収入などの属性、調理の有無や使用食材などを収集しているため、“店舗で販売された品がどのように調理され、誰が、どのように食べたか”という食卓の実態を浮き彫りにすることができる。商品の販売実績データだけではわからない生活者のリアルな姿を捉えることができるため、商品開発や販売促進策に有用。現在、食品メーカーなどで導入が進んでいる。

 

「マイ・ショッピング・コンシェルジュ」 サイネージとアプリを連動した多言語販促ソリューション

 

同じく今年2月から販売開始した「マイ・ショッピング・コンシェルジュ」は、タッチパネル型のデジタルサイネージとスマートフォンアプリを連動させた、多言語・オムニチャネル対応の販売促進ソリューション。実店舗に設置するデジタルサイネージとスマートフォン用アプリがECや販売促進のシステムと連動することで、新たな売り場・売り方を実現。導入店舗・企業の業務を効率化し、利用者との接点を増やすだけでなく、店舗利用者のニーズや生活スタイルに柔軟に対応した、便利で快適なショッピングを可能にする。販売に先立つ2015年8月、多言語対応・デジタルサイネージが、ハウステンボス「変なホテル」のメインエントランスで採用された。現在、サイネージとスマホ用アプリの連携による各種機能を開発中である。

 

 

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