2016年04月08日

全日本印刷工業組合連合会(島村博之会長、全印工連)と全日本印刷産業政治連盟(森永伸博会長、全印政連)は、4月1日、連名で「官公需取引における要望書」を中小印刷産業振興議員連盟(中曽根弘文会長)および経済産業省へ提出した。要望事項は、「中小企業者に関する国等の契約の方針の徹底遵守」「低価格競争防止策の導入」「財産権の保護」の3点。

 

今後、議員連盟に対して、総会の開催を働きかけていく予定。

 

全印工連と全印政連は、昨年8月27日に開催された自由民主党中小印刷産業議員連盟の総会において、用紙の値上がり問題や印刷物の官公需取引に関する課題等を説明したところ、出席した議員から官公需取引の現状および実態を把握すべきとの意見が出された。この意見を受けて、全印工連では昨年10月から調査を行い、1月までに1071社の組合員から回答を得た。
今回、その結果に基づいて、要望事項を3つに集約して全印工連と全印政連の連名で自由民主党中小印刷産業振興議員連盟と経済産業省へ提出したものである。

 

官公需取引の要望事項

官公需取引における要望は次のとおり。
1.「中小企業者に関する国等の契約の方針」の徹底遵守
(1)資材値上げの価格転嫁を確実に履行すること
官公需取引については、毎年「中小企業者に関する国等の契約の方針」(以下、「契約の方針」)が閣議決定され、その方針に基づき官公庁や各自治体の入札が行われる。「契約の方針」には、「最新の実勢価格等を踏まえた積算」に基づいて適切に予定価格を作成すると謳われている。しかしながら、今回の調査結果では、「資材の価格転嫁ができている」との回答は、僅か14・4%に過ぎず、85・6%は資材価格が上昇しても、値上がり前の価格で契約せざるを得ない。特に、東北、関東甲信越静、九州では11から12%という低率である。さらに「予定価格・落札価格における原材料の実勢価格が反映されている」という回答も僅か18%である。官公庁・各自治体には、「契約の方針」の徹底遵守を要望する。
(2)地域の中小企業・小規模事業者等の積極活用
毎年、「契約の方針」には、「地域の中小企業・小規模事業者等の積極活用」が掲げられている。地元企業への優先発注に関する調査結果では、地域格差はあるものの、「十分に実施されている」との回答は、全国平均で9・7%であり、地元企業優先発注が行われずに「地元以外に仕事が流れている」と回答した企業の割合は13・5%、「一部実施されているものの、まだまだ不満足」との回答が55・7%を占めている。地元企業優先発注が、ある程度は進んでいるものの、安倍政権が掲げる「地方創生」を一層進めるためは、地元発注のみでは不十分であり、地元の仕事は地元で生産するという、さらなる地域の中小企業・小規模事業者等の積極活用を要望する。
2.低価格競争防止策の導入
官公需の最近の状況としては、「厳しい低価格競争に晒されている」という回答が83・5%と非常に高い割合を占め、相変わらずの苦しい状況が伺える。全印工連ではこれまで長きに亘って、地場産業の代表格ともいえる中小印刷業界の健全な育成、発展のため、著しい低価格入札の防止策として、法律にある「低入札価格調査制度」または「最低制限価格制度」の導入とその厳密な運用を図るよう運動してきたが、全国的に見ると「印刷」への制度導入は未だに約3分の1程度にとどまっている。
また、「印刷」は、「契約の方針」の中で、中小企業性の高い「官公需特定品目」に指定されているにも拘らず、一部で実施されている「競り下げ方式(リバースオークション)」(「煩雑に実施されている」13%、「時々実施されている」32%)は際限のない値下げ競争を促すことになる。中小印刷業界の健全な発展、継続のためには、適正な利潤を含む適正価格での受発注制度の確立が急務であり、一刻も早い低価格競争防止策の導入を、国から地方自治体へ強力に指導されるよう要望する。

3.財産権の保護について(中間成生物の所有権とイラスト、写真、編集等の著作権の保護)

これまでの判例において、「印刷物の請負契約においては、製作途中で生成される物品(中間生成物)は契約の目的物ではないため、その所有権は請負人に帰属し、注文者に引き渡す義務はない」と示されているにも拘わらず、印刷データについて、「契約条件で殆どの場合、無償で要求される」が46・8%、「時々、無償で要求されることがある」が29・5%と約8割を占めている。印刷データは印刷会社のノウハウ、技術力を注ぎ込んで作られるものであり、また、再版という面からも財産的価値が高いものである。
また、印刷会社が製作するイラスト・写真・編集等の著作権については、知的財産基本法の理念で、事業者の権利保護や民間における効果的活用が謳われており、加えて、「契約の方針」では、「知的財産権の取り扱いについて書面をもって明確にするよう努めるものとする」とされていながら、「殆どの場合、契約条件等により無償で権利譲渡が求められる」が50・2%、「時々、無償で要求されることがある」が26・2%と約8割を占めるといった現状にある。この著作権も印刷会社のコンテンツとして財産的価値が高いものである。
従って、入札、契約にあたっては、本来、印刷会社に帰属する所有権、著作権の取り扱いに十分配慮し、現在横行している不当な要求を改めるとともに、必要とする場合には、別契約として、その用途と対価を明確にした契約とするよう早急な見直しと改善を要望する。

 

 

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