2016年02月24日

最終報告会

最終報告会

印刷工業会(稲木歳明会長)は2月17日、東京・北区の図書印刷㈱会議室で、平成27年度女性活躍推進部会分科会最終報告会を開き、分科会メンバー、会員企業のトップ、中間管理職など100人超が成果に耳を傾けた。

 

「ワーク・ライフ・バランス」「女性の意識改革」「マネジメント」の3つの視点で女性活躍推進の実現に向けての課題などが示され、経営層の積極的な取り組みを求める声が数多く上がった。また、最終報告会に先立ち、4月1日から施行される女性活躍推進法の説明会も行った。

 

稲木歳明会長

稲木歳明会長

冒頭あいさつに立った稲木会長は「昨年暮れの中間報告会は大変ロジカルな展開で非常に説得力のある内容だった。今日は最終報告となるので、活動の成果を期待している。印刷業界は女性の割合が大変低い、言い方を変えると男社会の業種である。したがって、ロールモデルが少なく、長時間労働も常態化していることもあり、女性活躍を検討する上では非常に課題の多い業種、業界だと思う。分科会メンバーはそれぞれ重要なポジションで活躍されている方々ばかりで大変お忙しい中、時間を割いていただき女性活躍に反した業界が抱える課題と向き合いながら、ゴールイメージを掲げてご苦労いただき、感謝申し上げる。印刷工業会では昨年4月から『印刷を魅力ある業界に』というスローガンを掲げて様々な活動をしてきたが、女性活躍推進はその中でも重要な位置づけとなっている。上部団体である日印産連も女性活躍推進部会を立ち上げ、会員10団体と一緒に取り組みを始めるなど、まさに業界をあげての取り組みとなってきている。本日は分科会活動の集大成として、各社のトップの方々も交えて提言いただくが、皆さんが活動した内容が成果となって実現するように、提言を受けるわれわれも真剣に受け止め、一緒に考えていかなければならないと思っている。女性活躍推進法にも対応していただきたい。部会活動は途切れることなく来期についても一層進行したいと考えているので、会員企業が心を一つにして、魅力ある業界の実現を目指して力を合わせていきたい」と述べた。

 
このあと、「ワーク・ライフ・バランス」「女性の意識改革」「マネジメント」の順番で分科会活動の最終報告を行った。

 
「ワーク・ライフ・バランス」(以下、WLB)は小林久子リーダー(ビーエフ&パッケージ)が発表した。テーマは「男女ともにWLBのとれた職場環境の醸成」。今期は、WLBの理想(あるべき姿)と現実の差異を明確にし、その差異を埋める提案を行うことに取り組んだ。6月にキックオフして、問題点の洗い出し、あるべき姿の規定、自社の現状調査、業界内外の先進事例調査、実現させたい事例のピックアップなどを行った。WLBの充実には働き方の変革が求められており、①労働時間②休暇③意識改革への取り組みが不可欠であると言及した。

 
WLBの充実による従業員側のメリットとして①生活が充実すると仕事にやる気が出る②健康づくりや休養のための時間がとれる③仕事帰りに学校に通って資格を取った④子育てをしながら仕事を続けられ生きがいを感じる⑤夫の残業が減り子育てや家事を分担できるようになる⑥介護サービスの利用により仕事と介護の両立が可能になった――などを挙げている。

 
一方、企業側のメリットとして①長時間労働を改善し従業員の健康を守る②従業員の満足度が上がり、仕事への意欲が高まる③離職防止と有能な人材確保④仕事の効率アップ⑤従業員の視点や創造力を養う⑥資格取得による従業員の能力向上⑦企業イメージの向上――を挙げている。

 
小林リーダーは、働きやすい職場環境づくりのポイントについて「育児に関しては認知されているが、介護に関してはこれから。男女ともに関わってくる問題で今後非常に大きな問題になってくる。男女問わず様々な環境の人にとって働き方の変革がますます重要になってくる。今回のリサーチから学んだ事例の中から自分に合った働き方を選択し『誰もが公平に』をモットーに働きやすい職場環境の醸成をめざし今後も活動を続けていきたい。まず当事者意識を持ってできることから始めていく。今回の活動で知り得た知識、数々の先進事例を職場の仲間に伝え、その情報を共有し、再度自分たちの職場がWLBの取れた働きやすい職場かどうかを見直していく。しかし、企業組織は個人の小さな力では動かない。私たちが小さな風を起こすので、その風がやがて会社組織を動かす大きな風になっていくようにお力添えいただきたい。経営層の皆様にもトップダウンの形で何か動いていただきたい」と訴えた。

 
「女性の意識改革」は菅原円リーダー(大洋印刷)が発表した。ゴールイメージは「印刷業界に従事するすべての女性が、多様な働き方の中で、それぞれのやりがいを見出し、主体的に働く、ポジティブ(=前向き)な意識の創出を目指す」こと。

 
第1段階では、なぜネガティブなのか(なぜネガティブになってしまったのか)、生の声を収集するため、昨年10月中旬から11月上旬にかけて本分科会に所属する9社の女性社員1825人を対象に73項目に及ぶアンケート調査を実施。回収率は84%。女性活躍のイメージや、それを阻害しているもの、自分自身が現在どのような気持ちで仕事をしているかなど回答させた。

 
第2段階では、ネガティブをポジティブに転換するアプローチとして、①ネガティブな気持ちに共感すること②誰かのネガティブからポジティブへの成功事例を自分の転換へのヒントにすること――を考えた。これによりポジティブの連鎖が生まれ輪になる。輪を広げるため、誰にでも、いつでも、どこででも、気軽に参加できる「ブログ」で共有することを考え、昨年11月にブログ「WAになってかたろう」をスタート。約3カ月で11コンテンツを発信し、閲覧数は6630を超えた。

 
菅原リーダーは「業界内にロールモデルはたくさんある。業界全体に視野を広げれば、ネガティブからポジティブに転換するきっかけはたくさんある。輪を広げていくことが大切。女性はあきらめずに『こうありたい』『こうしたい』『こういう会社にしたい』ということを思い続けてほしい。あきらめてしまうとずっとネガティブのままなので、ポジティブな気持ちを忘れずに、どんどん声を上げてほしい。一人では無理でも、何人かで少しでも輪を大きくしていけばそれも少しずつ簡単になる。このブログがまさにそれだと思う。管理職や男性は、そういう女性の声に耳を傾けていただきたい。『こうしたい』『こうありたい』というのは男性も同じように思っていると思うので、一緒になって話をしてほしい。トップの皆様には、そういう声をどんどん拾い上げてほしい。耳を傾けていただいて最後には皆さんで語りましょう」と訴えた。

 
「マネジメント」は杉野綾美リーダー(宝印刷)が発表した。ゴールイメージは「女性リーダーとして必要な資質を明確にし、女性自身の活躍と幹部への登用促進を目指す」「身近な現状から課題を提起し、女性活躍向上を図れるよう経営層に働きかける」の2つ。そのため、分科会メンバー企業6社・30人の営業部・中間管理職層に対しアンケートを行い、得られた現状について会員企業4社の経営層にヒアリングを行うことによって問題点や課題を見つけ、女性のリーダー登用を考えるための意識づくりのポイントを探った。

 
杉野リーダーは「トップ、ミドル、社員のみんなが変わっていく必要がある。トップ・経営層は長期・短期での女性活躍推進の変化に対応、現場や部下の考え・想いに耳を傾ける。中間管理職層は多様性のある柔軟のある仕組みづくり、自身の考え・想いを経営に伝える。社員・女性は期待されていることに自信を持ってチャレンジ精神を忘れず、双方向、三位一体での取り組みが重要である」と訴えた。

 

 
3分科会の最終報告終了後、新井妙子部会長(共同印刷)が「本日は当部会と関連性の高い女性活躍推進法の業界内の説明会の後に本年度3つの分科会を立ち上げ、それぞれの発表する場をもって最終の報告会とさせていただいた。皆さん、さすがに各社を代表して分科会に参加されているだけあって大変素晴らしい発表だったと思う。

この分科会は決してまっすぐ平坦な道でこの発表の場に辿りついたわけではなく、テーマのむずかしさ、業界内でそれぞれの社風を背負って議論するということもあり、ある意味蛇行しながら、この場にいる。とはいうものの、数日前に最終原稿を拝見し、また本日実際に最終報告を受けて、改めて印刷業界の女性社員の底力というものに深く感銘した。

分科会メンバーはおそらくもともと持っている力をこの場で一層磨きをかけ、業界内での強力なネットワークを獲得してそれぞれの社内外、業界内外に対して広く発信していただけることと期待している。それに対し、部会を担う者としてこんなに素晴らしい方々を要する部会であるということで責任が一層高まってきたと身の引き締まる思いである。ぜひ、このような素晴らしい分科会活動に各社から引き続き、またあるいは新たにメンバーを派遣していただければと考えている。

部会としては、今回の最終報告を受けて、その成果を来期につなげたい。『印刷を魅力ある業界に』のスローガンの下、一層力強く活動を続けていきたい」と締めくくった。

 

 

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