2016年03月17日

大日本印刷は、慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボ(代表:國領二郎慶應義塾大学総合政策学部教授)と遠隔授業に関する共同研究を行うことで合意した。DNPは、同共同研究成果なども活用して遠隔システムを活用した教育ビジネスへの参入を目指す。

 

2015年4月に高校で遠隔授業が合法化されたことを受け、全国各地の高等学校においては、遠隔授業の取り組みが進んでいる。一方、遠隔授業においては、机間巡視と呼ばれる、特に初等中等教育で重視される、先生による授業内での学生への個別指導を用いた習熟度確認が行い難いことが制約になり、遠隔授業に関心を持ちながらもその実施に躊躇することが、学校現場において観察されている。

 

慶應義塾大学SFC研究所プラットフォームデザイン・ラボは、長年に渡る遠隔授業運用ノウハウを有し、全国各地の高等学校や自治体における遠隔授業システム構築の監修実績を有している。その中で、現在の遠隔授業で課題となっている「机間巡視」の機能提供が、今後の普及拡大には重要であると判断した。そこで、タブレットや紙などのさまざまなデバイスを用いて、生徒の学習プロセスデータを取得・管理する技術を持つDNPとの提携による共同研究に至った。

 

DNPは共同研究成果を基に、一斉学習などの授業で個々の生徒と遠隔地の教員とのリアルタイムなコミュニケーションを実現し、双方の満足度向上を可能にするシステムを開発し、教育事業者に提供するほか、入試改革に伴う新しい授業についてはDNP自体が遠隔授業の提供を目指す。高大接続を背景に、正規授業としての遠隔授業が始まっている高校でのニーズが特に高いとみているが、他の公教育や民間教育(小中学校、大学、塾予備校など)へも展開する。

 

文部科学省は2015年4月、離島や山間部での教員不足への対策や新しい学びの機会提供を目的として、学校教育法施行規則の一部を改正した。これにより、全国すべての高校は、多様なメディアを高度に利用して教室以外の場所で授業を履修させることができることとなり、遠隔授業が卒業単位となる正規授業として認定された。

 

一方、高校において遠隔授業を行ううえで必須な条件は満たしているが、対面授業と比べ生徒の満足度は60%から70%に留まる(慶應義塾大学SFC研究所 プラットフォームデザイン・ラボ調べ)のも事実。地方自治体など学校設置者の厳しい財政事情もあり、高価なシステムを採用出来ない状況を考慮しつつも、生徒の学習進度や理解度を把握して適切な指導を行う「机間巡視」機能は、音声と並び重視されるべき遠隔授業システムの機能。

 

従来の遠隔授業システムでは、教員は教室の全体しか見ることができないため、個々の生徒たちの学習状況に応じた個別指導や授業進行ができなかった。
今回開発するシステムは、タブレットやデジタルペンなど、生徒用のICTデバイスとインターネットを活用し、手書きや音声、テキストなどの手段で生徒、遠隔地の教員、教室の教員の三者間のコミュニケーションをリアルタイムに行うことで、机間巡視に相当する臨場感を提供する。

 

同システムにより、課題文を読む、意見を記述するなどにおいて、従来の遠隔授業では難しかった、つまずいている生徒への声掛けや、個々の生徒の進捗状況に応じた授業進行の見直しを臨機応変に行うことが可能。また、授業時間中でも記述内容の添削ができるので、返却までの期間短縮にもつながる。
さらに、このような見取りを複数の教員で同時に行うことで、よりきめ細かい指導や添削スピードのアップなど、従来の机間巡視を超える指導や評価が可能。
共同研究では、学校の様々なネットワーク環境に応じ、これらの機能を提供する最適の機器・システム構成の提示を行う。

 

現在、各自治体では、財政上の問題から学校の教員数は削減される傾向にある。その結果、離島山間地域などの過疎地においては十分な教員配置ができず、年間500校以上が廃校に追い込まれている。このシステムにより教員が不足する科目の授業を遠隔で提供することで、廃校を防ぐ効果が期待できる。
また、国の方針から昨今重要度が高まっている新しい学び(プログラミング教育や論述中心の学習など)を教えられる教員はまだ少なく、同システムを活用することで、より多くの学校が新しい能力育成につながる授業を享受できるようになる。

 

 

 

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